◇第四十三話◇手紙
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親愛なるなまえへ
こんな手紙を残すことしか出来なくて、本当にごめんなさい。
突然、こんな手紙を渡されて、とても驚いてると思います。
優しすぎるなまえは、他の誰かを恨むことも、責めることもしないで、この地獄のような世界すら憎むことも出来ず、自分を責めているんでしょう?
見れなくたってね、それくらいわかるよ。
きっととても傷ついていて、苦しんでいるよね。
それが私のせいだと思うと、本当に申し訳なく思います。
どんな状況で私が死んだのか分からないけれど、それがどんな地獄だったとしても、絶対になまえのせいではないことだけは分かっていてほしい。
そして、もしも、私がなまえを守って死んだのなら、どうか悲しまないで。決して自分を責めないで。
ただただ、大活躍だね、と私を褒めてほしい。
私は、調査兵団に入団すると決めたその時から、なまえのために空を飛んで、なまえのために死ぬのだと決めていたから。
その信念を全うして死んでいった私を誇りに思ってくれたら嬉しいです。
突然そんなことを言われて、きっと驚いているよね。
なまえは覚えていないようだったから、私も言わなかったけれど、私達は以前に会ったことがあるのよ。
巨人がトロスト区に襲来した日、目の前で巨人に襲われている仲間を見捨てて泣きながら逃げた情けない兵士がいたはず。
それが、私です。
私はいつも、誰かの後ろにいたの。
自分の気持ちは主張せず、極力目立たずに、ただ静かにしていた。
そうしていれば、争いに巻き込まれることもないし、つまらないけれど、長生きは出来ると知っていたから。
でも、それは間違いだった。
巨人に食われている仲間を見たとき、私はこのまま死にたくないと強く願った。
自分がどんなに無駄に生きてきたのかに気づいて、後悔したの。
でも、仲間を見捨てた薄情な私は、すぐに別の巨人に捕まった。
そのとき、これは、罰だと思った。
仲間を見捨て、自分さえ助かればいいと本気で思ってしまった私への罰だと。
そうしたら、泣き叫ぶ私に、神様がもう一度生きるチャンスを与えてくださった。
それが、なまえだよ。
颯爽と現れて、あっという間に巨人を討伐して、死にたくないと泣きじゃくる私を助けてくれたなまえがどれだけ眩しく見えたか、知らないでしょう?
でも、眩しいくらい輝いて見えたのは、仕方がないわ。
だって、あのとき、なまえは私に第二の人生を与えてくれたんだもの。
あの日から、私は誰よりも自由に生きてきたと思う。
第二の人生で、私は今までは本当はしたかったのに勇気が出なくて出来なかったことにもチャレンジしてみた。
ハンジさんに直談判した後、反対する両親を押し切って調査兵団に入団した。
初めて反抗する娘に父も母も戸惑ったと思うし、すごく心配したと思う。
でも、私は調査兵団に入ったことをこれっぽっちも後悔していないし、いつか両親にも私の気持ちを分かってもらえたら嬉しいなって思ってる。
それから、ドキドキしたけど、いろんな人に声をかけてみたら、みんなすごく優しくて、私にもたくさんの友人が出来た。
死ぬほどツラい訓練に耐えたら、私の実力を認めてくれる上官が現れた。
私を産んでくれた両親にも親孝行、出来たかなって思うんだ。
誕生日パーティーも喜んでもらえたし、本当によかった。
意地っ張りで、強がりで、負けず嫌いで、気が強くて、優しすぎるのがたまにキズの可愛い親友も出来たしね。
今日、ペンを握る私は、幸せな人生だったって心から言えるよ。
最後の最後に私に素晴らしい人生を送らせてくれてありがとう。
なまえには、感謝してもしたりないくらいに感謝しています。
本当にありがとう。
中途半端な時期に駐屯兵団から調査兵団に編入する私のことを変わったやつだとなまえはからかったけれど、それはなまえのようになりたいと思ったからだったんだよ。
そして、必死にキツい訓練に食らいついていったのは、命を張って誰かのために戦うなまえを守る兵士になりたかったから。
なまえがこれから人類を救う兵士になるかは分からない。
別にならなくったっていいよ、そんなの。
むしろ逃げるべきだね、あんな大きいだけの気持ち悪い生き物なんて。
でも、もしも、なまえが巨人に飛び込むなら、私も一緒に飛び込む。戦うなら、一緒に戦う。
なまえが死ぬのなら、代わりに死ぬ。
そういうと、なんだかすごいことをしようとしてるみたいだけど、命を懸けて、なんて大それたことじゃないの。
私はただ、私の命の恩人で、そして大好きな親友を守りたい。それだけだよ。
ここからは、なまえの命を守ったのは私だって、信じて言うね。
もしも、そこにいるなまえが、生きるのがツラいとか腐ったこと言ってたら、絶対に許さない。
だって、そこにある命は、私が守った命だよ。
今のなまえの人生は、私が与えた第二の人生。
だから、無駄にするなんて、絶対に許さないから。
だから、なまえ。
勝手に死んでいった我儘な親友の最後の願いをきいてほしい。
どうか、自由に生きて。
好きなように生きて。
そして、いつも笑っていて。
たとえ、あなたの陰で誰が泣いていても、苦しんでいても。
好きなことをして、好きな人を好きでいて。
調査兵団を辞めたいのなら、辞めてもいい。
もしも、死んでいった仲間のために辞められないと思っているのなら気にしなくていい。
私が先にみんなに会って、なまえは精一杯やったんだって伝えておくから。
好きな人に気持ちを伝えたくないのなら、その胸にそっと大事にしまっていてもいいと思う。
でも、誰かのためにその気持ちを殺してしまわないで。
誰かを想う気持ちは尊くて、とても素敵なものだってことを、私はなまえに教わった。
だから分かるの。
もしもその気持ちが届かなくても、誰かを想う優しい気持ちは、絶対にその誰かの助けになるはず。
そしてそれはいつかきっとなまえを守ってくれるから。
私はそう、信じています。
ねぇ、なまえ。
この世界は、残酷だね。
生きるのが苦しいくらいツラいことがたくさんある。
どうしても避けられない別れがある。
でも、私は、この世界は美しいって信じたい。
だって、家族と友人の命を誕生させてくれたのも、この世界だから。
大丈夫、なまえなら大丈夫だよ。
ひとりじゃないから。
姿は見えないかもしれないけれど、私はいつもなまえのそばにいる。
失敗したときは叱ってあげるし、頑張ったときは褒めてあげる。
なまえが泣けば隣で私も一緒に泣いてるし、楽しいときは一緒に笑ってる。
そうして、また再会する日がくるのを気長に待っています。
さて、長くなってしまったし、これくらいにしておきます。
壁外調査前日だというのに心ここにあらずで全く別のことに悩んで眠れずにいる困った親友をからかって、私も寝ようかな。
またね、なまえ!
あなたの世界一の味方 ルルより
こんな手紙を残すことしか出来なくて、本当にごめんなさい。
突然、こんな手紙を渡されて、とても驚いてると思います。
優しすぎるなまえは、他の誰かを恨むことも、責めることもしないで、この地獄のような世界すら憎むことも出来ず、自分を責めているんでしょう?
見れなくたってね、それくらいわかるよ。
きっととても傷ついていて、苦しんでいるよね。
それが私のせいだと思うと、本当に申し訳なく思います。
どんな状況で私が死んだのか分からないけれど、それがどんな地獄だったとしても、絶対になまえのせいではないことだけは分かっていてほしい。
そして、もしも、私がなまえを守って死んだのなら、どうか悲しまないで。決して自分を責めないで。
ただただ、大活躍だね、と私を褒めてほしい。
私は、調査兵団に入団すると決めたその時から、なまえのために空を飛んで、なまえのために死ぬのだと決めていたから。
その信念を全うして死んでいった私を誇りに思ってくれたら嬉しいです。
突然そんなことを言われて、きっと驚いているよね。
なまえは覚えていないようだったから、私も言わなかったけれど、私達は以前に会ったことがあるのよ。
巨人がトロスト区に襲来した日、目の前で巨人に襲われている仲間を見捨てて泣きながら逃げた情けない兵士がいたはず。
それが、私です。
私はいつも、誰かの後ろにいたの。
自分の気持ちは主張せず、極力目立たずに、ただ静かにしていた。
そうしていれば、争いに巻き込まれることもないし、つまらないけれど、長生きは出来ると知っていたから。
でも、それは間違いだった。
巨人に食われている仲間を見たとき、私はこのまま死にたくないと強く願った。
自分がどんなに無駄に生きてきたのかに気づいて、後悔したの。
でも、仲間を見捨てた薄情な私は、すぐに別の巨人に捕まった。
そのとき、これは、罰だと思った。
仲間を見捨て、自分さえ助かればいいと本気で思ってしまった私への罰だと。
そうしたら、泣き叫ぶ私に、神様がもう一度生きるチャンスを与えてくださった。
それが、なまえだよ。
颯爽と現れて、あっという間に巨人を討伐して、死にたくないと泣きじゃくる私を助けてくれたなまえがどれだけ眩しく見えたか、知らないでしょう?
でも、眩しいくらい輝いて見えたのは、仕方がないわ。
だって、あのとき、なまえは私に第二の人生を与えてくれたんだもの。
あの日から、私は誰よりも自由に生きてきたと思う。
第二の人生で、私は今までは本当はしたかったのに勇気が出なくて出来なかったことにもチャレンジしてみた。
ハンジさんに直談判した後、反対する両親を押し切って調査兵団に入団した。
初めて反抗する娘に父も母も戸惑ったと思うし、すごく心配したと思う。
でも、私は調査兵団に入ったことをこれっぽっちも後悔していないし、いつか両親にも私の気持ちを分かってもらえたら嬉しいなって思ってる。
それから、ドキドキしたけど、いろんな人に声をかけてみたら、みんなすごく優しくて、私にもたくさんの友人が出来た。
死ぬほどツラい訓練に耐えたら、私の実力を認めてくれる上官が現れた。
私を産んでくれた両親にも親孝行、出来たかなって思うんだ。
誕生日パーティーも喜んでもらえたし、本当によかった。
意地っ張りで、強がりで、負けず嫌いで、気が強くて、優しすぎるのがたまにキズの可愛い親友も出来たしね。
今日、ペンを握る私は、幸せな人生だったって心から言えるよ。
最後の最後に私に素晴らしい人生を送らせてくれてありがとう。
なまえには、感謝してもしたりないくらいに感謝しています。
本当にありがとう。
中途半端な時期に駐屯兵団から調査兵団に編入する私のことを変わったやつだとなまえはからかったけれど、それはなまえのようになりたいと思ったからだったんだよ。
そして、必死にキツい訓練に食らいついていったのは、命を張って誰かのために戦うなまえを守る兵士になりたかったから。
なまえがこれから人類を救う兵士になるかは分からない。
別にならなくったっていいよ、そんなの。
むしろ逃げるべきだね、あんな大きいだけの気持ち悪い生き物なんて。
でも、もしも、なまえが巨人に飛び込むなら、私も一緒に飛び込む。戦うなら、一緒に戦う。
なまえが死ぬのなら、代わりに死ぬ。
そういうと、なんだかすごいことをしようとしてるみたいだけど、命を懸けて、なんて大それたことじゃないの。
私はただ、私の命の恩人で、そして大好きな親友を守りたい。それだけだよ。
ここからは、なまえの命を守ったのは私だって、信じて言うね。
もしも、そこにいるなまえが、生きるのがツラいとか腐ったこと言ってたら、絶対に許さない。
だって、そこにある命は、私が守った命だよ。
今のなまえの人生は、私が与えた第二の人生。
だから、無駄にするなんて、絶対に許さないから。
だから、なまえ。
勝手に死んでいった我儘な親友の最後の願いをきいてほしい。
どうか、自由に生きて。
好きなように生きて。
そして、いつも笑っていて。
たとえ、あなたの陰で誰が泣いていても、苦しんでいても。
好きなことをして、好きな人を好きでいて。
調査兵団を辞めたいのなら、辞めてもいい。
もしも、死んでいった仲間のために辞められないと思っているのなら気にしなくていい。
私が先にみんなに会って、なまえは精一杯やったんだって伝えておくから。
好きな人に気持ちを伝えたくないのなら、その胸にそっと大事にしまっていてもいいと思う。
でも、誰かのためにその気持ちを殺してしまわないで。
誰かを想う気持ちは尊くて、とても素敵なものだってことを、私はなまえに教わった。
だから分かるの。
もしもその気持ちが届かなくても、誰かを想う優しい気持ちは、絶対にその誰かの助けになるはず。
そしてそれはいつかきっとなまえを守ってくれるから。
私はそう、信じています。
ねぇ、なまえ。
この世界は、残酷だね。
生きるのが苦しいくらいツラいことがたくさんある。
どうしても避けられない別れがある。
でも、私は、この世界は美しいって信じたい。
だって、家族と友人の命を誕生させてくれたのも、この世界だから。
大丈夫、なまえなら大丈夫だよ。
ひとりじゃないから。
姿は見えないかもしれないけれど、私はいつもなまえのそばにいる。
失敗したときは叱ってあげるし、頑張ったときは褒めてあげる。
なまえが泣けば隣で私も一緒に泣いてるし、楽しいときは一緒に笑ってる。
そうして、また再会する日がくるのを気長に待っています。
さて、長くなってしまったし、これくらいにしておきます。
壁外調査前日だというのに心ここにあらずで全く別のことに悩んで眠れずにいる困った親友をからかって、私も寝ようかな。
またね、なまえ!
あなたの世界一の味方 ルルより