幼なじみの特権
あなたの名前を教えてください
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
人気のない小さな島に、青春学園を筆頭にした様々な学校のテニス部のレギュラー陣とマネージャー1名が降り立った。
乗っていた客船が座礁し、命からがら無人島にたどり着いたのだ。
しかし、このメンバー以外に華奢な女の子二人が呆然と立っていた。
辻本彩夏
小日向つぐみ
たまたま客船に乗り合わせた船長の娘とその友人だ。
不幸にも今回の座礁に巻き込まれてしまった。
無人島で救助が来るまで、ここで生き残らなければならない。
島に上陸してから、生きていくための道具や食料、水を探すだけであっという間に辺りは暗くなり夜になってしまった。
真ん中の大きなロッジが、この二人ともう一人のマネージャーの寝所となった。
2人はベッドがふたつ並んだこの部屋で生活を送ることになる。
もう一人のマネージャーは端っこの小さな部屋でいいよ、とひらひらと手を振った。
「よかったね!つぐみ!同じ部屋でさ!」
彩夏は気持ち明るい声でそう友人に声をかけた。
「うん……そうだね。よかった。」
つぐみはにっこりと、笑ったつもりだが辛い気持ちを押し殺してるのが目に見えてわかる。
彩夏は困惑した。無理もない、この小日向つぐみの父親こそ座礁した客船の船長であり、現在消息がわかっていない。
「(なんかつぐみが元気になれそうな話をしてあげなきゃ!)そ…そうだ!あのさ!ここの人たち皆かっこいいと思わない?!」
彩夏は頭をフルに動かして、食い気味にそう言った。
「もう…直ぐにそういうこと言うんだから……」
「でもさ!そう思わない?!こういう危機的な状況に芽生える恋、なーんてものもあるかもしれないじゃない!つぐみはかっこいいって思った人いないの?」
「……そりゃ…いないことも無い…けど……。」
「え?!だれだれ!!教えてよー!」
「そういう彩夏はどうなの?」
「わたし?わたしはね!宍戸さんがかっこいいと思うの!」
「宍戸さんなの?」
「なにか文句ある?」
「そういう訳じゃないけど…宍戸さんってあのマネージャーさん一緒にいる気がするから。」
「そうなんだよねー…鳳くんに聞いたんだけど、あのマネージャーさんは幼なじみなんだってー。」
「へぇ。」
彩夏は大きなため息をついてベッドに寝転がった。
「いいなぁ…あんなにカッコよくて素敵な幼なじみがいるなんて…私もほしかったなぁ…。」
「ふふふ…そろそろ寝よっか…。」
「そうだね!おやすみ、つぐみ」
「おやすみなさい、彩夏」
つぐみは可笑しそうに笑いながらそっと傍の明かりを消した。