◇第百二話◇夜の逢瀬を
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デスクの上に鏡を置いて、私はひたすら髪を整える。
はねてるところはない、でも、伸びた前髪の長さが気になり始めた。
切ってしまおうかー。
ポーチを広げて、鋏を取り出そうとして手を止める。
いや、ここは経験上、切らないのが正解だ。
絶対に切りすぎて、変なことになって、死ぬほど後悔することになる。
「薄化粧くらいは…。」
ポーチを覗き込みながら、悩む。
たとえば、少しチークを乗せるとか、薄い紅を塗るとかー。
いや、やめておこう。
すごく楽しみにしていたみたいで恥ずかしい。
まぁ、実際、すごく楽しみで、さっきから5分毎に時計を確認してはいるのだけれど、それをリヴァイ兵長に悟られるのは、とても恥ずかしい。
『今夜、お前の部屋に行く。』
訓練の再開の声がかかった後、リヴァイ兵長はそう言って、自分の班のもとへ戻っていった。
今夜は会議があるらしかった。
ルーカスが言っていた通り壁外調査の禁止令が解かれたことで、今後の壁外任務についていろいろと決めることがあるようだ。
まだ身体が本調子ではないのに、本当に忙しい人だ。
会議の後、何か用事が出来てしまっても、必ず来ると言ってくれたけれど、何もなければそろそろー。
時計を確認しようとしたとき、扉がノックされた。その向こうから聞こえてきたのは、ずっと待っていた愛おしい人の低い声ー。
「はいっ!」
待ちすぎていたせいか、声が上ずってしまった。
普段なら恥ずかしさを感じるはずなのに、そんな余裕もないくらいに嬉しくて、私は走って扉へ向かう。
シャワーも浴びたし、お気に入りの部屋着のワンピースに変なところはないことを確認する。
一度深呼吸をしてから扉を開けば、会いたくて会いたくて仕方がなかったリヴァイ兵長がいた。
会議が終わった後に、一度部屋に戻ったのか、部屋着に着替えいた。
黒いシャツにグレーのパンツ姿も見慣れたけれど、何度見ても素敵だなと思う。
兵団服の時の凛々しさとは違って、男性らしさが出て色っぽくてー。
「こんばんは、会議、お疲れ様でした。」
「あぁ、待たせて悪かったな。」
「いえ、そんなことー。」
「見りゃわかる。会いたくて堪らなかったって顔をしてる。」
「えっ!うそっ!?」
「冗談だ。
-本当だったみてぇだがな。」
からかうように言いながら、リヴァイ兵長は部屋の中に入ってくる。
少し前に、エルヴィン団長は、私がリヴァイ兵長を掌の上で転がしているとかわけのわからないことを言っていたけれど、どう考えても逆だ。
今だって、我が物顔でソファに座って、早くこっちにこいと手招きしているリヴァイ兵長が、いつだって私たちの関係をリードしているのに。
「シャワー浴びたのか。」
隣に座った私を早速抱きしめたリヴァイ兵長は、長い髪を指に絡めては、サラサラと流して遊びだした。
「どうしてわかったんですか。」
「石鹸の匂いがする。」
「あぁ、そっか。」
くすぐったくて、悪戯な指をつかまえると、邪魔をしたお仕置きだとばかりに唇を塞がれる。
さっき髪を絡めていた指が、私の指を追いかけるように絡みつく。
私もそれに応えていくうちに、触れるだけだったキスは次第に深くなっていった。
指を絡ませたまま、反対の手で私の腰を抱き寄せたリヴァイ兵長の舌が咥内に入ってきて、思わず肩を揺らす。
気持ちが通じ合ってから、唇を重ねることは何度もあったけれど、いつも触れるだけのキス止まりだった。
リヴァイ兵長の身体が元に戻るまでは、その先はダメだと私が釘を刺したせいだと思う。
でも、今のリヴァイ兵長は、キスの先を求めているというよりも、まるで、会えなかった時間を必死に埋めようとしているみたいだった。
私と同じように会いたかったんだと流し込まれてくる気持ちを、私は必死に受け止める。
でも、さすがに息が苦しくなって、リヴァイ兵長のキスが私の心も身体もこのまま溶かしていくようでー。
「は、ん…っ。」
お互いの重なる唇の隙間から、無意識に声が漏れる。
すぐにリヴァイ兵長の動きが止まって、だらしない声を聞かれてしまったと恥ずかしくなる。
それからすぐ、そっと、唇が離れて、そしてー。
「仕方ねぇ。お前がそこまで言うなら、ベッドにー。」
「言ってませんっ。ダメですっ。」
恥ずかしさとかいろんな感情で少しきつめに断ってしまうと、リヴァイ兵長がつまらなそうに舌打ちをした。
そんなに、怒らないでー。
「私だって、したくないわけじゃないですー。」
リヴァイ兵長の腰に抱き着いて、恥ずかしさで染まる頬を隠すために胸に顔を埋めた。
一瞬、息を呑むような音がしたのは、私の大胆な発言に驚いたからだろうか。
あぁ、本当に、恥ずかしい。
早くひとつになりたいと身体がウズウズしているなんてー。
「顔を見せろ。」
リヴァイ兵長の両手が私の頬を包んで、強引に顔を上げる。
目が合うと、意地悪く口元が歪んだ。
「顔が赤ぇ。」
「うるさいです。」
恥ずかしいくらいに真っ赤な顔で、それでも強気に口を尖らせる私に、リヴァイ兵長は今度こそ軽いキスをひとつ落とした。
はねてるところはない、でも、伸びた前髪の長さが気になり始めた。
切ってしまおうかー。
ポーチを広げて、鋏を取り出そうとして手を止める。
いや、ここは経験上、切らないのが正解だ。
絶対に切りすぎて、変なことになって、死ぬほど後悔することになる。
「薄化粧くらいは…。」
ポーチを覗き込みながら、悩む。
たとえば、少しチークを乗せるとか、薄い紅を塗るとかー。
いや、やめておこう。
すごく楽しみにしていたみたいで恥ずかしい。
まぁ、実際、すごく楽しみで、さっきから5分毎に時計を確認してはいるのだけれど、それをリヴァイ兵長に悟られるのは、とても恥ずかしい。
『今夜、お前の部屋に行く。』
訓練の再開の声がかかった後、リヴァイ兵長はそう言って、自分の班のもとへ戻っていった。
今夜は会議があるらしかった。
ルーカスが言っていた通り壁外調査の禁止令が解かれたことで、今後の壁外任務についていろいろと決めることがあるようだ。
まだ身体が本調子ではないのに、本当に忙しい人だ。
会議の後、何か用事が出来てしまっても、必ず来ると言ってくれたけれど、何もなければそろそろー。
時計を確認しようとしたとき、扉がノックされた。その向こうから聞こえてきたのは、ずっと待っていた愛おしい人の低い声ー。
「はいっ!」
待ちすぎていたせいか、声が上ずってしまった。
普段なら恥ずかしさを感じるはずなのに、そんな余裕もないくらいに嬉しくて、私は走って扉へ向かう。
シャワーも浴びたし、お気に入りの部屋着のワンピースに変なところはないことを確認する。
一度深呼吸をしてから扉を開けば、会いたくて会いたくて仕方がなかったリヴァイ兵長がいた。
会議が終わった後に、一度部屋に戻ったのか、部屋着に着替えいた。
黒いシャツにグレーのパンツ姿も見慣れたけれど、何度見ても素敵だなと思う。
兵団服の時の凛々しさとは違って、男性らしさが出て色っぽくてー。
「こんばんは、会議、お疲れ様でした。」
「あぁ、待たせて悪かったな。」
「いえ、そんなことー。」
「見りゃわかる。会いたくて堪らなかったって顔をしてる。」
「えっ!うそっ!?」
「冗談だ。
-本当だったみてぇだがな。」
からかうように言いながら、リヴァイ兵長は部屋の中に入ってくる。
少し前に、エルヴィン団長は、私がリヴァイ兵長を掌の上で転がしているとかわけのわからないことを言っていたけれど、どう考えても逆だ。
今だって、我が物顔でソファに座って、早くこっちにこいと手招きしているリヴァイ兵長が、いつだって私たちの関係をリードしているのに。
「シャワー浴びたのか。」
隣に座った私を早速抱きしめたリヴァイ兵長は、長い髪を指に絡めては、サラサラと流して遊びだした。
「どうしてわかったんですか。」
「石鹸の匂いがする。」
「あぁ、そっか。」
くすぐったくて、悪戯な指をつかまえると、邪魔をしたお仕置きだとばかりに唇を塞がれる。
さっき髪を絡めていた指が、私の指を追いかけるように絡みつく。
私もそれに応えていくうちに、触れるだけだったキスは次第に深くなっていった。
指を絡ませたまま、反対の手で私の腰を抱き寄せたリヴァイ兵長の舌が咥内に入ってきて、思わず肩を揺らす。
気持ちが通じ合ってから、唇を重ねることは何度もあったけれど、いつも触れるだけのキス止まりだった。
リヴァイ兵長の身体が元に戻るまでは、その先はダメだと私が釘を刺したせいだと思う。
でも、今のリヴァイ兵長は、キスの先を求めているというよりも、まるで、会えなかった時間を必死に埋めようとしているみたいだった。
私と同じように会いたかったんだと流し込まれてくる気持ちを、私は必死に受け止める。
でも、さすがに息が苦しくなって、リヴァイ兵長のキスが私の心も身体もこのまま溶かしていくようでー。
「は、ん…っ。」
お互いの重なる唇の隙間から、無意識に声が漏れる。
すぐにリヴァイ兵長の動きが止まって、だらしない声を聞かれてしまったと恥ずかしくなる。
それからすぐ、そっと、唇が離れて、そしてー。
「仕方ねぇ。お前がそこまで言うなら、ベッドにー。」
「言ってませんっ。ダメですっ。」
恥ずかしさとかいろんな感情で少しきつめに断ってしまうと、リヴァイ兵長がつまらなそうに舌打ちをした。
そんなに、怒らないでー。
「私だって、したくないわけじゃないですー。」
リヴァイ兵長の腰に抱き着いて、恥ずかしさで染まる頬を隠すために胸に顔を埋めた。
一瞬、息を呑むような音がしたのは、私の大胆な発言に驚いたからだろうか。
あぁ、本当に、恥ずかしい。
早くひとつになりたいと身体がウズウズしているなんてー。
「顔を見せろ。」
リヴァイ兵長の両手が私の頬を包んで、強引に顔を上げる。
目が合うと、意地悪く口元が歪んだ。
「顔が赤ぇ。」
「うるさいです。」
恥ずかしいくらいに真っ赤な顔で、それでも強気に口を尖らせる私に、リヴァイ兵長は今度こそ軽いキスをひとつ落とした。