幼なじみの特権
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「亮ちゃんはさ、わたしのことただの幼なじみだと思ってると思うんだけどね…それでもわたしはずっと好きなんだぁ…亮ちゃんの隣にいるために結構大変な正マネージャーになったし、幼なじみっていう立場を使ってきた。」
「亮ちゃんの隣にいるのはわたしだけでいいって本気で思ってるんだよねー…言わないけど…」
そう言って藍野はアハハと笑った。
「だから、もし辻本さんが亮ちゃんのこと好きなんて言ったら、辻本さんのことライバル認定しないといけなくなる所だった!」
「ライバルだなんて…わたしは藍野さんに敵いませんよ!」
「うん!だってわたし、亮ちゃんのこと大好きだもん!」
そう言って藍野は勢いよく立ち上がった。
「そろそろ行こうか!薪割りは男にお願いしなきゃね!」
彩夏は、はい。と小さく返事をして同じく立ち上がる。
彩夏の中で藍野に敵わないと思っているのは本当のことだった。
しかしそれは藍野だけの気持ちの強さを聞いて思ったのではなかった。
朝、藍野を呼びに行く時のこと、先程の食事の際のこと、全てを見て自分が入る隙間などないのだと感じてしまったからだ。
ただ、目の前を歩く藍野が唯一知らない宍戸のことを彩夏は知っていた。
それは、藍野が思っている以上に、宍戸は藍野のことを思っている、ということ。
彩夏は精一杯の抵抗として、絶対に言ってあげないのだと心に誓った。
それと同時に目の前を歩く1年上の先輩が羨ましく思えた。
「…わたしもいつか藍野さんが宍戸さんに思ってるくらい好きな人ができますかね……?」
声に出すつもりはなかったが、思いのほか大きな声で口から零れてしまい思わず持っていた薪を落として口を右手で塞いだ。
「きっと出来るよ。だって、見る目は悪くないからね!」
藍野はそう言ってくるりと踵を返して彩夏と対面して、ドヤ顔をした。
「亮ちゃんのことを好きになったってことは、人を見る目は最高なんだよ!」
彩夏は思わず藍野のドヤ顔にぷっと笑いが漏れた。
薪を全部拾い上げ、先を歩く藍野の背中を追いかけて走りだした。
「つぐみ、わたしね、鳳くんもカッコイイも思うんだ。」
「突然ね。どうしたの?」
「今日ね、薪割りを手伝ってくれたんだけど、すごく紳士的だったから!」
「宍戸さんじゃなかったの?カッコイイって昨日言ってたじゃない。」
「宍戸さんはたしかにカッコイイよ?でも藍野さんがいるからさ〜!」
「明日ね、鳳くんと釣りをする約束したんだ。」
「そうなの?良かったじゃない。」
「うん!それね、藍野さんが手伝ってくれたの。」
彩夏はウトウトしながらもつぐみへの報告を辞めない。
「わたしね…がんば……る…」
スー、スーと寝息が聞こえてきたのを確認して、つぐみはクスクス笑いながら明かりを消した。
「おやすみ、彩夏。」