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「おい、お前!」
誰を呼び止めたのだろうと振り返ると、私を見つめる2人の男がいた。
あぁ…どうやら私を呼んでいたようね。
「なにかしら?私、あなた達のことは知らないと思うけど…」
「こいつだ、間違いない。」
「よし、とりあえず連れて行け。」
不穏な会話が聞こえて、私は思わず後ずさった。
逃げようかと踵を返したことも虚しく、彼らは一瞬で私の片腕を掴み、人気のない所へと連れ込んだのだった。
「痛いじゃない、離しなさいよ!」
私が声を荒らげてそう言うものの、二人はまったく知らぬ顔で話をしている。
「こいつがほんとにそうなのか?」
「間違いない…以前山田利吉と歩いてるのを見たんだ…おい、お前、山田恵理だな?」
しばらく二人で話していたがようやく私の顔を見てそう問いかける。
「…だったら何かしら?」
「ほらな?よしこいつを連れて行って人質にしろ。山田利吉も自分の女を取られちゃ何も出来ん。」
私は心の中で二人の会話を整理する。
あの身のこなしはどこかの忍者で、きっと今、利吉が働いている勢力に敵対しているところの者なんだろう。
利吉は身内のひいき目を抜きにしても出来のいい忍者だもの、こうなるのも無理はないわ。
でも……詰めが甘いわ。
「あなた達、どこの忍者?私は殺されるんでしょう?冥土の土産に教えてくれてもいいと思うわ。」
「…いいだろう。我々はテングダケ城の忍、エリート揃いの忍者隊なのだ!」
あ、こいつは馬鹿だわ。
私は堪えきれず思わずぷっと吹き出してしまった。
「な!何がおかしい!!この女!」
得意気に話している相手の邪魔をするのも忍びないけれど、笑ったことがバレてしまった以上は仕方ないもの。
私は自分の片腕を掴んでいる男の腕をするりと抜け、とんっと後ろに飛んだ。
私の腕を掴んでいた男はまだ何が起こったのか分かっていないみたいね。
「テングダケ…あぁ…あそこね。あそこの城主は嫌いなのよ。無理な仕事をさせるくせに報酬は低いし、情報戦も知らない時代遅れの城主なんだもの。」
「な!なんだこいつ!ただの女じゃないのか?!」
「くそ!もう一度捕まえろ!」
力任せに体当たりを迫ってくる男をひらりとかわし、トンっと首の後ろを強く叩き落とす。
良い子は真似しちゃダメよ?
ドサッと倒れる仲間を見たもう一人はじりっと後ずさる。
「エリート忍者なら、せめて相手の事くらい調べておくべきね。私の事ほんとに知らないの?顔に見覚えないかしら?会ったことは無いけれど。」
「な…なんだとっ…?!」
「私の旧姓、藍野っていうの。藍野恵理。」
「藍野…そういえば…くノ一にそんな名前のやつがいたような…でも…引退したって…ま…まさか!?」
「そう。結婚して寿引退したの。だからちゃんと相手のことは調べないとダメよ。」
相手の目の色が変わるのがたまらなくおかしくて、私は思わず口元を手で隠しながら笑った。
そしてするりと簪の飾りの部分を引き抜く。
くしの部分だけが髪留めとして残り、飾りの先は鋭く光る仕込苦無。
私は久しぶりに持った仕込苦無にわくわくしながら、すっと構えた。
「テングダケ城にはしっかり送り返してあげるから。安心してやられてね。」
ここが人気のないところでよかった、こんなところ見られたら引越ししなきゃいけなくなるものね。
私は、その辺に放ってある藁でしっかりと丸めて、一筆残してその場をあとにした。
━テングダケ城へ持って帰ってください━
誰を呼び止めたのだろうと振り返ると、私を見つめる2人の男がいた。
あぁ…どうやら私を呼んでいたようね。
「なにかしら?私、あなた達のことは知らないと思うけど…」
「こいつだ、間違いない。」
「よし、とりあえず連れて行け。」
不穏な会話が聞こえて、私は思わず後ずさった。
逃げようかと踵を返したことも虚しく、彼らは一瞬で私の片腕を掴み、人気のない所へと連れ込んだのだった。
「痛いじゃない、離しなさいよ!」
私が声を荒らげてそう言うものの、二人はまったく知らぬ顔で話をしている。
「こいつがほんとにそうなのか?」
「間違いない…以前山田利吉と歩いてるのを見たんだ…おい、お前、山田恵理だな?」
しばらく二人で話していたがようやく私の顔を見てそう問いかける。
「…だったら何かしら?」
「ほらな?よしこいつを連れて行って人質にしろ。山田利吉も自分の女を取られちゃ何も出来ん。」
私は心の中で二人の会話を整理する。
あの身のこなしはどこかの忍者で、きっと今、利吉が働いている勢力に敵対しているところの者なんだろう。
利吉は身内のひいき目を抜きにしても出来のいい忍者だもの、こうなるのも無理はないわ。
でも……詰めが甘いわ。
「あなた達、どこの忍者?私は殺されるんでしょう?冥土の土産に教えてくれてもいいと思うわ。」
「…いいだろう。我々はテングダケ城の忍、エリート揃いの忍者隊なのだ!」
あ、こいつは馬鹿だわ。
私は堪えきれず思わずぷっと吹き出してしまった。
「な!何がおかしい!!この女!」
得意気に話している相手の邪魔をするのも忍びないけれど、笑ったことがバレてしまった以上は仕方ないもの。
私は自分の片腕を掴んでいる男の腕をするりと抜け、とんっと後ろに飛んだ。
私の腕を掴んでいた男はまだ何が起こったのか分かっていないみたいね。
「テングダケ…あぁ…あそこね。あそこの城主は嫌いなのよ。無理な仕事をさせるくせに報酬は低いし、情報戦も知らない時代遅れの城主なんだもの。」
「な!なんだこいつ!ただの女じゃないのか?!」
「くそ!もう一度捕まえろ!」
力任せに体当たりを迫ってくる男をひらりとかわし、トンっと首の後ろを強く叩き落とす。
良い子は真似しちゃダメよ?
ドサッと倒れる仲間を見たもう一人はじりっと後ずさる。
「エリート忍者なら、せめて相手の事くらい調べておくべきね。私の事ほんとに知らないの?顔に見覚えないかしら?会ったことは無いけれど。」
「な…なんだとっ…?!」
「私の旧姓、藍野っていうの。藍野恵理。」
「藍野…そういえば…くノ一にそんな名前のやつがいたような…でも…引退したって…ま…まさか!?」
「そう。結婚して寿引退したの。だからちゃんと相手のことは調べないとダメよ。」
相手の目の色が変わるのがたまらなくおかしくて、私は思わず口元を手で隠しながら笑った。
そしてするりと簪の飾りの部分を引き抜く。
くしの部分だけが髪留めとして残り、飾りの先は鋭く光る仕込苦無。
私は久しぶりに持った仕込苦無にわくわくしながら、すっと構えた。
「テングダケ城にはしっかり送り返してあげるから。安心してやられてね。」
ここが人気のないところでよかった、こんなところ見られたら引越ししなきゃいけなくなるものね。
私は、その辺に放ってある藁でしっかりと丸めて、一筆残してその場をあとにした。
━テングダケ城へ持って帰ってください━
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