◇第百六十話◇起死回生の作戦
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獣の巨人達の作戦によって、調査兵団の兵力は二分されてしまった。
シガンシナ区側では、エレンを守るリヴァイ班とハンジ班、ミケ班が鎧の巨人と戦っている。
ウォール・マリア側では、獣の巨人の投石から馬を守る新兵達、馬を狙う2~3m級の巨人の討伐をその他の班、獣の巨人を狙うリヴァイ兵長に別れて、それぞれが必死に戦っている。
エルヴィン団長の指示によって、ハンジ班の私も、ウォール・マリア側で獣の巨人を狙うリヴァイ兵長のサポートをすることになった。
だが、兵力を分けられてしまった時点で、私達は彼らの策中にはまっていたのだろう。
突然、投石を始めた獣の巨人によって、前方にある建物は粗方吹き飛んでしまっていた。
2~3m級の巨人を相手にしていた精鋭兵の多くはその投石によって命を失った。
なんとか生き残った兵士達も後方の建物の物陰に隠れてはいるが、続く投石によってこのあたりをすべて更地にされてしまうまで時間の問題だ。
そうなれば、私達は巨人を倒すどころか、投石によって死ぬことになってしまうー。
これからどうするべきか。
頭を悩ませる私達の向こうで、新兵達が言い争いを始めていた。
どうやら、自分が逃げることに必死だった新兵の1人が、馬を逃がしてしまったようだ。
これではもう、馬に乗って逃げることも出来ない。
でも、新兵の彼は泣きながら叫ぶ。
馬を守ったところで、誰が乗って帰れるのだーと。
オルオがペトラを抱きしめて、獣の巨人のいる方を睨みつける。
どうしても、私達は生きて帰りたい。
そう、もうせめて、生きて帰るだけでいいー。
そんなことを、兵士達は考え始めていた。
それは、リヴァイ兵長ですら同じだったようだ。
「エルヴィン、反撃の手数が何も残されてねぇって言うんなら
敗走の準備をするぞ。
なまえ、エレンを連れてこい。」
「エレンをですか?」
「あぁ、巨人化したエレンにエルヴィンと何人かを乗せて逃げろ。
少しでも生存者を残す。なまえもちゃんと乗って逃げろよ。」
「そんな…っ!?リヴァイ兵長は!?」
「俺は獣の相手だ。奴をひきつけてー。」
「無理だ。近づくことすら出来ない。」
エルヴィン団長が首を振る。
もう諦めているようなエルヴィン団長だったが、リヴァイ兵長はそれでも希望を見続けようとしていた。
せめて、エルヴィン団長とエレンさえ生きて帰ればどうにかなる。
他の兵士達を諦め、今の勝利を諦め、いつかの希望に賭けて逃げるー。
もうそれしか残されていないと思っているようだった。
「大敗北だ。正直言って…俺はもう誰も生きて帰れないとすら思ってる。」
「あぁ、反撃の手立てが何も無ければな…。」
エルヴィン団長が目を伏せる。
まるで、何かに気づかないでほしいと願うようにー。
でも、本当は気づいて欲しくもあったように思った。
だからきっと、リヴァイ兵長は気づいてしまったのだ。
「…あるのか?」
「…あぁ。」
「…なぜそれをすぐに言わない?
…なぜクソみてぇなツラして黙っている?」
エルヴィン団長の答えは、私の知っている彼らしくはなかった。
でも、とても人間らしかったと思う。
たとえそれが、人類の勝利を妨げようとしていたのだとしてもー。
だって、誰にだって、夢を見る権利はあると思うから。
それでも、エルヴィン団長は背中に重たいものを背負っていて、リヴァイ兵長はそれを肩代わりしてでも人類のための勝利をまっすぐに見つめていた。
きっと、リヴァイ兵長にとって、エルヴィン団長は道標だったに違いない。
彼がいなくなったら、リヴァイ兵長はどうなるのだろう。
今、このときにも、獣の巨人は投石を続けていた。
まるで、私達が夢を見ることすら許さないとばかりにー。
シガンシナ区側では、エレンを守るリヴァイ班とハンジ班、ミケ班が鎧の巨人と戦っている。
ウォール・マリア側では、獣の巨人の投石から馬を守る新兵達、馬を狙う2~3m級の巨人の討伐をその他の班、獣の巨人を狙うリヴァイ兵長に別れて、それぞれが必死に戦っている。
エルヴィン団長の指示によって、ハンジ班の私も、ウォール・マリア側で獣の巨人を狙うリヴァイ兵長のサポートをすることになった。
だが、兵力を分けられてしまった時点で、私達は彼らの策中にはまっていたのだろう。
突然、投石を始めた獣の巨人によって、前方にある建物は粗方吹き飛んでしまっていた。
2~3m級の巨人を相手にしていた精鋭兵の多くはその投石によって命を失った。
なんとか生き残った兵士達も後方の建物の物陰に隠れてはいるが、続く投石によってこのあたりをすべて更地にされてしまうまで時間の問題だ。
そうなれば、私達は巨人を倒すどころか、投石によって死ぬことになってしまうー。
これからどうするべきか。
頭を悩ませる私達の向こうで、新兵達が言い争いを始めていた。
どうやら、自分が逃げることに必死だった新兵の1人が、馬を逃がしてしまったようだ。
これではもう、馬に乗って逃げることも出来ない。
でも、新兵の彼は泣きながら叫ぶ。
馬を守ったところで、誰が乗って帰れるのだーと。
オルオがペトラを抱きしめて、獣の巨人のいる方を睨みつける。
どうしても、私達は生きて帰りたい。
そう、もうせめて、生きて帰るだけでいいー。
そんなことを、兵士達は考え始めていた。
それは、リヴァイ兵長ですら同じだったようだ。
「エルヴィン、反撃の手数が何も残されてねぇって言うんなら
敗走の準備をするぞ。
なまえ、エレンを連れてこい。」
「エレンをですか?」
「あぁ、巨人化したエレンにエルヴィンと何人かを乗せて逃げろ。
少しでも生存者を残す。なまえもちゃんと乗って逃げろよ。」
「そんな…っ!?リヴァイ兵長は!?」
「俺は獣の相手だ。奴をひきつけてー。」
「無理だ。近づくことすら出来ない。」
エルヴィン団長が首を振る。
もう諦めているようなエルヴィン団長だったが、リヴァイ兵長はそれでも希望を見続けようとしていた。
せめて、エルヴィン団長とエレンさえ生きて帰ればどうにかなる。
他の兵士達を諦め、今の勝利を諦め、いつかの希望に賭けて逃げるー。
もうそれしか残されていないと思っているようだった。
「大敗北だ。正直言って…俺はもう誰も生きて帰れないとすら思ってる。」
「あぁ、反撃の手立てが何も無ければな…。」
エルヴィン団長が目を伏せる。
まるで、何かに気づかないでほしいと願うようにー。
でも、本当は気づいて欲しくもあったように思った。
だからきっと、リヴァイ兵長は気づいてしまったのだ。
「…あるのか?」
「…あぁ。」
「…なぜそれをすぐに言わない?
…なぜクソみてぇなツラして黙っている?」
エルヴィン団長の答えは、私の知っている彼らしくはなかった。
でも、とても人間らしかったと思う。
たとえそれが、人類の勝利を妨げようとしていたのだとしてもー。
だって、誰にだって、夢を見る権利はあると思うから。
それでも、エルヴィン団長は背中に重たいものを背負っていて、リヴァイ兵長はそれを肩代わりしてでも人類のための勝利をまっすぐに見つめていた。
きっと、リヴァイ兵長にとって、エルヴィン団長は道標だったに違いない。
彼がいなくなったら、リヴァイ兵長はどうなるのだろう。
今、このときにも、獣の巨人は投石を続けていた。
まるで、私達が夢を見ることすら許さないとばかりにー。