ここからまた、運命の愛をあなたと~出逢いのとき~
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
白い砂の絨毯の上に腰を降ろし、ただひとりきりで地平線を眺める。
気付けばいつも、私はそうしていた。
友達は夢見がちだと笑うし、両親はそろそろ真剣に将来を考えなさいと叱る。
もしかしたら、私はずっと時間を無駄にしているのかもしれない。
それでも、私はいつか、出逢える気がしていた。
誰になのかは分からない。
でも、こうして海で待っていれば、迎えに来てくれるー。
運命の人が、心から愛したいと思える人が、この世界のどこかにいて、私を探してくれているー。
心のどこかが、そう信じていて、私は気が付けばいつも海に来てしまう。
逢ったこともない誰かの夢を何度も何度も見てしまうせいだと思う。
夢の中だけでしか会えない私の騎士がいる。
彼が誰かは知らない、名前も知らない。
でも、私は彼に恋をしている、たぶん。
少なくとも、冷たそうに見えるのにとても優しい瞳に見つめられたい、細くて華奢な手に触れたい、会ってみたいー、切ないくらいにそう願うくらいには、恋をしている。
優しい腕の中で眠る、そんな夢を見てしまったせいだろうか。
今日は特に、胸が苦しい。
不意に吹いた強い風が、私の長い髪を揺らした。
季節のせいか、肌寒くなってきた。
もうそろそろ帰った方がいい。
でもー。
今日も、迎えは来ないー。
もうずっとこのまま、会えないままなのだろうかー。
あぁ、誰にー。
私だけの騎士に、あの夢の中のあの人に、私は、ただひたすら、あぁ、逢いたいー。
彼は夢の中の存在なのにー。
膝を抱えて、私は目を伏せる。
(私の運命の人、私だけの騎士、あなたはどこにいるの…?)
女友達が言うように、私は夢を見続け過ぎているのかもしれない。
そろそろ、目を覚まさないといけないのかもしれない。
あぁ、でもこのまま、ずっと眠っていたい。
彼のいない世界を生きていくくらいなら、彼のいる夢の世界で、生きていた方がずっといいー。
そんなことを考えながら目を瞑っていたせいで、私はいつの間にか眠ってしまっていたようだ。
夢の中にはやっぱり彼がいた。
けれど、私はいつものように笑ってはいなかった。
私は彼の腕の中に抱かれていた。
すごく安心して、愛おしい。
でも、私には彼を抱きしめ返す力がなかった。
共に生きる時間が、なかった。
本当はまだ、もっと、もっと、一緒にいたくて、震える手で彼の頬に触れた。
すると、私の血で頬を赤く濡らした彼は、泣きそうな顔をした。
あぁ、もう最後なのか。
彼だけを映し続けた私の瞳に最後に映るのが、彼の泣き顔なんて、そんなのは嫌ー。
だからどうか、あぁ、どうか、泣かないでー。
また逢えるから、必ず、逢えるからー。
だから、いつか必ず迎えに来てほしいと、彼にお願いをする。
彼は頷いた。力強く頷いてくれたのにホッとして、私は意識を空に飛ばしてー。
「ん…。」
眉を顰め、私はゆっくりと瞼を押し上げた。
悲しみに胸が支配され、苦しい。
彼の夢を見た後は、いつもとても幸せな気持ちになって、それが余計に切なくさせるのにー。
こんなにツラいのは初めてだった。
膝に埋めた顔を上げた私は、そこでようやく、隣に誰かが座っていることに気が付いた。
目が合った彼は、夢の中の、彼に似ていた。
眠っている間に赤く染まっていた海と夕陽が、私を見つめる彼をやけに美しく照らす。
私はまだ、夢を、見ているのかもしれないー。
「悲しい夢でも見てたのか?」
夢の中で、何度も触れた彼の華奢で細い指が私の頬を撫でた。
しっとりと濡れた感触で、私が泣いていたことを知る。
彼は確かに、悲しい夢を見たのかと言ったし、実際に私は悲しい夢を見ていたし、夢の中で泣いていたのだろう。
いや、でも、たぶん、私は今、涙を流し続けていた。
夢の中では、何度触れても触れられても、感じることが出来なかった彼の体温。
でも、私の頬を撫でた彼の指はとても温かかったー。
これは、夢なのにー。
これは、夢、じゃないのー。
「名前を、聞いてもいいか?」
「…なまえ、です…。」
「そうか。」
彼は呟くように言うと、少しだけ目を伏せた。
その横顔はどこか安心したようで、まるで、ずっと知りたかったことを知れたようなそんな、嬉しそうなー。
「私も…、名前を聞いても、いいですか?」
「あぁ、そうだな。俺はリヴァイだ。」
「リヴァ、イ…。」
口に出した後、心の中でも彼の名前を呟いた。
初めて聞く名前なのに、ストンと胸に落ちた。
そう、彼の名前はリヴァイだ。そう、そうだったー。
よく分からない達成感と喜びが、私の胸に広がる。
もしかしたら私は、さっきの彼と同じ顔をしているのかもしれない。
「なまえ、もし嫌だったら、引っぱたいてくれて構わねぇ。」
「え?」
意味も分からないまま、リヴァイさんは私の頬に手を触れた。
そして、夢の中で何度もそうしていたみたいに、端正なリヴァイさんの顔が私に近づく。
あぁ、嫌だったらというのはそういうことかー。
そんなことを思いながら、気づけば私はさっき押し上げたばかりの瞼をもう一度閉じていた。
それからすぐに、そっと、唇が重なる。
私にとって、初めてのキスー。
どんなに気の合う男の人に告白されても、どんなに友人が勧めてくれた素敵な男性に求められても、どうしても受け止めることが出来なかった私が、つい数分前に初めて会ったばかりの男の人とキスをしているなんてー。
自分でも自分が信じられなかった。
それなのに、ひどく懐かしくて、愛おしい初めてのキスが、私に教えてくれるのだ。
彼が私の運命の人だって、やっと、逢えたんだってー。
名残惜し気に唇が離れて、私とリヴァイさんは唇が触れ合わないギリギリの距離で見つめ合う。
「俺も馬鹿げてると思うし、こんなこと言う男じゃねぇんだが。
なまえだけをずっと探してた、俺はなまえを迎えに来たんだ。
ーそう言ったら、なまえはどうする?」
私を見つめてリヴァイさんが言った言葉は、さっき見た夢の続きみたいだった。
やっぱり私は、夢の中にいて、続きを見ているのだろうか。
でも、すぐそこで聞こえる息遣いは、彼が私と同じ時の中で生きていると教えてくれるー。
「私も夢見がちだって思うし、そんなことする女じゃないのに。
リヴァイさんのことずっと待ってました。ずっと、会いたかった…。
そう言って、抱きしめたいです…。」
私が素直に答えれば、リヴァイさんは驚いたようにゆっくりと目を見開いた。
でもすぐに、ホッとしたように息を吐いた。
そして、抱きしめたいと告げた私を、リヴァイさんは抱きしめてくれた。
優しくて温かい腕の中は、甘くて苦い紅茶の香りがして、私はやっと自分の居場所に帰ってきたのだと思った。
やっと、会えたー。
あの日からずっと、ずっと待っていたー。
あぁ、あの日っていつのことだろうー。
リヴァイさんが、私の髪を指に絡めてすくった。
そして気づく。
今やっと、私の生きる世界は美しく輝き始めたのだー。
気付けばいつも、私はそうしていた。
友達は夢見がちだと笑うし、両親はそろそろ真剣に将来を考えなさいと叱る。
もしかしたら、私はずっと時間を無駄にしているのかもしれない。
それでも、私はいつか、出逢える気がしていた。
誰になのかは分からない。
でも、こうして海で待っていれば、迎えに来てくれるー。
運命の人が、心から愛したいと思える人が、この世界のどこかにいて、私を探してくれているー。
心のどこかが、そう信じていて、私は気が付けばいつも海に来てしまう。
逢ったこともない誰かの夢を何度も何度も見てしまうせいだと思う。
夢の中だけでしか会えない私の騎士がいる。
彼が誰かは知らない、名前も知らない。
でも、私は彼に恋をしている、たぶん。
少なくとも、冷たそうに見えるのにとても優しい瞳に見つめられたい、細くて華奢な手に触れたい、会ってみたいー、切ないくらいにそう願うくらいには、恋をしている。
優しい腕の中で眠る、そんな夢を見てしまったせいだろうか。
今日は特に、胸が苦しい。
不意に吹いた強い風が、私の長い髪を揺らした。
季節のせいか、肌寒くなってきた。
もうそろそろ帰った方がいい。
でもー。
今日も、迎えは来ないー。
もうずっとこのまま、会えないままなのだろうかー。
あぁ、誰にー。
私だけの騎士に、あの夢の中のあの人に、私は、ただひたすら、あぁ、逢いたいー。
彼は夢の中の存在なのにー。
膝を抱えて、私は目を伏せる。
(私の運命の人、私だけの騎士、あなたはどこにいるの…?)
女友達が言うように、私は夢を見続け過ぎているのかもしれない。
そろそろ、目を覚まさないといけないのかもしれない。
あぁ、でもこのまま、ずっと眠っていたい。
彼のいない世界を生きていくくらいなら、彼のいる夢の世界で、生きていた方がずっといいー。
そんなことを考えながら目を瞑っていたせいで、私はいつの間にか眠ってしまっていたようだ。
夢の中にはやっぱり彼がいた。
けれど、私はいつものように笑ってはいなかった。
私は彼の腕の中に抱かれていた。
すごく安心して、愛おしい。
でも、私には彼を抱きしめ返す力がなかった。
共に生きる時間が、なかった。
本当はまだ、もっと、もっと、一緒にいたくて、震える手で彼の頬に触れた。
すると、私の血で頬を赤く濡らした彼は、泣きそうな顔をした。
あぁ、もう最後なのか。
彼だけを映し続けた私の瞳に最後に映るのが、彼の泣き顔なんて、そんなのは嫌ー。
だからどうか、あぁ、どうか、泣かないでー。
また逢えるから、必ず、逢えるからー。
だから、いつか必ず迎えに来てほしいと、彼にお願いをする。
彼は頷いた。力強く頷いてくれたのにホッとして、私は意識を空に飛ばしてー。
「ん…。」
眉を顰め、私はゆっくりと瞼を押し上げた。
悲しみに胸が支配され、苦しい。
彼の夢を見た後は、いつもとても幸せな気持ちになって、それが余計に切なくさせるのにー。
こんなにツラいのは初めてだった。
膝に埋めた顔を上げた私は、そこでようやく、隣に誰かが座っていることに気が付いた。
目が合った彼は、夢の中の、彼に似ていた。
眠っている間に赤く染まっていた海と夕陽が、私を見つめる彼をやけに美しく照らす。
私はまだ、夢を、見ているのかもしれないー。
「悲しい夢でも見てたのか?」
夢の中で、何度も触れた彼の華奢で細い指が私の頬を撫でた。
しっとりと濡れた感触で、私が泣いていたことを知る。
彼は確かに、悲しい夢を見たのかと言ったし、実際に私は悲しい夢を見ていたし、夢の中で泣いていたのだろう。
いや、でも、たぶん、私は今、涙を流し続けていた。
夢の中では、何度触れても触れられても、感じることが出来なかった彼の体温。
でも、私の頬を撫でた彼の指はとても温かかったー。
これは、夢なのにー。
これは、夢、じゃないのー。
「名前を、聞いてもいいか?」
「…なまえ、です…。」
「そうか。」
彼は呟くように言うと、少しだけ目を伏せた。
その横顔はどこか安心したようで、まるで、ずっと知りたかったことを知れたようなそんな、嬉しそうなー。
「私も…、名前を聞いても、いいですか?」
「あぁ、そうだな。俺はリヴァイだ。」
「リヴァ、イ…。」
口に出した後、心の中でも彼の名前を呟いた。
初めて聞く名前なのに、ストンと胸に落ちた。
そう、彼の名前はリヴァイだ。そう、そうだったー。
よく分からない達成感と喜びが、私の胸に広がる。
もしかしたら私は、さっきの彼と同じ顔をしているのかもしれない。
「なまえ、もし嫌だったら、引っぱたいてくれて構わねぇ。」
「え?」
意味も分からないまま、リヴァイさんは私の頬に手を触れた。
そして、夢の中で何度もそうしていたみたいに、端正なリヴァイさんの顔が私に近づく。
あぁ、嫌だったらというのはそういうことかー。
そんなことを思いながら、気づけば私はさっき押し上げたばかりの瞼をもう一度閉じていた。
それからすぐに、そっと、唇が重なる。
私にとって、初めてのキスー。
どんなに気の合う男の人に告白されても、どんなに友人が勧めてくれた素敵な男性に求められても、どうしても受け止めることが出来なかった私が、つい数分前に初めて会ったばかりの男の人とキスをしているなんてー。
自分でも自分が信じられなかった。
それなのに、ひどく懐かしくて、愛おしい初めてのキスが、私に教えてくれるのだ。
彼が私の運命の人だって、やっと、逢えたんだってー。
名残惜し気に唇が離れて、私とリヴァイさんは唇が触れ合わないギリギリの距離で見つめ合う。
「俺も馬鹿げてると思うし、こんなこと言う男じゃねぇんだが。
なまえだけをずっと探してた、俺はなまえを迎えに来たんだ。
ーそう言ったら、なまえはどうする?」
私を見つめてリヴァイさんが言った言葉は、さっき見た夢の続きみたいだった。
やっぱり私は、夢の中にいて、続きを見ているのだろうか。
でも、すぐそこで聞こえる息遣いは、彼が私と同じ時の中で生きていると教えてくれるー。
「私も夢見がちだって思うし、そんなことする女じゃないのに。
リヴァイさんのことずっと待ってました。ずっと、会いたかった…。
そう言って、抱きしめたいです…。」
私が素直に答えれば、リヴァイさんは驚いたようにゆっくりと目を見開いた。
でもすぐに、ホッとしたように息を吐いた。
そして、抱きしめたいと告げた私を、リヴァイさんは抱きしめてくれた。
優しくて温かい腕の中は、甘くて苦い紅茶の香りがして、私はやっと自分の居場所に帰ってきたのだと思った。
やっと、会えたー。
あの日からずっと、ずっと待っていたー。
あぁ、あの日っていつのことだろうー。
リヴァイさんが、私の髪を指に絡めてすくった。
そして気づく。
今やっと、私の生きる世界は美しく輝き始めたのだー。
1/1ページ