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〈関東信越厚生局 麻薬取締部 一課〉
「こんにちは。」
ノックの後に、そう言って入ってきた者に一同の注目が集まる。
一同、と言っても大半が出払っていて、今在室しているのはたったの四人である。
きょとんとする三人に対して、一人は訪問者に笑顔を向けた。
「待ってたよ、名無君。」
「…は、はあぁ!?」
麻薬取締部長・比企真孝の言葉に、叫んだのは同一課長・梶原慶護である。
その声に捜査官である衛藤快はびくりと身を縮めた。
「ちょ、マジか、マジで名無なのか。」
比企のデスクの前まで移動した訪問者にジリジリと近寄る梶原に、訪問者はにこりと笑った。
「お久し振りです、梶サン。
名無ナナシです。」
「………本当に女ってのは化けるもんだな。」
何処か遠くを見て呟く梶原。
三十路を超えて尚、彼にとって女は謎である。
「今回は、また随分変身したねぇ。」
『あははぁ』と笑いつつ、比企が言えば、
「此処に来る時はいつもの何倍も気合い入れてきますからね。」
と、苦笑とも取れる笑顔と共に訪問者は言った。
「あ、あの。」
突然、びくびくとした、控え目の声が掛かった。
「ん、どうしたんだい、カイ君。」
比企の問い掛けにおずおずとカイは口を開いた。
「其方の方はー…?」
実のところ、カイには相手の性別すら定かではない。
「あぁ。
彼女は名無ナナシ。
怪しい者じゃないから安心して。」
梶君が変な叫び声を上げたりするから吃驚させちゃったかな、と笑う比企は、自分を睨む梶に気付いているのか、いないのか。
「初めまして、衛藤サン、と、倉林サン。」
首を傾げてカイの後方にいる捜査官・倉林春に声を掛ける。
流石に、サラリと名前を呼ばれ、ハルも少々驚いた顔をする。
「名無ナナシです。」
ペコリと頭を下げるナナシ。
ナナシの行動に、カイは慌てて頭を下げ返した。
「比企専属の情報屋とか、まぁ色々裏方やらせてもらってます。」
滅茶苦茶怪しいじゃねぇか、とハルは心の中で呟いた。
〈a tablet〉