◇第百五十話◇我らの天使の帰還
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あらかたの巨人は精鋭兵が討伐し終えた。
獣の巨人も一度は戦闘不能までリヴァイが追い詰めたが、四足歩行の巨人が現れて中にいた人間を連れ去ってしまった。
これ以上の深追いは危険と判断したエルヴィンにより、リヴァイは壁上に戻る。
所属班の兵士達と共に壁上から眼下の巨人に砲弾を落としていたハンジが、リヴァイに気づいてやってきた。
「お疲れ。大丈夫?」
「何がだ。」
何を心配しているのかわかっていて、リヴァイは気づかないフリをした。
「結婚式、迎えに行くはずだったんだろ。」
「仕方がねぇだろ。巨人は待ってくれねぇんだから。」
言いながら、リヴァイは拳を握りしめた。
眼下では、精鋭兵達が必死に巨人を討伐している。
調査に出た調査兵と駐屯兵の報告で、ウォール・ローゼ内に穴は見つからなかったことが分かっている。
だからきっと、今、バタバタと倒れていっている巨人達は、昨日までは普通に生活していた人間なのだろう。
だからって、巨人になってしまったのならストヘス区にいれるわけにはいかない。
戦わないわけには、行かないのだ。
自分は、兵士なのだからー。
「今から行ったら?まだ間に合うかも…、しれないし?」
自信のない言い方。
ハンジだって、もう分っているはずだ。
もうとっくに結婚式は終わっている時間だ。
間に合わなかったのだ。
どうして、今日だったのだろうと考えずにはいられないが、どっちにしろ、自分は巨人と戦う方を選んだということだ。
迎えに行くと約束した彼女の元ではなくー。
「王都に侵入して奪い返しにでも行くか。」
お決まりの無表情で、リヴァイは自分なりに冗談めかして言いながら、自分の両手を見下ろす。
新兵に仲間のために手を汚す覚悟を持たせ、自らの手も汚した。
後悔はない。
ただ、本当にこの手で、無垢で純粋で、綺麗な笑顔の彼女を抱きしめていいのか。
離れた時間が長すぎたせいなのか、自信がなくなった。
「なまえ奪取計画なら私も乗るよ。
とりあえず今は、巨人の侵入を防ぐのとアニの死守だね。」
「あぁ…、だが、新兵だけで鎧の巨人は荷が重すぎたんじゃねぇか。」
「彼らもきっと頑張ってくれてるとは思うけど、
まぁ、そうなればもう仕方がないよ。」
ハンジが頭を掻く。
始めから、アニは諦めるしかないという戦略だった。
何よりも優先すべきは人類の命、存続だった。
そこへ、新兵達の様子を見に行っていた駐屯兵が走ってやってきた。
そして、興奮気味に報告する。
「鎧の巨人との決着がつきました!!」
「それで、アニは守れたの?」
「アニの死守には成功、鎧の巨人も追い詰めましたが、新兵の巨人が突如、敵側につき、
鎧の巨人の中身と仲間の男を咥えて逃げて行った模様です。
とりあえず、アニの死守という目的は達成したため、深追いは避けたということでした。」
とても意外だった。
彼らがそこまでやるとは、エルヴィンだって想像してはいなかっただろう。
話を聞きつけたエルヴィンもやってきて、どのように鎧の巨人を追い詰めたのかを確認し始めたとき、リヴァイ達の視界に白い翼が入った。
突如、壁上に降り立った彼女は、真っ白いレースを、天使の羽のように靡かせていた。
破り切られたドレスの裾がハラハラと揺れて、綺麗な白い生足を覗かせる。
真っすぐに堂々と立つ横顔は凛々しく、戦場の天使さながらだった。
彼女は、眼下で戦う仲間たちを見た後、視線に気づいたのか漸くリヴァイ達の方を向いた。
その途端に、凛々しかった力強い瞳が、唇が、頬が、嬉しそうに笑顔を作った。
「もう~!遅いですよ!
待ちくたびれすぎて、私が迎えに来ちゃいましたよ!」
冗談めかして、彼女が、なまえが、笑う。
天使のような屈託のない笑顔は、確かになまえのものだ。
自分だけに向けてくれる、愛おしさで溢れた笑顔だ。
気づけば、リヴァイは地面を蹴っていた。
汚れた手が、とか、こんな自分でいいのだろうか、とか。
リヴァイにとってとても大きな悩みを、なまえはいつもその笑顔でほんの小さな欠片すら残さずに消し去ってくれる。
ただ、愛したいと思わせてくれる。
抱きしめたい、とー。
「なまえ…!!」
抱きしめた。
強く、強く。
なまえが腕の中にいるのを確かめるように、ただ必死に抱きしめた。
あぁ、すごく久しぶりに感じる温もりが、今回の戦いで疲れていた心と身体をとかしていく。
抱き合うなまえとリヴァイの向こうに、104期の新兵達も戻ってきた。
それを見て、エルヴィンは気づく。
「鎧の巨人を追い詰めたのはなまえだったわけか。」
事の経緯、そして鎧の巨人との壮絶な戦闘を104期の新兵達が話し出す。
ハンジは興味津々で聞いているのに、当事者のなまえはそんなことどうでもいいとばかりにリヴァイに抱き着いて離れない。
そして嬉しそうに、迎えに来るのが遅いと文句を言っている。
兵団服を着ないで戦っている兵士を見たー。
それが、なまえが調査兵団に入団するきっかけだった。
今度は彼女は、ボロボロに破ったウェディングドレスで巨人を討伐し、調査兵団を、人類をまた救った。
おそらくただ、仲間を救いたくて、リヴァイに会いたくてー。
「早く帰りましょうっ、私たちの家にっ。」
なまえの屈託のない笑顔は、今、巨人化されてしまった人間の討伐で疲弊してしまった兵士達の心を癒した。
やはり、彼女は兵団に必要だ。
エルヴィンに、リヴァイに、ハンジにそう思わせて、漸く、調査兵団のじゃじゃ馬姫は帰って来た。
獣の巨人も一度は戦闘不能までリヴァイが追い詰めたが、四足歩行の巨人が現れて中にいた人間を連れ去ってしまった。
これ以上の深追いは危険と判断したエルヴィンにより、リヴァイは壁上に戻る。
所属班の兵士達と共に壁上から眼下の巨人に砲弾を落としていたハンジが、リヴァイに気づいてやってきた。
「お疲れ。大丈夫?」
「何がだ。」
何を心配しているのかわかっていて、リヴァイは気づかないフリをした。
「結婚式、迎えに行くはずだったんだろ。」
「仕方がねぇだろ。巨人は待ってくれねぇんだから。」
言いながら、リヴァイは拳を握りしめた。
眼下では、精鋭兵達が必死に巨人を討伐している。
調査に出た調査兵と駐屯兵の報告で、ウォール・ローゼ内に穴は見つからなかったことが分かっている。
だからきっと、今、バタバタと倒れていっている巨人達は、昨日までは普通に生活していた人間なのだろう。
だからって、巨人になってしまったのならストヘス区にいれるわけにはいかない。
戦わないわけには、行かないのだ。
自分は、兵士なのだからー。
「今から行ったら?まだ間に合うかも…、しれないし?」
自信のない言い方。
ハンジだって、もう分っているはずだ。
もうとっくに結婚式は終わっている時間だ。
間に合わなかったのだ。
どうして、今日だったのだろうと考えずにはいられないが、どっちにしろ、自分は巨人と戦う方を選んだということだ。
迎えに行くと約束した彼女の元ではなくー。
「王都に侵入して奪い返しにでも行くか。」
お決まりの無表情で、リヴァイは自分なりに冗談めかして言いながら、自分の両手を見下ろす。
新兵に仲間のために手を汚す覚悟を持たせ、自らの手も汚した。
後悔はない。
ただ、本当にこの手で、無垢で純粋で、綺麗な笑顔の彼女を抱きしめていいのか。
離れた時間が長すぎたせいなのか、自信がなくなった。
「なまえ奪取計画なら私も乗るよ。
とりあえず今は、巨人の侵入を防ぐのとアニの死守だね。」
「あぁ…、だが、新兵だけで鎧の巨人は荷が重すぎたんじゃねぇか。」
「彼らもきっと頑張ってくれてるとは思うけど、
まぁ、そうなればもう仕方がないよ。」
ハンジが頭を掻く。
始めから、アニは諦めるしかないという戦略だった。
何よりも優先すべきは人類の命、存続だった。
そこへ、新兵達の様子を見に行っていた駐屯兵が走ってやってきた。
そして、興奮気味に報告する。
「鎧の巨人との決着がつきました!!」
「それで、アニは守れたの?」
「アニの死守には成功、鎧の巨人も追い詰めましたが、新兵の巨人が突如、敵側につき、
鎧の巨人の中身と仲間の男を咥えて逃げて行った模様です。
とりあえず、アニの死守という目的は達成したため、深追いは避けたということでした。」
とても意外だった。
彼らがそこまでやるとは、エルヴィンだって想像してはいなかっただろう。
話を聞きつけたエルヴィンもやってきて、どのように鎧の巨人を追い詰めたのかを確認し始めたとき、リヴァイ達の視界に白い翼が入った。
突如、壁上に降り立った彼女は、真っ白いレースを、天使の羽のように靡かせていた。
破り切られたドレスの裾がハラハラと揺れて、綺麗な白い生足を覗かせる。
真っすぐに堂々と立つ横顔は凛々しく、戦場の天使さながらだった。
彼女は、眼下で戦う仲間たちを見た後、視線に気づいたのか漸くリヴァイ達の方を向いた。
その途端に、凛々しかった力強い瞳が、唇が、頬が、嬉しそうに笑顔を作った。
「もう~!遅いですよ!
待ちくたびれすぎて、私が迎えに来ちゃいましたよ!」
冗談めかして、彼女が、なまえが、笑う。
天使のような屈託のない笑顔は、確かになまえのものだ。
自分だけに向けてくれる、愛おしさで溢れた笑顔だ。
気づけば、リヴァイは地面を蹴っていた。
汚れた手が、とか、こんな自分でいいのだろうか、とか。
リヴァイにとってとても大きな悩みを、なまえはいつもその笑顔でほんの小さな欠片すら残さずに消し去ってくれる。
ただ、愛したいと思わせてくれる。
抱きしめたい、とー。
「なまえ…!!」
抱きしめた。
強く、強く。
なまえが腕の中にいるのを確かめるように、ただ必死に抱きしめた。
あぁ、すごく久しぶりに感じる温もりが、今回の戦いで疲れていた心と身体をとかしていく。
抱き合うなまえとリヴァイの向こうに、104期の新兵達も戻ってきた。
それを見て、エルヴィンは気づく。
「鎧の巨人を追い詰めたのはなまえだったわけか。」
事の経緯、そして鎧の巨人との壮絶な戦闘を104期の新兵達が話し出す。
ハンジは興味津々で聞いているのに、当事者のなまえはそんなことどうでもいいとばかりにリヴァイに抱き着いて離れない。
そして嬉しそうに、迎えに来るのが遅いと文句を言っている。
兵団服を着ないで戦っている兵士を見たー。
それが、なまえが調査兵団に入団するきっかけだった。
今度は彼女は、ボロボロに破ったウェディングドレスで巨人を討伐し、調査兵団を、人類をまた救った。
おそらくただ、仲間を救いたくて、リヴァイに会いたくてー。
「早く帰りましょうっ、私たちの家にっ。」
なまえの屈託のない笑顔は、今、巨人化されてしまった人間の討伐で疲弊してしまった兵士達の心を癒した。
やはり、彼女は兵団に必要だ。
エルヴィンに、リヴァイに、ハンジにそう思わせて、漸く、調査兵団のじゃじゃ馬姫は帰って来た。