職業体験の段
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僕は得意になっていた。少なくともこの時までは。
でも…この後のことは皆さんなら想像出来ると思うんですけど…。
書類を運んでいると忍たま達が練習で放った手裏剣が、何故か僕の方に飛んできて書類をぶちまけかけちゃうし…食堂のおばちゃんに頼まれた買い物してる最中にスリに遭ってお金を盗まれかけるし、池の近くの掃き掃除をしていたら後ろから忍たまがぶつかって池に落ちかけるし…。
え?でも全部未遂だって?
そうなんだ…それもぜーんぶ……
「恵理さんありがとうございます…。」
この人が助けてくれたからね…。
ずーっと僕の後ろにいた恵理さんは僕に何かあると絶対に僕を守ってくれたんだ。
あらゆる忍具を使ってね。
「いえ…事務員の仕事は大変なんですね。」
恵理さんはとても僕に同情したような目で僕を見た。
僕はその言葉に思わず笑顔になった。
「そうなんですよー!事務員ってなかなか大変なんですよー!」
もしかしたらこれで諦めてくれるかも!
僕の言葉に恵理さんがなにか返答しようとしたけど、僕はそれを聞くことが出来なかった。
「…!侵入者だ!」
僕は人の気配がして、振り返った。
忍術学園を囲む塀の上に人の気配がする。
「僕、入門票にサインもらってこなきゃ!行ってきますね!」
僕は一直線に人の気配がする塀の方へと走って、塀を越えようとする人を見つけた。
「忍術学園に入るなら、入門票にサインしてください!」
「な…なんだお前!」
「僕はここの事務員です。忍術学園に入りたいなら、この入門票にサインしてもらえないと!」
ズイっと入門票を差し出すと、相手の人は右手に持った苦無で入門票を叩き切った。
「うわ!何するんですかー!」
「何するんですかー!じゃないよ!入門票にサインして入るとかじゃない!俺は侵入者だから!」
そう言って、侵入者さんは僕の体をドンッと勢いよく押したんだ。
僕は塀からフラっと宙に飛ばされてしまった。
「小松田さん!危ない!」
後ろから恵理さんの声が聞こえた気がした。
僕はまた失敗しちゃったみたいだ…このまま背中から落ちたら痛いだろうなぁ…なんて思ってたら、またふわっと抱きかかえられる感触がしたんだ。
僕、今日だけで何回恵理さんに抱かれたんだろう…。
塀の上にすぐ降ろされて、恵理さんは申し訳なさそうに軽く頭を下げた。
「必ず戻りますから、少し待っていてくださいね。」
そう言って、塀の上を走って逃げた侵入者さんを追いかけて行った。
少し目が回ってた僕は途中までしか見てないんだけどね。