存在価値
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午前中は4年生の実技演習に付き添い、少しアドバイスをする程度の事で特になんのトラブルもなく終えることが出来た。
4年生くらいまで成長してくれると私もまだ対応できるんだけどなぁ。
昼休みは山本先生と食堂でお昼を共に食べ、くのいち教室のお話を伺って有意義な時間を過ごした(と言っておく。実は半分寝てた。)
そして早いものであっという間には組の実技の授業の時間になってしまった。
私は憂鬱になりながらは組の扉を開く。
わいわいしている教室には目もくれず、しれっと教壇に上がる。
生徒の1人が私の姿に気付き、周りに静かにするように促し漸く教室に静けさが戻った。
「ぇー…山田先生の代わりに今日一日だけ実技を担当します…藍野です。はぁ…よろしく。」
ぺこりと頭を下げると、生徒達は元気によろしくお願いしまーす!と返事を返してくれる。
「…じゃあ、裏山に行きます。あ、現地集合で。」
「先生ー!」生徒の1人がすっと手を上げ、私を呼び止めた。
当の私は横着をしようと窓枠に足をかけようとしていたところだ。
「なんですか?」
「いつもは先生も含めてみんなで裏山に行ってるんですが…?」
ほかの生徒たちもうんうん、頷いて私の顔を見上げている。
私は心の中でため息をついた。子どもと一緒に行ったら倍以上時間がかかるじゃないか。
「そうですか……なら正門に集合で。5分後出発します。」
しかし、生徒にそう言われては置いていくわけにも行かない。
私は不器用ながらも笑顔を作り、そう言って教室を出た。
出てすぐ、残された生徒たちが何かを言っている。
私への文句だろうか、授業がだるいなんて言う愚痴だろうか。
「…どうでもいいや……。」
まだ一週間しかこの忍術学園にいないが、自分でもよくわかる。
私はきっと人を殺す方が向いてるんだろうな。って。
はぁ、とまたため息をついて自分の荷物をまとめて正門へ向かった。
正門では事務員の小松田さんとは組の生徒たちが私を待っていた。
「あー藍野先生、は組の子達から聞きました!実技ですよね!出門票にサインだけお願いしますー!」
ニコニコと物怖じせず私に出門票を差し出す小松田さんに、私は見向きもせずにサインをし正門を開いた。
「では、行きましょうか。」
「「「はーい!小松田さんいってきまーす!」」」
は組の生徒は後ろで手を振っている小松田さんに手を振り返して、忍術学園を出発した。
しばらくは私の後ろを一生懸命着いてきていたが、は組のリーダー的存在の庄左ヱ門が私に声をかけた。
「先生ー!もう少しゆっくり歩いてもらえませんか?…皆着いてこれていません!」
声をかけられて振り返ると、クラスの半数以上の生徒たちが息を切らして少し後ろを歩いていた。
私はまた心の中でため息をついてしまった。
こんなの…日が暮れちゃう。
「そんなちんたら歩いてたら日が暮れちゃうじゃない。さっさと歩きなさいよ。」
ここにはほかの先生はいない。
私は嫌悪感を顕にしながら忍たま達にそう言い放った。
庄左ヱ門を始め、忍たま達はさぞ驚いたのだろう。
大きな目を一層まん丸に見開いた。
「ほら、ここから裏山の練習場所まで一本道でしょ。あとは私がいなくても来れるわ。頑張ってちょうだい。私先に行ってるから。」
有無を言わせず裏山の練習場所があるところを指さして、私はあっさり生徒を置いて先に行った。
生徒たちの文句が耳に届く前に。