◇第十五話◇入団
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調査兵団の団長室。
エルヴィン団長を前にして、私は自分の気持ちを伝えた。
隣に立つハンジさんは、きっと今とても喜んでいるに違いない。
ハンジさんの手のひらの上で転がされているのは分かっていた。
きっと、今の私は、ハンジさんのシナリオ通りの動きをしている。
でも、これから何があっても、もしも私の命が終わることがあっても、誰も責めないと覚悟を決めて、ここに立っている。
しばらくの沈黙の後、エルヴィン団長はゆっくりと口を開いた。
「君を調査兵団に招いたのは私だ。
ハンジやリヴァイ、他の兵士からも君の実力については聞いている。
君が本当に入団に応じてくれるのならば、私は喜んで君を受け入れる。」
それでもいいのか―。
真っすぐに私を見据えるエルヴィン団長の瞳は、私の覚悟を訊ねていた。
昨日の夜、そして、団長室に来るまでの廊下、私はずっと自分の心に問いかけた。
自分の命惜しさに、家族の安全と誰かの命を捨てる覚悟はあるか―と。
答えは、NOだ。
私は、罪悪感に苦しむ覚悟よりも、自分の命を懸ける覚悟をとった。
覚悟は変わらないという返事を聞いたエルヴィン団長は、小さく息を吐き、質問を重ねた。
「君は、どんな兵士になりたいと思っている。」
意外な質問だった。
でも、私の答えは決まっている。
兵士としては頼りないかもしれない。そもそも公に心臓を捧げると誓う兵士としては間違った答えかもしれない。
でも、もう決めた―。
「誰も死なせない兵士です。」
私の答えに、ハンジさんは驚いたようだった。
ビックリして息を呑んだ音が隣から聞こえた。
だが、エルヴィン団長は眉一つ動かさなかった。
予想通り―そう言われているみたいだった。
「それは、人類最強の兵士になるよりも難しい道のりだ。
志半ばで君は絶望を見るだろう。それでも、君は困難な道を歩くか。」
「私の兵士はひとつしかありません。」
「そうか。」
エルヴィン団長はそう呟くと、わずかに目を伏せた。
そうして、ゆっくり顔を上げ、私を見つめる。
その瞳は力強く、改めて、私の命を彼に預ける覚悟をした。
「 今この瞬間より、君を正式な調査兵団として迎えよう。
これが本物の敬礼だ!心臓を捧げよ!!」
「心臓を捧げよ!!」
エルヴィン団長に、覚えたての敬礼で応える。
「なまえ、心臓が左になってるよ。」
「あ!」
慌てて心臓を叩く手を変えようとして、正しく左胸を叩いていることに気づいた。
騙された。
ハンジさんが大笑いするから、私も笑った。
でも、よかった。
本当は、ほんの少しだけ、泣きそうだったから。
私は今日、正式な調査兵団の兵士になった。
エルヴィン団長を前にして、私は自分の気持ちを伝えた。
隣に立つハンジさんは、きっと今とても喜んでいるに違いない。
ハンジさんの手のひらの上で転がされているのは分かっていた。
きっと、今の私は、ハンジさんのシナリオ通りの動きをしている。
でも、これから何があっても、もしも私の命が終わることがあっても、誰も責めないと覚悟を決めて、ここに立っている。
しばらくの沈黙の後、エルヴィン団長はゆっくりと口を開いた。
「君を調査兵団に招いたのは私だ。
ハンジやリヴァイ、他の兵士からも君の実力については聞いている。
君が本当に入団に応じてくれるのならば、私は喜んで君を受け入れる。」
それでもいいのか―。
真っすぐに私を見据えるエルヴィン団長の瞳は、私の覚悟を訊ねていた。
昨日の夜、そして、団長室に来るまでの廊下、私はずっと自分の心に問いかけた。
自分の命惜しさに、家族の安全と誰かの命を捨てる覚悟はあるか―と。
答えは、NOだ。
私は、罪悪感に苦しむ覚悟よりも、自分の命を懸ける覚悟をとった。
覚悟は変わらないという返事を聞いたエルヴィン団長は、小さく息を吐き、質問を重ねた。
「君は、どんな兵士になりたいと思っている。」
意外な質問だった。
でも、私の答えは決まっている。
兵士としては頼りないかもしれない。そもそも公に心臓を捧げると誓う兵士としては間違った答えかもしれない。
でも、もう決めた―。
「誰も死なせない兵士です。」
私の答えに、ハンジさんは驚いたようだった。
ビックリして息を呑んだ音が隣から聞こえた。
だが、エルヴィン団長は眉一つ動かさなかった。
予想通り―そう言われているみたいだった。
「それは、人類最強の兵士になるよりも難しい道のりだ。
志半ばで君は絶望を見るだろう。それでも、君は困難な道を歩くか。」
「私の兵士はひとつしかありません。」
「そうか。」
エルヴィン団長はそう呟くと、わずかに目を伏せた。
そうして、ゆっくり顔を上げ、私を見つめる。
その瞳は力強く、改めて、私の命を彼に預ける覚悟をした。
「 今この瞬間より、君を正式な調査兵団として迎えよう。
これが本物の敬礼だ!心臓を捧げよ!!」
「心臓を捧げよ!!」
エルヴィン団長に、覚えたての敬礼で応える。
「なまえ、心臓が左になってるよ。」
「あ!」
慌てて心臓を叩く手を変えようとして、正しく左胸を叩いていることに気づいた。
騙された。
ハンジさんが大笑いするから、私も笑った。
でも、よかった。
本当は、ほんの少しだけ、泣きそうだったから。
私は今日、正式な調査兵団の兵士になった。