◇第三十二話◇報告
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今回の壁外調査中、拠点となるのは廃墟となった大聖堂だった。
巨人化したエレンによる巨人捕獲作戦を行う予定の巨大樹の森と、シガンシナ区までのルートの中間地点にあるため、絶好のロケーションだ。
初日の今日は、この大聖堂が最終目的地となる。
本格的な壁外調査の作戦が始まるのは、明日。それぞれが作戦毎に分かれ出発し、日没までにこの大聖堂に戻ってくるという流れだ。
とりあえずは、大聖堂に到着した調査兵団の兵士達は、見張りを配置した後、明日の作戦会議や休憩に入っている。
私とルルも休憩に入る予定だったが、巨人との交戦についての報告のため、会議に参加することになった。
「地面から巨人が出現するというのは稀にあることだ。
あまり経験したことはないが、報告があるのは確かだ。
さすがに9体同時というのは聞いたことがないが。」
私とルルの報告を聞いて、エルヴィン団長が言った。
先輩達が残したあの戦場跡と多数の大きな穴、それに続く多数の巨人の足跡。
そこから私が導き出した答えは、地面から巨人が発生し先輩を襲ったのではないかということだった。
あのときは咄嗟に、そうに違いないと確信していたけれど、それを口にして説明すると自信がなくなった。
ただ、エルヴィン団長らは、あり得ないことではないという結論に至ったようだった。
そうでなければ、右翼索敵前方を何度も経験している彼らが、多数の巨人を見逃した結果、襲われて命を失うなんて、その方がありえないと思ったのだろう。
「ミケがすぐに向かってくれてよかったよ。」
「いや、もう少し早ければよかったんだが。
俺の判断が遅れた結果、最後まで新兵に戦わせてしまった。」
「いえっ!ミケ分隊長がすぐに来てくれたおかげで、
私達もすぐになまえの援護に戻れました。ありがとうございます!」
ルルの言葉に、ミケ分隊長は小さく頷いただけだった。
私が奇行種の方へ向かってすぐ、異常を察知して右翼へと向かっていたミケ分隊長はルル達と合流したようだった。
ミケ分隊長は、最初に上がった紫色の煙弾を見て、右翼索敵の心配はしたが、そこを担当しているのが自分の分隊のベテラン兵士だったことを思い出したため、彼らに任せることに決めたらしい。
だが、その直後に黄色の作戦遂行不能の煙弾が続き、さらに巨人の匂いが後方に移動しているのに気づき、彼らに異常が起きていることを理解し急いで右翼へ向かったということだった。
仲間を信じるという判断が間違いだった、と後悔するのはとてもつらいことだ。
ミケ分隊長も、彼らを信じなければよかったなんて思っていない。
ただ、悔しいのだ。自分の判断が彼らを死なせてしまったと、自分を責めることしか出来ない現実が。
ここにいる上官達は全員が5年以上の経験があるベテラン兵士だ。
長い間、調査兵として生きてきた彼らは、一体幾つのツラい経験を越えてきたのだろう。
そして、あとどれくらいそんなことを経験すれば、この死ぬよりもツラい苦しみから解放されるのだろう。
巨人化したエレンによる巨人捕獲作戦を行う予定の巨大樹の森と、シガンシナ区までのルートの中間地点にあるため、絶好のロケーションだ。
初日の今日は、この大聖堂が最終目的地となる。
本格的な壁外調査の作戦が始まるのは、明日。それぞれが作戦毎に分かれ出発し、日没までにこの大聖堂に戻ってくるという流れだ。
とりあえずは、大聖堂に到着した調査兵団の兵士達は、見張りを配置した後、明日の作戦会議や休憩に入っている。
私とルルも休憩に入る予定だったが、巨人との交戦についての報告のため、会議に参加することになった。
「地面から巨人が出現するというのは稀にあることだ。
あまり経験したことはないが、報告があるのは確かだ。
さすがに9体同時というのは聞いたことがないが。」
私とルルの報告を聞いて、エルヴィン団長が言った。
先輩達が残したあの戦場跡と多数の大きな穴、それに続く多数の巨人の足跡。
そこから私が導き出した答えは、地面から巨人が発生し先輩を襲ったのではないかということだった。
あのときは咄嗟に、そうに違いないと確信していたけれど、それを口にして説明すると自信がなくなった。
ただ、エルヴィン団長らは、あり得ないことではないという結論に至ったようだった。
そうでなければ、右翼索敵前方を何度も経験している彼らが、多数の巨人を見逃した結果、襲われて命を失うなんて、その方がありえないと思ったのだろう。
「ミケがすぐに向かってくれてよかったよ。」
「いや、もう少し早ければよかったんだが。
俺の判断が遅れた結果、最後まで新兵に戦わせてしまった。」
「いえっ!ミケ分隊長がすぐに来てくれたおかげで、
私達もすぐになまえの援護に戻れました。ありがとうございます!」
ルルの言葉に、ミケ分隊長は小さく頷いただけだった。
私が奇行種の方へ向かってすぐ、異常を察知して右翼へと向かっていたミケ分隊長はルル達と合流したようだった。
ミケ分隊長は、最初に上がった紫色の煙弾を見て、右翼索敵の心配はしたが、そこを担当しているのが自分の分隊のベテラン兵士だったことを思い出したため、彼らに任せることに決めたらしい。
だが、その直後に黄色の作戦遂行不能の煙弾が続き、さらに巨人の匂いが後方に移動しているのに気づき、彼らに異常が起きていることを理解し急いで右翼へ向かったということだった。
仲間を信じるという判断が間違いだった、と後悔するのはとてもつらいことだ。
ミケ分隊長も、彼らを信じなければよかったなんて思っていない。
ただ、悔しいのだ。自分の判断が彼らを死なせてしまったと、自分を責めることしか出来ない現実が。
ここにいる上官達は全員が5年以上の経験があるベテラン兵士だ。
長い間、調査兵として生きてきた彼らは、一体幾つのツラい経験を越えてきたのだろう。
そして、あとどれくらいそんなことを経験すれば、この死ぬよりもツラい苦しみから解放されるのだろう。