◇第四十四話◇ようやく届いた声
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手紙を持ったまま、私は立ち尽くしていた。
息をすると、私の身体が崩れ落ちてしまいそうな気がして、苦しい。
壁外調査前日、夜中を過ぎてもデスクに向かうルルは家族に手紙を書いているのだとばかり思っていた。
あれは、私に宛てた手紙を書いている背中だったのか。
ルルは、調査兵団に入団した時からずっと、私のためにいつか死ぬと決めてー。
「私が初めてルルに会ったときから、彼女はなまえを守る兵士になりたいと言っていたよ。
私の忠告も聞かないで、巨人捕獲作戦にもなまえが参加するなら自分も参加すると勝手に決めてね。
本当に君達は、とんでもない兵士になりたがるところなんてそっくりだよ。」
呆れたように言っているのに、ハンジさんの声はすごく優しかった。
ハンジさんは、ルルの覚悟を知っていたのか。
なにが第二の人生だ。
なにが自由に生きたから悔いがないだ。
私のために調査兵団になって、私のために死んだくせに。
私には自分のために生きろとか言っておいて、ルルは全然自分のためじゃないじゃないか。
他の誰かのために命を捨てるつもりで壁外調査へ出るなんて、そんな覚悟どうやったら出来るんだろう。
そんな強さがあるのなら、私はただー。
私のためだというのなら、私はただー。
「馬鹿な娘よね。親も、せっかくできた大切な友人も悲しませて、
自分は満足して死んでいくなんて…っ。
本当に馬鹿で…、優しくて…っ、強い子だったのね…っ。」
ついに涙が溢れだしたルルの母親がすすり泣く。
「私達は娘に、勇敢な兵士になんてなってほしくなかったんだ。
情けなくてもいい、ただ生きていてほしかった。
でも、ルルは違ったんだな。」
ルルの父親は、ゆっくりと歩み寄ると、そっと私の頭を撫でた。
「ルルの命を救ってくれてありがとう。」
喉の奥が詰まって、声が出ない。
優しいルルの父親の声に、私は首を振ることしかできなかった。
だって、結局、私はルルの命を奪った。
私は今、ルルの代わりに生きている。
「ルルの親友になってくれてありがとう。」
私はまた必死に首を振る。
お礼を言いたいのは、私の方だ。
恋の相談だってしていたのはいつも私の方で、ルルだって好きな人がいたのを知っているのに、自分の話はいつだってはぐらかして。
いつだって私の応援をしてくれていた。
私が、彼女にしてあげられたことなんて、何も思い浮かばないのだ。
「もし、自分のせいで私達の娘を奪ってしまったと思っているのなら、
私達のお願いを聞いてくれないか。」
父親にそう言われて、私はゆっくり顔を上げた。
優しいその表情は、ルルに似ている気がした。
いや、きっと、ルルが彼に似たのだろう。
「どうか、ルルのことを忘れないでやってほしい。
そして、ルルが残した声をしっかり胸に刻んで、そして生きてほしい。
ルルが望んだように、君の好きなように、生きてほしい。」
ルルの分までー。
最後まで優しいルルの父親の声色は、とうとう震えだして、流れる涙が語っている。
ルルに生きていてほしかったのだと、どんな苦労も厭わないほどに愛する娘に、会いたくて会いたくて仕方がないのだとー。
「ルル…っ。」
私は泣き崩れた。
ルルが残した声、この世で一番優しい手紙を胸に、大切に大切に抱きしめてー。
「うぁ…、うぁああ…-!」
枯れるほどに声を上げて、私は泣いた。
ずっとずっと奥の方で隠れていた涙が、私の瞳から、あとからあとから溢れて止まらない。
私はずっとこんなに泣きたかったのかと驚くくらいに。
ねぇ、ルル。私からもあなたに伝えたいことがある。
私もね、ルルが大好き。
とても大切な親友だよ。
私のために戦ってくれなくても、私を残して逃げてほしかったくらい。
私は、ただただルルに生きていてほしかった。
それくらい、大好きだったんだ。大好きなんだよ。
『私はいつだって世界で一番のなまえの味方だよ。』
優しいルルの声が、聞こえた気がした。
息をすると、私の身体が崩れ落ちてしまいそうな気がして、苦しい。
壁外調査前日、夜中を過ぎてもデスクに向かうルルは家族に手紙を書いているのだとばかり思っていた。
あれは、私に宛てた手紙を書いている背中だったのか。
ルルは、調査兵団に入団した時からずっと、私のためにいつか死ぬと決めてー。
「私が初めてルルに会ったときから、彼女はなまえを守る兵士になりたいと言っていたよ。
私の忠告も聞かないで、巨人捕獲作戦にもなまえが参加するなら自分も参加すると勝手に決めてね。
本当に君達は、とんでもない兵士になりたがるところなんてそっくりだよ。」
呆れたように言っているのに、ハンジさんの声はすごく優しかった。
ハンジさんは、ルルの覚悟を知っていたのか。
なにが第二の人生だ。
なにが自由に生きたから悔いがないだ。
私のために調査兵団になって、私のために死んだくせに。
私には自分のために生きろとか言っておいて、ルルは全然自分のためじゃないじゃないか。
他の誰かのために命を捨てるつもりで壁外調査へ出るなんて、そんな覚悟どうやったら出来るんだろう。
そんな強さがあるのなら、私はただー。
私のためだというのなら、私はただー。
「馬鹿な娘よね。親も、せっかくできた大切な友人も悲しませて、
自分は満足して死んでいくなんて…っ。
本当に馬鹿で…、優しくて…っ、強い子だったのね…っ。」
ついに涙が溢れだしたルルの母親がすすり泣く。
「私達は娘に、勇敢な兵士になんてなってほしくなかったんだ。
情けなくてもいい、ただ生きていてほしかった。
でも、ルルは違ったんだな。」
ルルの父親は、ゆっくりと歩み寄ると、そっと私の頭を撫でた。
「ルルの命を救ってくれてありがとう。」
喉の奥が詰まって、声が出ない。
優しいルルの父親の声に、私は首を振ることしかできなかった。
だって、結局、私はルルの命を奪った。
私は今、ルルの代わりに生きている。
「ルルの親友になってくれてありがとう。」
私はまた必死に首を振る。
お礼を言いたいのは、私の方だ。
恋の相談だってしていたのはいつも私の方で、ルルだって好きな人がいたのを知っているのに、自分の話はいつだってはぐらかして。
いつだって私の応援をしてくれていた。
私が、彼女にしてあげられたことなんて、何も思い浮かばないのだ。
「もし、自分のせいで私達の娘を奪ってしまったと思っているのなら、
私達のお願いを聞いてくれないか。」
父親にそう言われて、私はゆっくり顔を上げた。
優しいその表情は、ルルに似ている気がした。
いや、きっと、ルルが彼に似たのだろう。
「どうか、ルルのことを忘れないでやってほしい。
そして、ルルが残した声をしっかり胸に刻んで、そして生きてほしい。
ルルが望んだように、君の好きなように、生きてほしい。」
ルルの分までー。
最後まで優しいルルの父親の声色は、とうとう震えだして、流れる涙が語っている。
ルルに生きていてほしかったのだと、どんな苦労も厭わないほどに愛する娘に、会いたくて会いたくて仕方がないのだとー。
「ルル…っ。」
私は泣き崩れた。
ルルが残した声、この世で一番優しい手紙を胸に、大切に大切に抱きしめてー。
「うぁ…、うぁああ…-!」
枯れるほどに声を上げて、私は泣いた。
ずっとずっと奥の方で隠れていた涙が、私の瞳から、あとからあとから溢れて止まらない。
私はずっとこんなに泣きたかったのかと驚くくらいに。
ねぇ、ルル。私からもあなたに伝えたいことがある。
私もね、ルルが大好き。
とても大切な親友だよ。
私のために戦ってくれなくても、私を残して逃げてほしかったくらい。
私は、ただただルルに生きていてほしかった。
それくらい、大好きだったんだ。大好きなんだよ。
『私はいつだって世界で一番のなまえの味方だよ。』
優しいルルの声が、聞こえた気がした。