◇第二十六話◇104期の新兵達
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長距離索敵陣形の授業を一緒に受けた104期訓練兵の新兵達は、なかなか個性的な兵士ばかりだった。
さすが、出会って初めての自己紹介で、一緒に巨人を駆逐してやりましょう!と目を爛々にしていた兵士の仲間なだけある。
私がそう言うと、馬っぽい男の子に、アイツと一緒にしないでくださいと心底嫌そうな顔をされたけれど。
とても似ていると思う。
先のトロスト区で巨人討伐の作戦に駆り出されたはずの彼らの目がどれも、死んでいなかったこととか―。
「ミカサにずっと会いたいと思ってたの。」
授業の休憩時間、私は少し離れた席に座っていたミカサの元へ向かった。
あの日から、トロスト区で自分達を助けてくれた訓練兵のことを忘れたことはなかった。
あの母娘も駐屯兵も、私が命を助けたと言うけれど、本当は違うと思っている。
助けたのは彼女だ。私が、彼女の姿を見ることがなければ、私もまた巨人に食われるだけだったからだ。
同じ104期の訓練兵ならエレンも知っているかもしれないと思って聞いてみると、あのとき、駐屯兵の精鋭と一緒に民間の救助を行っていた訓練兵は、ミカサ・アッカーマンしかいないと言われた。
そして、彼女は、先日の新兵勧誘式で調査兵団に入ったこともエレンから聞いて知っていた。
今日、新兵との初めての授業で、彼女に会えることを楽しみにしていたのだ。
いきなり声をかける私に、ミカサだけではなく、一緒にいる金髪の可愛らしい男の子にも訝しげな顔をされた。
「私はそんなこと思ったことありません。」
ピシャリと言い切り、ミカサは私から手元のノートへと視線を戻す。
完全に拒絶されてしまった。
金髪の男の子は困った顔で、オロオロとし始めていまい、なんだかとても申し訳ない。
「リーブス商会に殺されそうになってる民間人を助けたでしょう?」
私がそう言うと、綺麗な眉がピクリと動いた。
こちらを向いたミカサは、やっぱり訝しげな顔をしているが、助けに行ったのは自分だということは認めてくれた。
「あそこに私もいたの。すごくかっこいいなって、感動したのよ。」
「当然のことをしただけです。」
ふいっと目を反らされてしまったけれど、その頬が僅かに染まっているのが分かった。
褒められているのに慣れていないのか、照れ屋なのか。
どちらにしろ、あのときの凛とした姿とは違う目の前の彼女が、とてつもなく可愛いのだけは分かる。
思わず抱きしめたら、やめてください、と氷のように冷たい声で言われてしまった。
悲しい。
「なまえさんは、民間人から調査兵団に入って
すでに壁外任務を受けてるすごい人だって聞いてます。
トロスト区でも奪還作戦、掃討作戦で活躍したんですよね。」
ミカサからそっと離れた私に、金髪の男の子が話しかけてきた。
彼もエレンにそっくりだ。
目がキラキラしている。
どうやら授業担当のネス班長が、新たに一緒に授業に加わる調査兵である私のことをミカサ達に紹介していたらしかった。
「あのときの私はただそこにいただけだったよ。
えーっと、君の名前を聞いてもいいかな?」
「そうでしたね。紹介忘れてました。
僕は104期南方訓練卒業生のアルミン・アルレルトです!」
「アルミン…、聞いたことがある気がする。」
どこで聞いたのだったか、考えていると馬っぽい顔の子がやってきて教えてくれて思い出した。
あのトロスト区奪還作戦を立案した訓練兵の名前、それがアルミン・アルレルトだった。
以前の歓迎会でピクシス司令が、すごく頭の切れる訓練兵がいると言っていた。
「僕なんかが余計なこと言うからたくさんの人が死んでしまって…。
マルコも…。」
「そうだね。たくさん死んだね。」
私がそういうと、ミカサに怖い顔で睨まれた。
唇を噛んでうつむくアルミンは、自責の念に襲われているようだった。あれからずっと、彼はその思いをずっと胸に抱えていたのだろうか。
それはなんて、なんて苦しいことだろう。
「でも、そのおかげで、私の家族は今、生きてるよ。」
「え?」
「あのときの勇敢な兵士達にずっとお礼が言いたかった。
アルミン、人類を救う作戦を立案してくれて、本当に、ありがとうございました。」
頭を下げる私に、アルミンは「いえ…。」と小さく首を振っただけだった。
私がどれだけ、エレンとアルミンに、ミカサに感謝しているのか。
きっと、こうして頭を下げるだけじゃ伝わらないと思う。
今もどれくらい伝わっているのかは、分からない。
あのときは、わけのわからない作戦に巻き込まれて頭にきたけれど、あの作戦があったから、今の私達がいる事実は変えようがないのだ。
「ミカサが言うほど、嫌な女じゃないですね~。」
ポニーテールの女の子がやってきて、私の顔を覗き込む。
坊主頭の小さな男の子も「そうだな!」と何だか嬉しそうだ。
嫌な女―とは何だろう。
しかも、ミカサにそう言われていたらしく、ショックが大きすぎる。
「リヴァイ班じゃないのにエレンの巨人化実験にずっと付き添ってる女兵士がいると
ネス班長から聞いていたんです。
それからずっとミカサが怒っていて…。」
金髪のとても可愛い女の子が教えてくれた。
その隣に立つそばかすの切れ長の目の女の子は、私を見てからかうような笑みを浮かべている。
「あ~…、あっ!エレンの恋人なのね。」
ミカサから敵視されている理由を理解して、安心したというよりも、胸の奥が温かくなった。
巨人化出来るエレンのことを悪く思っている人間は、残念ながら調査兵の中にもいるのを知っている。
でも、104期のミカサ達は、エレンに対して友人という気持ちが変わらないどころか、離れている間にヤキモチを妬いてくれる美人な恋人までいたなんて。
「違う…!エレンは…、家族です。」
否定をしているミカサの頬が赤く染まっていて、とても可愛らしい。
初々しい恋をしている彼女が羨ましい。
さすが、出会って初めての自己紹介で、一緒に巨人を駆逐してやりましょう!と目を爛々にしていた兵士の仲間なだけある。
私がそう言うと、馬っぽい男の子に、アイツと一緒にしないでくださいと心底嫌そうな顔をされたけれど。
とても似ていると思う。
先のトロスト区で巨人討伐の作戦に駆り出されたはずの彼らの目がどれも、死んでいなかったこととか―。
「ミカサにずっと会いたいと思ってたの。」
授業の休憩時間、私は少し離れた席に座っていたミカサの元へ向かった。
あの日から、トロスト区で自分達を助けてくれた訓練兵のことを忘れたことはなかった。
あの母娘も駐屯兵も、私が命を助けたと言うけれど、本当は違うと思っている。
助けたのは彼女だ。私が、彼女の姿を見ることがなければ、私もまた巨人に食われるだけだったからだ。
同じ104期の訓練兵ならエレンも知っているかもしれないと思って聞いてみると、あのとき、駐屯兵の精鋭と一緒に民間の救助を行っていた訓練兵は、ミカサ・アッカーマンしかいないと言われた。
そして、彼女は、先日の新兵勧誘式で調査兵団に入ったこともエレンから聞いて知っていた。
今日、新兵との初めての授業で、彼女に会えることを楽しみにしていたのだ。
いきなり声をかける私に、ミカサだけではなく、一緒にいる金髪の可愛らしい男の子にも訝しげな顔をされた。
「私はそんなこと思ったことありません。」
ピシャリと言い切り、ミカサは私から手元のノートへと視線を戻す。
完全に拒絶されてしまった。
金髪の男の子は困った顔で、オロオロとし始めていまい、なんだかとても申し訳ない。
「リーブス商会に殺されそうになってる民間人を助けたでしょう?」
私がそう言うと、綺麗な眉がピクリと動いた。
こちらを向いたミカサは、やっぱり訝しげな顔をしているが、助けに行ったのは自分だということは認めてくれた。
「あそこに私もいたの。すごくかっこいいなって、感動したのよ。」
「当然のことをしただけです。」
ふいっと目を反らされてしまったけれど、その頬が僅かに染まっているのが分かった。
褒められているのに慣れていないのか、照れ屋なのか。
どちらにしろ、あのときの凛とした姿とは違う目の前の彼女が、とてつもなく可愛いのだけは分かる。
思わず抱きしめたら、やめてください、と氷のように冷たい声で言われてしまった。
悲しい。
「なまえさんは、民間人から調査兵団に入って
すでに壁外任務を受けてるすごい人だって聞いてます。
トロスト区でも奪還作戦、掃討作戦で活躍したんですよね。」
ミカサからそっと離れた私に、金髪の男の子が話しかけてきた。
彼もエレンにそっくりだ。
目がキラキラしている。
どうやら授業担当のネス班長が、新たに一緒に授業に加わる調査兵である私のことをミカサ達に紹介していたらしかった。
「あのときの私はただそこにいただけだったよ。
えーっと、君の名前を聞いてもいいかな?」
「そうでしたね。紹介忘れてました。
僕は104期南方訓練卒業生のアルミン・アルレルトです!」
「アルミン…、聞いたことがある気がする。」
どこで聞いたのだったか、考えていると馬っぽい顔の子がやってきて教えてくれて思い出した。
あのトロスト区奪還作戦を立案した訓練兵の名前、それがアルミン・アルレルトだった。
以前の歓迎会でピクシス司令が、すごく頭の切れる訓練兵がいると言っていた。
「僕なんかが余計なこと言うからたくさんの人が死んでしまって…。
マルコも…。」
「そうだね。たくさん死んだね。」
私がそういうと、ミカサに怖い顔で睨まれた。
唇を噛んでうつむくアルミンは、自責の念に襲われているようだった。あれからずっと、彼はその思いをずっと胸に抱えていたのだろうか。
それはなんて、なんて苦しいことだろう。
「でも、そのおかげで、私の家族は今、生きてるよ。」
「え?」
「あのときの勇敢な兵士達にずっとお礼が言いたかった。
アルミン、人類を救う作戦を立案してくれて、本当に、ありがとうございました。」
頭を下げる私に、アルミンは「いえ…。」と小さく首を振っただけだった。
私がどれだけ、エレンとアルミンに、ミカサに感謝しているのか。
きっと、こうして頭を下げるだけじゃ伝わらないと思う。
今もどれくらい伝わっているのかは、分からない。
あのときは、わけのわからない作戦に巻き込まれて頭にきたけれど、あの作戦があったから、今の私達がいる事実は変えようがないのだ。
「ミカサが言うほど、嫌な女じゃないですね~。」
ポニーテールの女の子がやってきて、私の顔を覗き込む。
坊主頭の小さな男の子も「そうだな!」と何だか嬉しそうだ。
嫌な女―とは何だろう。
しかも、ミカサにそう言われていたらしく、ショックが大きすぎる。
「リヴァイ班じゃないのにエレンの巨人化実験にずっと付き添ってる女兵士がいると
ネス班長から聞いていたんです。
それからずっとミカサが怒っていて…。」
金髪のとても可愛い女の子が教えてくれた。
その隣に立つそばかすの切れ長の目の女の子は、私を見てからかうような笑みを浮かべている。
「あ~…、あっ!エレンの恋人なのね。」
ミカサから敵視されている理由を理解して、安心したというよりも、胸の奥が温かくなった。
巨人化出来るエレンのことを悪く思っている人間は、残念ながら調査兵の中にもいるのを知っている。
でも、104期のミカサ達は、エレンに対して友人という気持ちが変わらないどころか、離れている間にヤキモチを妬いてくれる美人な恋人までいたなんて。
「違う…!エレンは…、家族です。」
否定をしているミカサの頬が赤く染まっていて、とても可愛らしい。
初々しい恋をしている彼女が羨ましい。