ボクも見て、御主人!
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えいさ、ほいさと今日も食用キノコや木の実を籠いっぱいに抱えながら森を駆け抜ける。
本当は今すぐにでも舌を噛みちぎって死にたい。彼のいない世界だなんて生きている価値などない。しかし彼はそんな不合理な事など絶対に許してくれないだろうから寿命を全うしてみせなければ。
目覚めた時から何日も自分に言い聞かせ、心を強く持つ。
ズズ、と垂れる鼻水をなんとか抑え込み絶対に泣くまいと奥歯を噛み締め一心不乱に足を動かした。
ここは世界中から人類が消え早3700年、目が覚めるとそこは記憶の中にある世界とはかけ離れた東京。
あの時、突然の事で何も抗えないまま謎の光に包まれて地球上から誰一人として生存者が居なくなった。
それから長い長い年月が経ち、暗闇から目が覚めた時、初めに見た光景は獅子王司の顔面だった。
ワ、TVで見るよりイケメンだなあ。
呑気な事を思いながら、急激な眠気から来る頭痛を何とか耐えつつぼんやりした頭で彼の言葉を聞き取る。
「君は戌井狛だね。早速で残念だけど石神千空は死んだ」
『……………、え?』
まるで首を絞められた様にまともに声すら出なかった。
酷く悲しそうな顔で頬を撫でる彼が嘘をついている様には見えなかった。
何かの聞き間違えかと、儚い希望に縋る気持ちで聞き返すと彼の後ろからチラリと見知った顔が此方を覗いた。しかし、そこにはいつも居る筈の彼がやはりいなかった。
『アハ、やだ〜…。そんな、ゆずちゃんたいちゃん、悪い冗談だよね、だってあの、だってさぁ………』
あの千空くんだよ、その一言が音には成らず喉から二酸化炭素として掻き消されていった。
第一印象は最悪だった獅子王司は、それでもやはり頭が良くこの滅亡した世界の中心としてまとめ上げている。
今日もそんな彼からお得意の鼻を酷使し食べられる物を集めて欲しいとお使いを頼まれていた。
『あー!もう!せんくーくんが居ないのにボクは何を糧に生けていけばいいの!』
ドカリと抱え込んでいた杠作籠を岩の上に豪快に置く。
いくつかの中身が散らばってしまったが食べる量的に問題はないだろう。
籠を置いた隣の小ぶりの岩に腰掛け大きなため息をつく。
伊達に大樹に忠犬ハチ公とあだ名されただけないや、と遥か昔を思い出しまた感傷に浸る。
ああ、彼の炎の様に煌めくあの瞳がまた見たいな。実験が成功した時のあの嬉しそうな笑顔がまた見たいな。
膝を抱え込み誰も居ない森の中で静かに涙を流す。
『うぅ……、せんくー…千空…また会いたかったな』
「君、千空ちゃんの知り合い?」
誰も居ないと思い込んでいた。
突然背後から見知らぬ男に声を掛けられる。
突然の事で自分が涙などの液体で顔面が酷いことになっている事も忘れ、その場から飛び上がった。
『ウギャ!誰!』
「やだなあ、ほらほら。メンタリストだよ知らない?…ゲン!あさぎりゲン!」
『ゲン…?アァ〜…せんくーくんがちらっと本読んだって言ってたっけ…』
「ドイヒー!君も彼も似た者同士だね〜〜ホントにさ」
やれやれと肩をくすめる彼、あさぎりゲンは此方を探る様に見つめてくる。
突然の登場で動けず固まっていれば、胡散臭さ満点の笑顔ですぐ隣まで詰め寄られていた。
「俺、今君の一番会いたがってる飼い主の所へ連れてってあげるよ。どうする?狛ちゃん」
そのたった一言が、酷くくすんだ世界を極彩色で彩った。
本当は今すぐにでも舌を噛みちぎって死にたい。彼のいない世界だなんて生きている価値などない。しかし彼はそんな不合理な事など絶対に許してくれないだろうから寿命を全うしてみせなければ。
目覚めた時から何日も自分に言い聞かせ、心を強く持つ。
ズズ、と垂れる鼻水をなんとか抑え込み絶対に泣くまいと奥歯を噛み締め一心不乱に足を動かした。
ここは世界中から人類が消え早3700年、目が覚めるとそこは記憶の中にある世界とはかけ離れた東京。
あの時、突然の事で何も抗えないまま謎の光に包まれて地球上から誰一人として生存者が居なくなった。
それから長い長い年月が経ち、暗闇から目が覚めた時、初めに見た光景は獅子王司の顔面だった。
ワ、TVで見るよりイケメンだなあ。
呑気な事を思いながら、急激な眠気から来る頭痛を何とか耐えつつぼんやりした頭で彼の言葉を聞き取る。
「君は戌井狛だね。早速で残念だけど石神千空は死んだ」
『……………、え?』
まるで首を絞められた様にまともに声すら出なかった。
酷く悲しそうな顔で頬を撫でる彼が嘘をついている様には見えなかった。
何かの聞き間違えかと、儚い希望に縋る気持ちで聞き返すと彼の後ろからチラリと見知った顔が此方を覗いた。しかし、そこにはいつも居る筈の彼がやはりいなかった。
『アハ、やだ〜…。そんな、ゆずちゃんたいちゃん、悪い冗談だよね、だってあの、だってさぁ………』
あの千空くんだよ、その一言が音には成らず喉から二酸化炭素として掻き消されていった。
第一印象は最悪だった獅子王司は、それでもやはり頭が良くこの滅亡した世界の中心としてまとめ上げている。
今日もそんな彼からお得意の鼻を酷使し食べられる物を集めて欲しいとお使いを頼まれていた。
『あー!もう!せんくーくんが居ないのにボクは何を糧に生けていけばいいの!』
ドカリと抱え込んでいた杠作籠を岩の上に豪快に置く。
いくつかの中身が散らばってしまったが食べる量的に問題はないだろう。
籠を置いた隣の小ぶりの岩に腰掛け大きなため息をつく。
伊達に大樹に忠犬ハチ公とあだ名されただけないや、と遥か昔を思い出しまた感傷に浸る。
ああ、彼の炎の様に煌めくあの瞳がまた見たいな。実験が成功した時のあの嬉しそうな笑顔がまた見たいな。
膝を抱え込み誰も居ない森の中で静かに涙を流す。
『うぅ……、せんくー…千空…また会いたかったな』
「君、千空ちゃんの知り合い?」
誰も居ないと思い込んでいた。
突然背後から見知らぬ男に声を掛けられる。
突然の事で自分が涙などの液体で顔面が酷いことになっている事も忘れ、その場から飛び上がった。
『ウギャ!誰!』
「やだなあ、ほらほら。メンタリストだよ知らない?…ゲン!あさぎりゲン!」
『ゲン…?アァ〜…せんくーくんがちらっと本読んだって言ってたっけ…』
「ドイヒー!君も彼も似た者同士だね〜〜ホントにさ」
やれやれと肩をくすめる彼、あさぎりゲンは此方を探る様に見つめてくる。
突然の登場で動けず固まっていれば、胡散臭さ満点の笑顔ですぐ隣まで詰め寄られていた。
「俺、今君の一番会いたがってる飼い主の所へ連れてってあげるよ。どうする?狛ちゃん」
そのたった一言が、酷くくすんだ世界を極彩色で彩った。