◇第百五十五話◇始まりの場所で愛を誓う(下)
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以前の壁外調査のときに旧調査兵団本部を使用したことで、倉庫には立体起動装置と超硬質スチールがまだいくつか残っていた。
巨人化出来るエレンをまたいつこの旧調査兵団本部に連れてくることになるか分からないから、これからもいくつかはここに保管しておく予定なのだそうだ。
その倉庫の鍵を開けて中に入ったリヴァイ兵長は、立体起動装置を腰に装備すると、慣れた手つきで私を抱き上げた。
今だにドキドキするけれど、この角度からの至近距離のリヴァイ兵長の横顔を愛おしいと感じられるくらいには、この場所が私だけの特等席だと思えるようになっている。
「しっかりつかまってろよ。」
「はい。」
リヴァイ兵長の首にまわした手に力を入れる。
胸板に私の身体をしっかり密着させれば、リヴァイ兵長は片手でその身体を支えながら、アンカーを城壁に飛ばした。
ワイヤーを巻き上げては、アンカーをまた別の場所に刺す。
それを何度か繰り返して、辿り着いたのはこのお城で最も高い屋根の上だった。
リヴァイ兵長にそっと屋根の上に降ろしてもらった私は、すぐに夜空を見上げた。
あのときと全く同じ、降ってきそうなほどに星が輝く満天の夜空に鳥肌が立った。
「あのときもなまえは夢中で星を見てたな。」
リヴァイ兵長が隣に並んで夜空を見上げた。
でも、驚いた私は星を見上げることも忘れて、リヴァイ兵長の方を向く。
「覚えてたんですか?」
「お前が親友に会いてぇと言うから、連れてきてやったんだっけな。」
リヴァイ兵長は夜空を見上げながら答える。
でもきっと、この場所に連れて言ってほしいと私がお願いした理由を彼は知らない。
あのときの私も、こんな日が来ることを知らない。
だから、苦しくて苦しくて、たくさん泣いたー。
叶わない恋だと、泣いて泣いて、何度も諦めようとした。
それでも諦められなくて、どうしても好きで好きで、何度だって泣いた。
でも、諦めなくてよかったー。
あの日の私に教えてあげたい。
苦しくても信じて、自分の気持ちと、愛おしい人の愛をただひたすら信じてってー。
「あの日、私はリヴァイ兵長が好きだって、気づいたんです。」
真っすぐにリヴァイ兵長を見つめながら言えば、夜空を見上げていた瞳がゆっくりと見開いていった。
思ってもいなかった告白だったのだろう。
あの日の私も、それを伝える日が来るとは思っていなかった。
「リヴァイ兵長と一緒にいて、ドキドキして、もうそれは絶対に恋に違いなくて。
あぁもうなんで、よりによってって、最悪だって思いました。」
「あぁ…、だから…。なまえが、急に俺を避けだしたのはそのせいか。」
リヴァイ兵長は納得したように言うと、口元に苦笑を混ぜてから続ける。
「俺はそのせいで、自覚するしかなくなった。」
「自覚?」
「よりによって最悪に面倒くさそうな女に惚れてるって自覚だ。」
リヴァイ兵長が意地悪く言う。
さっきの私への仕返しか。
本気混じりの冗談にも愛を感じてしまう私はきっと重症だ。
「めんどくさくないイイ女だって気づいてくれてよかったです。」
「いいや、やっぱりお前は面倒くせぇ女だった。」
リヴァイ兵長はそう言うと、私の方を向いた。
苦笑している唇に反して、瞳はとても優しい。
「他の女ならなかったことに出来たはずなのに、
気づいたらプロポーズまでしちまってる。
深みにハマりすぎて、もう抜け出せそうにねぇ。」
「じゃあ、私にとってもリヴァイ兵長は面倒くさい男ですよ。」
「そりゃいいな。」
リヴァイ兵長の口元が満足気に薄い弧を描いた。
抱き寄せられて、唇を重ねる。
そっと唇が離れれば、私はリヴァイ兵長を抱きしめた。
「プロポーズ、嬉しかったです。すごく…。」
「あぁ、知ってる。」
優しい声が、私の気持ちなんて全てお見通しだって声が、とても安心する。
世界は今、混乱の渦の真ん中にいる。
それでも今このときだけは、世界中の全てが幸せに満ち溢れているように感じられた。
だって、夜空に輝く満天の星達が、私達の未来を祝福してくれていたからー。
巨人化出来るエレンをまたいつこの旧調査兵団本部に連れてくることになるか分からないから、これからもいくつかはここに保管しておく予定なのだそうだ。
その倉庫の鍵を開けて中に入ったリヴァイ兵長は、立体起動装置を腰に装備すると、慣れた手つきで私を抱き上げた。
今だにドキドキするけれど、この角度からの至近距離のリヴァイ兵長の横顔を愛おしいと感じられるくらいには、この場所が私だけの特等席だと思えるようになっている。
「しっかりつかまってろよ。」
「はい。」
リヴァイ兵長の首にまわした手に力を入れる。
胸板に私の身体をしっかり密着させれば、リヴァイ兵長は片手でその身体を支えながら、アンカーを城壁に飛ばした。
ワイヤーを巻き上げては、アンカーをまた別の場所に刺す。
それを何度か繰り返して、辿り着いたのはこのお城で最も高い屋根の上だった。
リヴァイ兵長にそっと屋根の上に降ろしてもらった私は、すぐに夜空を見上げた。
あのときと全く同じ、降ってきそうなほどに星が輝く満天の夜空に鳥肌が立った。
「あのときもなまえは夢中で星を見てたな。」
リヴァイ兵長が隣に並んで夜空を見上げた。
でも、驚いた私は星を見上げることも忘れて、リヴァイ兵長の方を向く。
「覚えてたんですか?」
「お前が親友に会いてぇと言うから、連れてきてやったんだっけな。」
リヴァイ兵長は夜空を見上げながら答える。
でもきっと、この場所に連れて言ってほしいと私がお願いした理由を彼は知らない。
あのときの私も、こんな日が来ることを知らない。
だから、苦しくて苦しくて、たくさん泣いたー。
叶わない恋だと、泣いて泣いて、何度も諦めようとした。
それでも諦められなくて、どうしても好きで好きで、何度だって泣いた。
でも、諦めなくてよかったー。
あの日の私に教えてあげたい。
苦しくても信じて、自分の気持ちと、愛おしい人の愛をただひたすら信じてってー。
「あの日、私はリヴァイ兵長が好きだって、気づいたんです。」
真っすぐにリヴァイ兵長を見つめながら言えば、夜空を見上げていた瞳がゆっくりと見開いていった。
思ってもいなかった告白だったのだろう。
あの日の私も、それを伝える日が来るとは思っていなかった。
「リヴァイ兵長と一緒にいて、ドキドキして、もうそれは絶対に恋に違いなくて。
あぁもうなんで、よりによってって、最悪だって思いました。」
「あぁ…、だから…。なまえが、急に俺を避けだしたのはそのせいか。」
リヴァイ兵長は納得したように言うと、口元に苦笑を混ぜてから続ける。
「俺はそのせいで、自覚するしかなくなった。」
「自覚?」
「よりによって最悪に面倒くさそうな女に惚れてるって自覚だ。」
リヴァイ兵長が意地悪く言う。
さっきの私への仕返しか。
本気混じりの冗談にも愛を感じてしまう私はきっと重症だ。
「めんどくさくないイイ女だって気づいてくれてよかったです。」
「いいや、やっぱりお前は面倒くせぇ女だった。」
リヴァイ兵長はそう言うと、私の方を向いた。
苦笑している唇に反して、瞳はとても優しい。
「他の女ならなかったことに出来たはずなのに、
気づいたらプロポーズまでしちまってる。
深みにハマりすぎて、もう抜け出せそうにねぇ。」
「じゃあ、私にとってもリヴァイ兵長は面倒くさい男ですよ。」
「そりゃいいな。」
リヴァイ兵長の口元が満足気に薄い弧を描いた。
抱き寄せられて、唇を重ねる。
そっと唇が離れれば、私はリヴァイ兵長を抱きしめた。
「プロポーズ、嬉しかったです。すごく…。」
「あぁ、知ってる。」
優しい声が、私の気持ちなんて全てお見通しだって声が、とても安心する。
世界は今、混乱の渦の真ん中にいる。
それでも今このときだけは、世界中の全てが幸せに満ち溢れているように感じられた。
だって、夜空に輝く満天の星達が、私達の未来を祝福してくれていたからー。