ボクも見て、御主人!
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『ちょっと!本当にせんくーくん居るんだよね!』
「君が信じないでど〜すんのさ。忠犬ハチ公なんでしょ、ご主人様を最後まで待ってなきゃ」
『それは!たいちゃんが勝手に言ったやつだから!』
川沿いを下り、どんどん司達と住んでいた場所から離れていく。
軽く会話(と言うより一方的な質問)を挟ませながら必死にゲンの後ろを走ってついていく。
置いてきてしまった大樹や杠の事で後ろ髪を引かれながらも、それでも千空に会えるのならばと頭を振る。
ガサガサと藪を掻き分け開けた場所に出れば、そこはお祭りでもしているかの様に騒がしかった。
ガヤガヤと人が集まっている場所に戸惑いもなくさっさと進んでいってしまった彼に付いていく。
あぁもう、ちょっとくらい待ってくれてもいいじゃない。ひっそりと文句を垂れながら長い橋を落ちない様に気を付けながら歩んでいく。
「60秒、ジャストだな」
すると遠くから幾度も幾度も待ちわびた声がした。
人盛りの多い場所に急いで移動し、隙間から声のした方を盗み見る。
そこには最前列で祭り…もとい何かの試合を見ている千空とマジックを披露するゲンがいた。
何か彼らが喋っている。しかしそんな事より元気に過ごしている彼を見て、安心した。
良かった、千空は生きている。心に深く突き刺さっていたナイフがカラリと何の抵抗もなしに取れた気がした。
ジーンと一人で感動していればいつのまにか試合が終わっていた。
近くの人の話を盗み聞きするとどうやらあの鉢巻きくんが相手を崖から突き落としたらしい。
ワアッと鉢巻きくんを千空等が取り囲む。
ズルイ!ズルイ!ボクも褒めて欲しい!
『せんくーくん!』
「あ゛あ゛?…ウオオ!!」
人混みを掻き分け鉢巻きくんの横を走り去り真正面から彼に飛びかかる。
腕いっぱいに力を込めて抱きつく。ああ、この匂いだ。変わらない彼の少し薬品くさい匂い。
最初は驚いて固まっていた千空も、自分に飛びかかってきたのが一年ぶりに再会した幼馴染みと分かり、とびきりの笑顔をみせハグをしかえす。
「テメー、狛!戻ってたのか!」
『えへ、忠犬ハチ公ですから!ハチ公はどこにいてもご主人の元に戻ります!』
「あほ、ハチ公は待ち続けるほうだっつーの」
『ワン!なんてね』
ケタケタと二人で笑い合っていれば、周りの鉢巻きくん等が此方を見ている事に気がついた。
「千空、コイツは?」
「あ゛あ゛、俺の幼馴染みだ。敵じゃねえから安心しな」
『あ!ボク戌井狛と言います!宜しくお願いします!』
ビシリと敬礼をし、90度のお辞儀を決める。
それぞれに宜しく、と鉢巻きくん及びクロムくん等と握手していれば背中から肩を叩かれた。
「ほら狛ちゃん、一緒に村から出とくよ〜。よそ者がいたら門番の金狼ちゃん的にアレでしょ?」
「! そういえば…」
「御前試合のお祭り騒ぎでウヤムヤになっちゃっとるの」
「俺等の方の話はさ、村をカンペキに掌握しちゃったあとでっつうことでね。千空ちゃん」
『ウッ、嫌な予感しかしないんだけど…仕方ないかあ……じゃあまた後でね、せんくーくん』
「…ああ」
みんなと別れ、たまに振り返りながらもゆっくりと橋を二人で渡る。
何の試合かは知らないが、とにかく村全体が集まって開催している事から何か大事な行事なのだろう。よそ者のボク等が居ても何もすることはない。
『あれ、でもせんくーくんもよそ者じゃ…?』
「あ〜〜〜〜〜〜、千空ちゃんはちょっと訳ありでね」
『ふうん、でもせんくーくんが試合に出る事なんてないだろうし怪我したりはー…』
ほんの少しの心配を膨らませるかの様に遠くから千空対銀狼のアナウンスが聞こえてくる。
その直後、ビタンビタンと叩きつける音と騒めきが鳴り響いた。
『!!!』
「あ〜〜これ、マラソン大会で一緒に走ろうとか言っといて駆け抜けするタイプだわ銀狼ちゃん」
『あの金髪!吊るす!』
「ちょっと!狛ちゃん!?」
彼の制止の声も聞かず、来た道をまた戻る。
門番よろしく橋の前には金狼とカセキが立っていたが、試合の方に意識を向けており難なく突破する。
いつでも突撃できるよう近くの小屋の上に身を潜めれば、丁度試合が終わる所だった。
西瓜の殻に千空が持っていた棒をセットし、銀狼が近づくタイミングで勢い良く棒を踏み上げ、テコの原理で何十倍にもなった威力を見事に急所に負わす。
「あふん!!」
泡を吹きながら倒れる銀狼に心の中でばーか!と悪態を吐く。
だが、銀狼を突破した千空はそのまま決勝戦へと進んでしまった。
相手は誰かとトーナメント表へ目を凝らすと、クロムと千空の似顔絵が書いてある。先程まで祝い合っていた彼ならきっと、千空を傷付けることはしないだろう。
しかし万が一の時の為に、と試合の雲行きを眺めていれば突っ伏したままのクロムとそれにちょっかいをかける千空の絵面が続く。
何か喋っているようだったが、声が小さすぎて聞き取れない。
一向に立ち上がらないクロムに、ざわざわと観客らは騒ぎ立つ。それでも進展がなく、ついに審判が判定を下した。
「……新しい村長、巫女様の夫となる者は」
渋い顔をした審判者が千空の方に手を振りあげた。
「優勝者、千空…!!!」
「ん?????」
『夫…!?』
「君が信じないでど〜すんのさ。忠犬ハチ公なんでしょ、ご主人様を最後まで待ってなきゃ」
『それは!たいちゃんが勝手に言ったやつだから!』
川沿いを下り、どんどん司達と住んでいた場所から離れていく。
軽く会話(と言うより一方的な質問)を挟ませながら必死にゲンの後ろを走ってついていく。
置いてきてしまった大樹や杠の事で後ろ髪を引かれながらも、それでも千空に会えるのならばと頭を振る。
ガサガサと藪を掻き分け開けた場所に出れば、そこはお祭りでもしているかの様に騒がしかった。
ガヤガヤと人が集まっている場所に戸惑いもなくさっさと進んでいってしまった彼に付いていく。
あぁもう、ちょっとくらい待ってくれてもいいじゃない。ひっそりと文句を垂れながら長い橋を落ちない様に気を付けながら歩んでいく。
「60秒、ジャストだな」
すると遠くから幾度も幾度も待ちわびた声がした。
人盛りの多い場所に急いで移動し、隙間から声のした方を盗み見る。
そこには最前列で祭り…もとい何かの試合を見ている千空とマジックを披露するゲンがいた。
何か彼らが喋っている。しかしそんな事より元気に過ごしている彼を見て、安心した。
良かった、千空は生きている。心に深く突き刺さっていたナイフがカラリと何の抵抗もなしに取れた気がした。
ジーンと一人で感動していればいつのまにか試合が終わっていた。
近くの人の話を盗み聞きするとどうやらあの鉢巻きくんが相手を崖から突き落としたらしい。
ワアッと鉢巻きくんを千空等が取り囲む。
ズルイ!ズルイ!ボクも褒めて欲しい!
『せんくーくん!』
「あ゛あ゛?…ウオオ!!」
人混みを掻き分け鉢巻きくんの横を走り去り真正面から彼に飛びかかる。
腕いっぱいに力を込めて抱きつく。ああ、この匂いだ。変わらない彼の少し薬品くさい匂い。
最初は驚いて固まっていた千空も、自分に飛びかかってきたのが一年ぶりに再会した幼馴染みと分かり、とびきりの笑顔をみせハグをしかえす。
「テメー、狛!戻ってたのか!」
『えへ、忠犬ハチ公ですから!ハチ公はどこにいてもご主人の元に戻ります!』
「あほ、ハチ公は待ち続けるほうだっつーの」
『ワン!なんてね』
ケタケタと二人で笑い合っていれば、周りの鉢巻きくん等が此方を見ている事に気がついた。
「千空、コイツは?」
「あ゛あ゛、俺の幼馴染みだ。敵じゃねえから安心しな」
『あ!ボク戌井狛と言います!宜しくお願いします!』
ビシリと敬礼をし、90度のお辞儀を決める。
それぞれに宜しく、と鉢巻きくん及びクロムくん等と握手していれば背中から肩を叩かれた。
「ほら狛ちゃん、一緒に村から出とくよ〜。よそ者がいたら門番の金狼ちゃん的にアレでしょ?」
「! そういえば…」
「御前試合のお祭り騒ぎでウヤムヤになっちゃっとるの」
「俺等の方の話はさ、村をカンペキに掌握しちゃったあとでっつうことでね。千空ちゃん」
『ウッ、嫌な予感しかしないんだけど…仕方ないかあ……じゃあまた後でね、せんくーくん』
「…ああ」
みんなと別れ、たまに振り返りながらもゆっくりと橋を二人で渡る。
何の試合かは知らないが、とにかく村全体が集まって開催している事から何か大事な行事なのだろう。よそ者のボク等が居ても何もすることはない。
『あれ、でもせんくーくんもよそ者じゃ…?』
「あ〜〜〜〜〜〜、千空ちゃんはちょっと訳ありでね」
『ふうん、でもせんくーくんが試合に出る事なんてないだろうし怪我したりはー…』
ほんの少しの心配を膨らませるかの様に遠くから千空対銀狼のアナウンスが聞こえてくる。
その直後、ビタンビタンと叩きつける音と騒めきが鳴り響いた。
『!!!』
「あ〜〜これ、マラソン大会で一緒に走ろうとか言っといて駆け抜けするタイプだわ銀狼ちゃん」
『あの金髪!吊るす!』
「ちょっと!狛ちゃん!?」
彼の制止の声も聞かず、来た道をまた戻る。
門番よろしく橋の前には金狼とカセキが立っていたが、試合の方に意識を向けており難なく突破する。
いつでも突撃できるよう近くの小屋の上に身を潜めれば、丁度試合が終わる所だった。
西瓜の殻に千空が持っていた棒をセットし、銀狼が近づくタイミングで勢い良く棒を踏み上げ、テコの原理で何十倍にもなった威力を見事に急所に負わす。
「あふん!!」
泡を吹きながら倒れる銀狼に心の中でばーか!と悪態を吐く。
だが、銀狼を突破した千空はそのまま決勝戦へと進んでしまった。
相手は誰かとトーナメント表へ目を凝らすと、クロムと千空の似顔絵が書いてある。先程まで祝い合っていた彼ならきっと、千空を傷付けることはしないだろう。
しかし万が一の時の為に、と試合の雲行きを眺めていれば突っ伏したままのクロムとそれにちょっかいをかける千空の絵面が続く。
何か喋っているようだったが、声が小さすぎて聞き取れない。
一向に立ち上がらないクロムに、ざわざわと観客らは騒ぎ立つ。それでも進展がなく、ついに審判が判定を下した。
「……新しい村長、巫女様の夫となる者は」
渋い顔をした審判者が千空の方に手を振りあげた。
「優勝者、千空…!!!」
「ん?????」
『夫…!?』
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