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平古場と恵理は小学校2年生からの付き合いだった。
元々本島からの転校生だった恵理に、最初に話しかけたのが平古場だった。
そしてずっと彼の背中を追いかけ、一緒に走り回っていた。
そしてその頃からずっと恵理は平古場に惹かれていた。
そして、それは中学に上がった今も変わらない。
恵理のわかりやすい態度にテニス部員ほぼ全員がこの片想いに気付いており、気付いていなかったのは平古場本人だけだった。
時は戻り、帰りのバスの中。
乗客はほとんどおらず、しーんと静まり返っていた。
平古場は飛行機の中では連絡が取れなかった愛しい恋人へメールを送っていた。
「っていうか…!」
そんな平古場に不満を募らせていた恵理は思わず声を上げた。
「凛!合宿に行ってたんじゃないんばー?!」
「ぬーが(なんだよ)?ちゃんと合宿に行ったさー。ちょっとアクシデントがあったけどなー。」
「アクシデント?ぬーが(なによ)!?わたし、聞いてないさー!」
「しょうがないやっしー!携帯が使えなかったんだからよー!」
「でも!それでなんでいなぐーの話になるんばー!」
「だーかーらー!わんのいなぐーはそのアクシデントでわったー(俺たち)と一緒に行動しとったんやし!」
「はぁ?!」
さすがの平古場も責められるような言い草に機嫌を損ねたようだった。
携帯を閉じて、改めて恵理の顔を見た。
その表情は、先程までの質問責めにうんざりした、怪訝な表情だった。
「ぬーがやー?(なんだお前)ぬーがそんなつっかかるさー?」
「それは……っ!」
そこまで言って言葉に詰まった。
ただ自分が片思いをしていただけで、思いも伝えられていない自分に文句を言う資格もなければ、相手を非難する理由もない。
「やーは…わんの一番の親友じゃないんばぁ?」
言葉に詰まった恵理に平古場は続けてそう問いかけた。
恵理は思わず目を見開く。
指ひとつ動かすことが出来なかった。
「平古場君…やめなさい。」
見るに見かねた木手が思わずそう声をかける。
「なんでわんが怒られるんばー?だいたい、言ってきたのは恵理のほうやっしー!」
平古場は納得いかない、と言った表情で後ろの椅子に座っている木手に振り返る。
木手も目を逸らしながらメガネを押し上げた。
平古場の言う事は間違っていない。元々言い出したのは恵理の方だ。
しかし、木手を含めた平古場以外のテニス部員はみんな恵理の気持ちを知っていた為、平古場を止めるしかなかったのだ。
「ごめん。凛。」
気まずい雰囲気が流れる中、恵理が下を向きながらそう呟いた。
「私、ここで降りるさー。また明日!」
そして停留所で立ち上がり、小走りでバスを降りていった。
「おいっ!ここからだとまだまだ歩かないと…!」
お互いの家を知っているため、ここからだとまだ距離があることを伝えようと立ち上がるが、それをすっと知念が制した。
「わんが行くさー。」
「知念……。」
知念がそう言って、ぬっと降り口へと向かう。
立ち上がったものの制された平古場は呆然と知念の後ろ姿を見送る。
知念が降り、バスの昇降口はばたんと閉じられた。