君に恋する5秒前
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「おはよう!なに見てるの?あ!わかった!不二先輩?」
「なんで周助君?興味ないし…。」
ちらりと窓の外のグラウンドに目をやると、周助君のクラスが体育の授業なのか人が集まりだしている。
周助君こと、不二周助君はわたしの幼なじみ?なんだけど、正直周助君は少し近寄りがたいというか…弟の裕太君とのほうが仲がよかった。
今は学校違うから全然話さないんだけど…。
たまにメールとかはしてるんだけどね。
「恵理って、なんで不二先輩みたいなかっこいい先輩の幼なじみなのに興味ないとか言っちゃうかなー!不二先輩なんて、女の子の憧れの的なのにー!」
「憧れ…ねぇ……。」
窓の外から、わたしが毎日聞いている声とはまた違った女子の歓声が聞こえてくる。
その声に釣られて、わたしが窓の外を見ると、周助君と菊丸先輩がグラウンドへと向かっていた。
にっこりと笑みを浮かべながら、取り巻きの女の子達に手を振っている。
さすがは周助君…サービスがいい。
わたしは視線は外に向けたまま、すぐ横にいるであろう七海に声をかける。
「まったく…周助君ってばサービスよすぎだよねぇ…。」
「本当…あれでテニス上手いとか…まさに完璧。」
「そうそう…まじありえな……」
七海の声じゃない、そう一瞬で気付いて振り返ろうとした瞬間、ずっしりと背中に重みが乗っかる。
姿を見なくても、声でわかる…っ!
「人の上に乗っかってんじゃないっての!越前!」
「だって、あんたが邪魔で見えないじゃん。」
「そんなの理由にならないし!外見たいなら後ろの席行けばいいじゃん!」
「俺の席、ここの列だし。」
「ムッキーーーッ!!!」
わたし達の声を聞きつけたのか、周助君と菊丸先輩がわたしたちのいる教室の校舎へと駆け寄ってきた。
「あーっ!ダメだぞ!おチビー!女の子いじめちゃー!」
「別にいじめてないっすよ。」
「ふふっ…恵理、いつから越前と仲良くなったんだい?」
「仲良くなんかないからっ!勘違いしないでよ!」
「そうかなぁ…?見てる限りでは、すごく仲良しに見えるけど?」
「ありえないし、っていうか!さっさとわたしの上からどきなさいってば!越前!」
「ふふっ…そろそろ行こうか、英二。早くしないとまた先生の機嫌が悪くなるしね。」
「それもそうだにゃー、んじゃ!また放課後な!おっチビー!」
言い争うわたし達を一通りからかったあと、二人は颯爽とグラウンドへと向かっていった。
そして、わたしはと言うと……。
「てゆか、さっきまでここには七海がいたんだよ!?七海はどこ行ったの!?」
「あそこで彼氏と話してるけど?」
そう言って越前が指差した先では、七海が楽しそうに彼氏と談笑している。
これにはさすがのわたしも納得せざるをえなかった。
「あー…納得。じゃなくて!」
わたしは上に乗っかっている越前を半ば無理やり振り落とし、向き直る。
「あのさ、この際言わせてもらうけど、あんたのファンのおかげでわたしはほんっっとに迷惑してるの!あんたから静かにするように言ってよね!」
「俺も正直うんざりしてるんだよね、毎日毎日よくやるよ……。」
「だから!あんたが一言ばしっといえばいい話でしょ!あんたが言ったら、きっとみんな静かになるって!」
「はぁ…せっかくこの席になったのに、これじゃ嫌われるだけじゃん。」
「そうそう!嫌われ…は?」
わたしが、越前の言葉に違和感を覚え顔を上げた瞬間、越前と目があった。
「まだ気付かないの…?まだまだだね。」
顔が赤くなっていくのがわかる……。
まさか…こいつが…わたしを……?そんなばかな……っ!?
「俺…あんたのこと……ーーーー。」