◇第六十七話◇シュトレンと恋心
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トロスト区にしては高級志向な食事屋がある。
調査兵団や駐屯兵団のトップや、視察に訪れた憲兵や王政のお偉い方達の御用達で、民間人が利用することはあまりない。
私もその店の存在は知っていたけれど、入ったことはない。
巨人襲来を受けて、外壁等に被害もあったらしいが、そこまでひどいものではなく、明日、ようやく営業が再開されることになった。
その最初のお客としての招待状が調査兵団に届いたのは、一週間ほど前だった。
営業再開にあたって、調査兵団と駐屯兵団の協力を感謝したいということだった。
「どのお酒がいいんですか?」
「んー、まぁちょっと待ってくれ。」
ズラリと並んだお酒の棚の前で、前屈みになるゲルガーさんはとても真剣そうにお酒の銘柄と香りを確かめている。
私服姿の私達は、非番を楽しんでいるように見えるかもしれないけれど、これもれっきとした任務だ。
営業再開祝いに持って行く土産を、酒と菓子に決めたエルヴィン団長の指示で、私とゲルガーさんは酒屋にやってきているのだ。
不要なものまで買ってこないようにーという監視役を命じられたリヴァイ兵長は、つまらなそうな顔で試飲コーナーの椅子に座っている。
あまりお酒は好きではないのかもしれない。
監視するつもりがあるとは到底思えないが、「好きにしろ。」と自由に選ばせてもらえているゲルガーさんのご機嫌はすこぶる良い。
お酒の瓶をひとつひとつ手にとっては、香りを楽しむゲルガーさんを眺めるのにも飽きてきた私は、酒屋の中を歩き回ることにした。
先日のお酒の失敗はあったものの、特別お酒に弱いわけではない私は、だからといってお酒を好んで飲むタイプでもない。
酒屋に入るのも初めてで、実はちょっぴりワクワクしている。
そして、見つけた。
試飲コーナーにある美味しそうなチーズ。
お酒と合うおつまみ系も売っているらしい。しかも、試食できるようだ。
「ゲルガーさんっ!こっちのお酒も一緒に見ましょう!」
私はすぐにゲルガーさんの元へ戻って、手を掴んだ。
驚きながらも私に手を引かれるまま試飲コーナーにやってきたゲルガーさんは、いくつものつまみを見つけて目を輝かせた。
「いいのが揃ってんじゃねぇか。酒以外にも買っていくか。」
「やったっ!」
小さく飛び跳ねて喜んだ私は、美味しそうなチーズを一口齧った。
果物が入っているそのチーズは甘くて、つまみというよりはデザートのようだ。
ゲルガーさんも、お酒を呑んではつまみを小さく齧って、相性を確かめている。
いや、お酒を楽しんでいるー。
「おい、てめぇら。」
後ろからぬーっと現れたリヴァイ兵長の怖い顔に、私達は悲鳴を忘れた。
エルヴィン団長の指示には従う、任務は抜かりなく遂行する、リヴァイ兵長はそういう人だったー。
調査兵団や駐屯兵団のトップや、視察に訪れた憲兵や王政のお偉い方達の御用達で、民間人が利用することはあまりない。
私もその店の存在は知っていたけれど、入ったことはない。
巨人襲来を受けて、外壁等に被害もあったらしいが、そこまでひどいものではなく、明日、ようやく営業が再開されることになった。
その最初のお客としての招待状が調査兵団に届いたのは、一週間ほど前だった。
営業再開にあたって、調査兵団と駐屯兵団の協力を感謝したいということだった。
「どのお酒がいいんですか?」
「んー、まぁちょっと待ってくれ。」
ズラリと並んだお酒の棚の前で、前屈みになるゲルガーさんはとても真剣そうにお酒の銘柄と香りを確かめている。
私服姿の私達は、非番を楽しんでいるように見えるかもしれないけれど、これもれっきとした任務だ。
営業再開祝いに持って行く土産を、酒と菓子に決めたエルヴィン団長の指示で、私とゲルガーさんは酒屋にやってきているのだ。
不要なものまで買ってこないようにーという監視役を命じられたリヴァイ兵長は、つまらなそうな顔で試飲コーナーの椅子に座っている。
あまりお酒は好きではないのかもしれない。
監視するつもりがあるとは到底思えないが、「好きにしろ。」と自由に選ばせてもらえているゲルガーさんのご機嫌はすこぶる良い。
お酒の瓶をひとつひとつ手にとっては、香りを楽しむゲルガーさんを眺めるのにも飽きてきた私は、酒屋の中を歩き回ることにした。
先日のお酒の失敗はあったものの、特別お酒に弱いわけではない私は、だからといってお酒を好んで飲むタイプでもない。
酒屋に入るのも初めてで、実はちょっぴりワクワクしている。
そして、見つけた。
試飲コーナーにある美味しそうなチーズ。
お酒と合うおつまみ系も売っているらしい。しかも、試食できるようだ。
「ゲルガーさんっ!こっちのお酒も一緒に見ましょう!」
私はすぐにゲルガーさんの元へ戻って、手を掴んだ。
驚きながらも私に手を引かれるまま試飲コーナーにやってきたゲルガーさんは、いくつものつまみを見つけて目を輝かせた。
「いいのが揃ってんじゃねぇか。酒以外にも買っていくか。」
「やったっ!」
小さく飛び跳ねて喜んだ私は、美味しそうなチーズを一口齧った。
果物が入っているそのチーズは甘くて、つまみというよりはデザートのようだ。
ゲルガーさんも、お酒を呑んではつまみを小さく齧って、相性を確かめている。
いや、お酒を楽しんでいるー。
「おい、てめぇら。」
後ろからぬーっと現れたリヴァイ兵長の怖い顔に、私達は悲鳴を忘れた。
エルヴィン団長の指示には従う、任務は抜かりなく遂行する、リヴァイ兵長はそういう人だったー。