Train Box
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―――またか…。
ギュウギュウづめの満員電車の中、レンは溜め息をついた。
自分の双丘を撫で回す、何者かの手のひら。
……身動き出来ないこの空間で、なんとも卑怯な真似をするものだ。
レンはそう思いながら軽く身動ぎするも、人と人とが密着しているために逃れることが出来ない。
周りの人間は、誰一人気付いていなくて。
レンが痴漢に遭うのは、これが初めてではない。
中性的な顔立ちのせいか、これまで何度もそういう目に遭ってきていた。
だが大概の痴漢はレンが男だと分かると、罰が悪そうに手を引っ込ませていった。
―――どうせ今回もそうだろう。
少しの間我慢すればいいだけ…。
レンは再び溜め息をつき、流れていく外の景色を睨み付けていた。
「っ…!?」
双丘を撫でていた男の手がレン自身に触れた。
もちろん、ジーンズの上からだが。
驚いて、思わず声を出しそうになる。
―――嘘だろ…?
驚くレンを余所に、男はその上からレン自身を揉み始めた。
「やっ……ちょっ…!!」
やっと自分の危機に気付いたレンは、躯を捩り小声で抵抗するも、移動する密室の中ではどうすることも出来ない。
それどころか、振り向くことすらままならない状態。
しかも運悪くレンの立っている場所は、終点まで開かないドアの前。
「こういうこと…されるの好きなんだね?」
すぐ耳元で、低い男の声がした。
どうやら大人しくしていたレンに気を良くしたらしい。
「違っ…!!」
慌てて声を上げようとするも、今されていることを周りに知られてしまっては、恥をかくのは自分になる。
「大丈夫。気持ち良くしてあげるから…」
男の手が器用にレンのベルトを外した。
「っ…」
抵抗することも出来ないレンは唇を噛み締め、一刻も早く電車が終点に着くことだけを祈っていた。
「っ…はぁ…」
下着の中に潜り込んだ男の手が、絶えず刺激を与え続けている。
既に自身は先走りで濡れてしまっていて。
電車が揺れる音に紛れながら微かに聞こえる、水音。
必死に声を殺すも、耐えきれない息遣いだけはどうしても漏れてしまう。
「んんっ!!」
突然、電車が急ブレーキをかけた。
男が強く自身を握り締めた所為で、危うく達しそうになる。
その声に周りの人間が不思議そうにレンを見やるが、気付かれないよう必死に冷静を装った。
しかし足はガクガクと震え、壁に寄りかからなければ立っていることも出来ない。
小刻みに与えられる刺激は、確実にレンを限界へ追いやっていく。
「あっ…!!」
男が指先で先端部をぐにぐにと押し潰した。
目の前が真っ白になる。
その刺激に耐えきれず、レンは男の手に欲望を吐き出してしまった――――。
終点を知らせるアナウンスが繰り返し聞こえてくる。
密集していた人々も、それぞれの行き先へと散っていき…。
残ったのは放心状態のレンだけ。
去り際に言われた、男の言葉が蘇る。
『…また、会おうね?』
どうしようもない屈辱感。
「く、そっ…!!」
レンは拳を握り締めると眼前のドアを殴り付けた。
END
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