◇第百一話◇花占い
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兵団を去らなくてもよくなったリヴァイ兵長は、まだ完全に骨はくっついていないものの、部屋の中に閉じこもる必要はなくなった。
訓練と壁外任務以外の任務も再開され、朝から忙しそうにしているようだった。
「会いに行けばいいのに。」
夜、私の部屋に遊びに来たペトラは、ウジウジする私に、とても的確なアドバイスをくれた。
でも、そんなの私だって分かっている。
会いたいのなら、会いに行けばいい。
壁内と壁外で生活しているわけでも、遠距離恋愛をしているわけでもない。
同じ兵舎の中にいるのだから、会おうと思えば、すぐに会える。
しかも、リヴァイ兵長の執務室兼自室があるのは、階段を上がってすぐの上官フロアだ。
あっという間に会いに行ける距離にいるのだけれど、その距離がとても遠く感じるのだ
それこそ、壁内と壁外くらいに遠く。
ハンジさんやエルヴィン団長に用事があって上官フロアに行き、リヴァイ兵長の執務室兼自室の前を通りかかることもある。
でも、そこからは、触れるなオーラが放たれている、気がする。
だから、お世話をするという名目でリヴァイ兵長の執務室兼自室にいたときは叩けた扉が、今は触れることすら出来なくなってしまった。
「用事もないのに会いに行って、重いって思われたくない。」
ベッドの上で、枕を抱きしめて、私はまたウジウジする。
リヴァイ兵長は私よりも年上で大人だ。
私だって、年齢こそは大人かもしれないけれど、それとは違う。
私とは違って、リヴァイ兵長は、いろんな苦労を知っていて、いろんなものを見てきて、経験も豊富だ。
だから、そんな人とどんな風に恋愛をしたらいいのか分からないのだ。
どんなことをしたら喜んでくれるのかも、どういうことをしたら嫌だと思われるのかも。
そもそもリヴァイ兵長が、恋人というものにどういう付き合いを求めているのかも分からない。
あぁ、せめてー。
「私もリヴァイ班に入りたい。」
大きくため息を吐く。
骨が完全にくっつくまで訓練は禁止されているリヴァイ兵長だが、訓練指導は行っている。
だから、今ここで、会いたいなら会いに行けばいいという最もなアドバイスをくれたペトラは、毎日朝から晩までリヴァイ兵長と会っているのだ。
羨ましくて仕方がない。
「じゃあ、一緒にしごかれる?」
「…ナナバさんの班がいい。」
「ハンジ班じゃないんだ。」
吹き出すペトラに、巨人オタクも訓練指導の鬼もご遠慮願いたいと教えてやる。
それもそうだと納得するペトラを眺めながら、私は大きくため息を吐く。
もうこの際、私は、朝から晩までずっと大きなため息で呼吸をしているんじゃないかと思うくらいだ。
リヴァイ班の訓練場とハンジ班の訓練場は正反対の場所にある。だから、訓練場で顔を合わすことはない。
たまに食事室でチラりと顔を見ることはあるけれど、本当にチラりだ。
声を掛けたい気持ちもあるけれど、調査兵達の興味津々な目が気になって勇気が出ない。
そもそも、リヴァイ兵長に声をかける勇気が出ない。
どうしようか、声をかけようかー悩んでいるうちに、リヴァイ兵長は食事室から出て行ってしまう。
そして、私はここ一週間、触れるどころか、喋ることも、そもそもまともにリヴァイ兵長の姿を見ることもなく、日々が続いている。
地獄だ。地獄か。
あぁ、そう、地獄なのだ。
「もう、私のこと好きじゃないのかなぁ…。」
「は?」
思わず零れてしまった本音に、ペトラは眉を上げた。
でも、それほどおかしいことを言ったとも思わない。
だって、リヴァイ兵長は私に会いに来てくれないじゃないか。
声だってかけてくれない。
私に会いたいとは思わないのだろうか。
それとも、会わなくても大丈夫なタイプなのだろうか。
せめて、後者ならまだ望みはある。
でも、同じ兵舎の中で生活しているのだから、チラリと顔を合わせたときくらいだけでも、何か言葉を交わしたい。
『おはよう』とかだけでもいいのにー。
なんだそれは、ただの上司と部下じゃないか。
朝の挨拶くらいみんな交わしている、私以外ー。
「もしかして、嫌われたっ!?」
ふと過った最悪の予感に、私は絶望的に声を上げた。
何をしでかしたのか、必死に頭を回転させる。
そして、ひとつ、思い浮かんだのは、ウォール・ローゼのお土産として買ってきたティーカップだった。
木箱に綺麗に仕舞ってあったあのティーカップをこっそり取り出して、紅茶を淹れて出したときのリヴァイ兵長のとてつもなくショックを受けていた顔を思い出す。
『…傷はついてねぇだろうな。』
バカみたいにー。
あ、いや、とても真剣に念入りに、ティーカップを凝視している姿はもう、笑えるほどー。
あ、いやいや、心苦しいほどに痛々しくて、申し訳なくなってしまった。
でも、それでも、リヴァイ兵長はー。
『いつもより美味ぇな。
このティーカップに何か仕掛けでもあんのか。』
やっぱり、バカみたいにー。
あ、いや、とても真剣に念入りに、ティーカップを凝視している姿はもう、笑えてー。
いやいや、とても優しくて、可愛らしくて、私のことを想ってくれているのだと感じたはずだったのだけれど。
やっぱり、怒っていたのだろうか。
勝手なことをした私のことを、嫌いになってしまうくらいにー。
「あの、さ…。」
「なに?」
戸惑いがちに口を開いたペトラに、首を傾げる。
「それ、本気で言ってるの?」
「それって?」
「嫌われたって叫んだから。」
「冗談でそんなこと言いたくないよっ。」
顔色を真っ青にして首を横に振る私に、ペトラが呆れた様に息を吐く。
一人で一喜一憂して、親友に呆れられるなんて、まるで初恋をしている10代の女子みたいだ。
情けないー。
訓練と壁外任務以外の任務も再開され、朝から忙しそうにしているようだった。
「会いに行けばいいのに。」
夜、私の部屋に遊びに来たペトラは、ウジウジする私に、とても的確なアドバイスをくれた。
でも、そんなの私だって分かっている。
会いたいのなら、会いに行けばいい。
壁内と壁外で生活しているわけでも、遠距離恋愛をしているわけでもない。
同じ兵舎の中にいるのだから、会おうと思えば、すぐに会える。
しかも、リヴァイ兵長の執務室兼自室があるのは、階段を上がってすぐの上官フロアだ。
あっという間に会いに行ける距離にいるのだけれど、その距離がとても遠く感じるのだ
それこそ、壁内と壁外くらいに遠く。
ハンジさんやエルヴィン団長に用事があって上官フロアに行き、リヴァイ兵長の執務室兼自室の前を通りかかることもある。
でも、そこからは、触れるなオーラが放たれている、気がする。
だから、お世話をするという名目でリヴァイ兵長の執務室兼自室にいたときは叩けた扉が、今は触れることすら出来なくなってしまった。
「用事もないのに会いに行って、重いって思われたくない。」
ベッドの上で、枕を抱きしめて、私はまたウジウジする。
リヴァイ兵長は私よりも年上で大人だ。
私だって、年齢こそは大人かもしれないけれど、それとは違う。
私とは違って、リヴァイ兵長は、いろんな苦労を知っていて、いろんなものを見てきて、経験も豊富だ。
だから、そんな人とどんな風に恋愛をしたらいいのか分からないのだ。
どんなことをしたら喜んでくれるのかも、どういうことをしたら嫌だと思われるのかも。
そもそもリヴァイ兵長が、恋人というものにどういう付き合いを求めているのかも分からない。
あぁ、せめてー。
「私もリヴァイ班に入りたい。」
大きくため息を吐く。
骨が完全にくっつくまで訓練は禁止されているリヴァイ兵長だが、訓練指導は行っている。
だから、今ここで、会いたいなら会いに行けばいいという最もなアドバイスをくれたペトラは、毎日朝から晩までリヴァイ兵長と会っているのだ。
羨ましくて仕方がない。
「じゃあ、一緒にしごかれる?」
「…ナナバさんの班がいい。」
「ハンジ班じゃないんだ。」
吹き出すペトラに、巨人オタクも訓練指導の鬼もご遠慮願いたいと教えてやる。
それもそうだと納得するペトラを眺めながら、私は大きくため息を吐く。
もうこの際、私は、朝から晩までずっと大きなため息で呼吸をしているんじゃないかと思うくらいだ。
リヴァイ班の訓練場とハンジ班の訓練場は正反対の場所にある。だから、訓練場で顔を合わすことはない。
たまに食事室でチラりと顔を見ることはあるけれど、本当にチラりだ。
声を掛けたい気持ちもあるけれど、調査兵達の興味津々な目が気になって勇気が出ない。
そもそも、リヴァイ兵長に声をかける勇気が出ない。
どうしようか、声をかけようかー悩んでいるうちに、リヴァイ兵長は食事室から出て行ってしまう。
そして、私はここ一週間、触れるどころか、喋ることも、そもそもまともにリヴァイ兵長の姿を見ることもなく、日々が続いている。
地獄だ。地獄か。
あぁ、そう、地獄なのだ。
「もう、私のこと好きじゃないのかなぁ…。」
「は?」
思わず零れてしまった本音に、ペトラは眉を上げた。
でも、それほどおかしいことを言ったとも思わない。
だって、リヴァイ兵長は私に会いに来てくれないじゃないか。
声だってかけてくれない。
私に会いたいとは思わないのだろうか。
それとも、会わなくても大丈夫なタイプなのだろうか。
せめて、後者ならまだ望みはある。
でも、同じ兵舎の中で生活しているのだから、チラリと顔を合わせたときくらいだけでも、何か言葉を交わしたい。
『おはよう』とかだけでもいいのにー。
なんだそれは、ただの上司と部下じゃないか。
朝の挨拶くらいみんな交わしている、私以外ー。
「もしかして、嫌われたっ!?」
ふと過った最悪の予感に、私は絶望的に声を上げた。
何をしでかしたのか、必死に頭を回転させる。
そして、ひとつ、思い浮かんだのは、ウォール・ローゼのお土産として買ってきたティーカップだった。
木箱に綺麗に仕舞ってあったあのティーカップをこっそり取り出して、紅茶を淹れて出したときのリヴァイ兵長のとてつもなくショックを受けていた顔を思い出す。
『…傷はついてねぇだろうな。』
バカみたいにー。
あ、いや、とても真剣に念入りに、ティーカップを凝視している姿はもう、笑えるほどー。
あ、いやいや、心苦しいほどに痛々しくて、申し訳なくなってしまった。
でも、それでも、リヴァイ兵長はー。
『いつもより美味ぇな。
このティーカップに何か仕掛けでもあんのか。』
やっぱり、バカみたいにー。
あ、いや、とても真剣に念入りに、ティーカップを凝視している姿はもう、笑えてー。
いやいや、とても優しくて、可愛らしくて、私のことを想ってくれているのだと感じたはずだったのだけれど。
やっぱり、怒っていたのだろうか。
勝手なことをした私のことを、嫌いになってしまうくらいにー。
「あの、さ…。」
「なに?」
戸惑いがちに口を開いたペトラに、首を傾げる。
「それ、本気で言ってるの?」
「それって?」
「嫌われたって叫んだから。」
「冗談でそんなこと言いたくないよっ。」
顔色を真っ青にして首を横に振る私に、ペトラが呆れた様に息を吐く。
一人で一喜一憂して、親友に呆れられるなんて、まるで初恋をしている10代の女子みたいだ。
情けないー。