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「恵理」
バスを降りて、舗装された道から砂利道へと逸れて行き、少し歩くと、砂浜に出た。
知念は少しあたりを見渡すと恵理が砂浜に続く石段に腰掛けていた。
知念が声をかけると、恵理の後ろ姿はぐしぐしと目元を袖で拭った。
「知念…わざわざ降りてきたんばぁ?」
「…まぁ…他の奴らよりかはここより家が近いからなー。」
「たしかに…。」
ざざん、と波打つ音が響く。
「さっき凛に一番の親友って言われた時…なんも言い返せなかったさー。」
知念が隣に腰を下ろすと同時に、恵理は苦笑いを浮かべながらそう呟いた。
「親友なんさ。私たち…は…。私に告白するいじー(勇気)がないから。」
「明日からはちゃんとやるさー。私たちは親友だからやー。」
そう言って恵理は膝を抱えて、顔を膝に伏した。
「でも…ずっとずっと…わたしは…好きだったんさー!」
知念は黙ったままぽんっと恵理の頭をがしがしと撫でる。
なにか言葉を発する訳では無いが、それが彼なりの優しさなのだ。
恵理はその優しさに甘え、しばらく涙を流していた。
一通り泣き切ってすっきりした時にはすっかり日は傾きつつあった。
「知念、ありがとね。」
「なんくるないさー。」
「はぁー、すっきりしたさー。」
恵理は立ち上がって、ぐっと伸びをする。
「帰ろっ!」
「あいー。」
振り返って知念を見下ろし、そう提案すると、知念もおもむろに立ち上がった。
バス停まで並んで歩き、時刻表を確認する。
「えぇ?!待って待ってバスあと2時間後!!」
「あいひゃー…恵理がのんびり泣いてるからさー。」
「うっ…悪かったさー……。」
「冗談やっしー。」
恵理はがっくりと肩を落とした。
「ごめんなー知念。」
「なんくるないさー。わんが好きで降りたんだからやー。」
「とりあえず…歩こうか。ここにいてもしょうがないしやー。」
「あいよ。」
二人はコンクリートで舗装された車道の横の歩道を歩き出した。
日が落ちつつあった為、暑さはそこまで酷くはない。
二つの影が長く前にのびている。
2人が話しながら歩いていると、ふと目の前に人影が見えた。
恵理が顔を上げると、そこには木手と甲斐、平古場がいた。
「ぬ…ぬーが?ぬーがここにいるさー?!」
驚きのあまり恵理が目を見開き、そう問いかけると、平古場が少し照れくさそうに頭をかいた。
「やーが!急に降りるから心配して迎えに来たんばーよ!」
「平古場君、大層心配していましたよ。」
「ま、凛だけじゃねぇけどなー。」
「凛……、みんな…!」
恵理は思わずニヤリと唇に笑みを浮かべ、三人に駆け寄って勢いよく飛びついた。
そして5人が帰路につき、それぞれの家の近くまで歩いてきた頃には、すっかり日が落ち、夜空に綺麗な星々が光る時間だった。
恵理はふと立ち止まり、その夜空を1人見上げ、明日からの自分を思い描いた。
「何も変わらないさー。私達は親友なんだからさー。」
そう一人呟き、前を歩く平古場の背中を追いかけた。
あの頃の二人のように。