幼なじみの特権
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お昼のミーティングの後、彩夏は薪が少ないことに気付いた。
少しでも力になれれば、そう思った時には既に砂浜で薪を拾っていた。
日差しがガンガン照りつける。
彩夏は額に浮かぶ汗を手の甲でグイッと拭った。
ずっと腰を屈めて薪を拾っていたせいか、じんわり腰が痛い気がする。
一度腰を伸ばそう、そう思って勢いよく姿勢を正すと、後ろから「うわっ!」という声が聞こえてきた。
彩夏が勢いよく振り返ると藍野が不思議そうに彩夏を見下ろしていた。
「びっくりしたぁ…大丈夫?」
「あ…すみません!驚かせてしまって!」
「いーのいーの。はい、お水。」
そう言って藍野はコップに入った水を彩夏に差し出してくれた。
彩夏は少し迷ったが、喉も乾いていたのでその好意に甘えることにしてコップを受け取った。
恵理は彩夏の持っていた薪を見て思わず感嘆のため息をもらす。
「一人で薪集めてたの?そんなのテニス部の誰かに言えば手伝ってくれるのに。」
「いえ、薪が少ないのを見つけたのはわたしでしたし…皆さんはそれぞれ作業がありますから!」
「律儀だねー…よし、じゃあ特別にわたしが手伝ってあげよう!」
そう言って藍野は近くに落ちている薪がないか探し始める。
彩夏は慌ててロッジへ続く階段の近くに拾った薪を置き、藍野に再度合流した。
暑い日差しが照りつけていることもあり、二人は黙々と薪を拾い続けていたがある程度拾い終えたところで藍野が音を上げた。
「あっつーーーい!休憩しよ!休憩!」
そう言って彩夏の腕を引き、木陰に逃げ込むように入りこんで砂浜にも関わらず座り込んだ。
彩夏も同じく隣に座り込み、ちらっと藍野の顔を盗み見た。
ぱたぱたとポロシャツをはためかせ風を送っている。
「あの…藍野さん……?」
「なに?」
「藍野さんと宍戸さんって…幼なじみ…なんですよね?」
突然の彩夏の質問に藍野は面食らったように口がぽかんと開いている。
「そうだよ?家が隣なんだよね。昔からずっと一緒にいるの。」
「そうなんですね…」
彩夏が次に何を話そうか悩んでいると、次は藍野から彩夏に声をかけてきた。
「亮ちゃんのこと、好きなの?」
「え?!?!」
彩夏は思わず後ろに後ずさってしまう。
もちろん座っているので少し体が傾いただけだが。
「いや…そういうのじゃなくて…カッコイイなぁとは…思ってますけど…。」
全てを見透かされているような質問に対して歯切れの悪い返答をしていると、藍野はふふっと笑った。
「ふーーん…そうなんだぁ…」
「…そうです…あはは……」
「…わたしね、ずーっと亮ちゃんのこと好きなんだ。」
藍野は足を抱えるようにして、上体を膝の上に預けるとニコッと笑って彩夏を目線のみで見上げる。