日記
御影先輩 is 何?~後半~
2020/05/23 06:04考察感想
つづきです。
22話、『根室記念館』を観ていきましょう。
この回は本当に、“表現” のほうに比重が傾いてるから
必要な情報を読み取るのが難しいです。
現在の御影先輩の部屋。
暁生氏が世界の果てからの手紙を届けに。
「あんたとは取引をしただけだ。
命令をきく筋合いはない」
「そう、これは契約さ。あのとき以来のね」
暁生の言う「あのとき」を思い出すかのように、
このあと御影の過去回想が始まります。
「しばらくは消えないでしょうね、根室教授」
このセリフって意味が何重にも読み取れてやばい。
・(雪が)しばらくは消えないでしょうね。
・(研究が終わるまでは)消えないでしょうね?根室教授。
・(根室教授の魂は建物が燃え落ちても)しばらくは消えない。
さてこの根室教授と男子生徒が喋ってるシーン、
カットが変わると生徒の服装が変わっている。
時間経過の表現だと思われます。
つまり、根室も100人の少年たちも
自分たちが実際何の研究に携わっているのか
よく解ってなくて、
何の成果も得られないまま、時間だけが過ぎている。
ということだと思います。
男子生徒たちの陰口。
「論文は面白いが本人は乾いている」
「気取らせとけばいいさ。
電子計算機のような男だ」
「せいぜい利用すればいい」
この電子計算機っていう揶揄も、
わりと重要な単語かもしれないですね。
みずからのことを「機械」と言うのも。
根室教授が部屋に戻ると、
そこには理事会から派遣された監察官、千唾時子の姿が。
このあとすぐ時子とのお茶のシーンになるので、
気をつけて観ないと場所が変わってるってことに
気付かない。
「この辺は道が悪いから、
ぬかるんで大変だったでしょう?」
千唾邸にお呼ばれした根室教授。
雨が降っているわけでもないのに
道がぬかるんでいるって事は
道路に融けかけの雪が残ってるってこと、
つまり季節は冬か、春先ですね。
砂時計。
窓の外に猫。
壁に掛かった蝶の標本。
増える猫。
「濃すぎるわ」。
まず先に、窓の外の猫について考えます。
猫といってもディティールが省かれた
シルエットだけの猫。
これは猫ですと提示するためだけの、記号としての猫。
シルエットが2匹に増えたあと、
今度はその2匹の隣にチビがもう1匹。
チビは単純に2匹の親から産まれた子猫と
考えていいでしょう。
猫の妊娠期間は約2か月です。
そして出産時期は春か秋とだいたい決まっています。
根室教授が時子とお茶しているあいだに、
窓の外では数カ月が経過してしまっていることが分かります。
これも、さきほどの根室と生徒の会話シーンのような
時間の経過を表現した演出なのか?
と考えると、ここはちょっと違うような気がしてきます。
これは、このときの根室教授が感じている主観的な時間と
実際流れている客観的な時間との誤差の可視化、
なのではないかと思うのです。
回想中の根室教授はまだ高校生として描かれていますが、
大学部の教員には「カリスマ」、
同年代の生徒からは「教授」と呼ばれる突出した存在。
精神的にも知能的にも、態度だってだいぶ大人です。
前のシーンで、根室教授自身は、
携わっている研究内容に対して興味が持てず、
毎日を「乾いている」と表現しています。
新しい発見に触れる機会が減り、
見るもの聞くものには新鮮味を感じられず、
マンネリ化した生活に慣れきってしまった根室教授。
人はそういった『慣れきった時間』を積み重ねていると
月日の経過が早いと感じ始めます。
大人になると、子どもの頃に比べて
1年が過ぎるのはあっという間のように感じますよね。
アレと似たようなものです。
話を戻すと、
このとき教授はいつもの日常の中ではなく
『慣れない経験』かつ『強く印象に残る思い出』
の中にいるわけですから普段とは逆の、
経過の遅い時間を過ごしていることが窺えます。
“経過の遅い時間”というのは、例えるなら
電池が無くなりかけの腕時計をつけているような
状態ですね。
自分の腕時計は3時を指しているのに、
壁掛け時計をみたら3時10分だった。みたいな感じです。
この「主観的な時間」と「客観的な時間」の混在が分かれば
次の時子の紅茶も説明がつきます。
「濃すぎるわ」
「砂時計も遅れることがあるのかしら」
根室教授と会話をしている時子は
教授の主観的な時間に影響を受けているので
“経過の遅い時間”を共有している、
というか共有させられている、と思われます。
なので、
蒸らし時間はいつもと同じにしたつもりでも
時子が見ている砂時計はやはり
客観的な時間からは遅れていて、
そのせいで紅茶が濃くなってしまった、と考えられます。
砂時計がテーブルに反射しているカットは意味深ですね。
本来上から下へ落ちるはずの砂が下から上へのぼっている。
過ぎた時間を巻き戻そうとしているかのよう。
それは自然の摂理に反したことではありますが
時子が進めようとしている仕事は
まさにそういうたぐいのもの。
ビジネスだと割り切っていても、
根室教授の態度はその計画に否定的であります。
温室のシーン。
おとなしく寝ていない馬宮を叱る時子。
弟のことを心から心配している様子が窺えます。
医者には「もう諦めるしかない」と言われている馬宮。
その馬宮のために永遠を手に入れたいと願うのは
姉のエゴでしかないと思うのですが…
とにかく、弟のために涙を流す時子を見て
それまで虚無だった根室教授の心境にも変化が訪れます。
「天才と呼ばれるような人は
他人を好きになったりする事はないのかしら」
「そうですね」
「確かに、今日まではそうでした」
このカット、秋ですか?
枯れ木と根室教授と、苗木を抱えた二人の少年。
抽象的すぎる。
何かの作品のオマージュでしょうか。
概念すぎて考察の余地もありませんでした。
ところで、姉弟なんだから名前は
『時子』と『間宮』にしておいてあげればいいのに
なんで『馬宮』になったんでしょうね?
名付け親は誰?千唾夫妻のバグでしょうか。
再び千唾邸を訪れる根室教授。
温室には馬宮が独り。
「ここの雪はなかなか消えないね」
「姉さんは理事会に呼び出されたから
たぶん夕方まで戻ってこないでしょう」
この「理事会に呼び出された」ってセリフ、
榎戸さんの解説読むまでまったく気付かなかったんですけど
要は暁生に会いに行ってるってことらしいです。
もうこの時点でデキてたわけですあの2人。
いや、きっと最初からでしょうね。
根室教授には弟のためと言っていたけれど、
本当に『永遠』と『世界を革命する力』を欲しているのは
鳳暁生なわけですから、時子も半分は暁生のために
この仕事に参加してるのだと思っていいかもしれません。
そう考えると、
「他人を好きになったりする事は~」のくだりも
見方が変わってきますよね。
馬宮のための涙なのか、暁生のための涙なのか…。
馬宮が「姉さんの注射が好き」と言っていたのも
単に姉に構ってもらえる時間が嬉しいって意味だったのかも
しれませんね。
変な仕事にかかわるようになってから
姉と共に過ごす時間が減ってしまい、
そのせいで寂しい思いをしていた馬宮。
そう思うと馬宮にとっても、
根室教授は自分を気にかけてくれる唯一の
信頼できる人だったのではないでしょうか。
でも、その信頼した人にも
無実の放火の罪を着せられることになるのか…
つらい…
「ただ、“永遠”に憧れる心が
美しく思えたりするだけだ」
真理。馬宮が一番大人なこと言っているような気がします。
シーンが変わって根室教授の仕事部屋。
黒板に向かって一生懸命に考え事をしている教授。
デスクの上に口紅のついたティーカップが置いてあり、
その手前に椅子があるのでさっきまで部屋に時子がいて、
何か打ち合わせをしていた様子が見られます。
(教授の分のティーカップもPCデスクの横にありますね)。
書類が床にぶちまけられているのは、
時子が退室したあと急いで仕事を再開したからでしょうか。
とにかく焦っていますね。
もちろん時子のために成果を挙げたいから
焦っているわけなんですが、
時子が座っていたと思われる椅子の向きが
根室教授の方ではなく窓の方を向いてるんですよね。
意図的かそうでないかはわかりませんが、
29話の三角関係の椅子の演出を彷彿とさせます。
そこへ鳳暁生がやって来る。
「ここに部外者はいないよ。君以外はね」
研究の中心人物かと思っていたら、
教授はどうやら部外者だそう。
「それが世界を革命するための第一歩だ。
それですべてが動き始める」
「君は世界を革命するしかないだろう。
君の進む道は用意してある」
このあと根室教授は時子と暁生の密会を目撃する。
この時子の裏切りが根室教授を傷付け、
そして根室館に火を放つきっかけになるのですが、
その実行犯を自分ではなく
時子の弟・馬宮の仕業だと思い込むようになった経緯は
はっきりとは説明されていませんので、
これも少し考えていかなければなりませんね。
とういうのも、あんなに自分を慕ってくれていた馬宮を、
自宅で薔薇を愛でることしかできない馬宮を
(事実ではなくあくまで記憶の中の出来事だとしても)、
放火犯に仕立て上げるというのはあまりにも
馬宮本人の意思をないがしろにしすぎていると
思うんですよね。
でもこれ、馬宮が生きていることを
前提として見たときに感じる違和感なので、
馬宮があの火災の時点ですでに
亡くなっていたのだとすれば
根室教授の行動も理解することができます。
少し場面が戻ります。
教授が、時子と暁生の密会を目撃するシーンの
直前です。
暁生を追って根室教授が部屋から出ると、
廊下に黒い薔薇が一輪落ちていますね。
根室教授はその足元の薔薇に気付かず
通り過ぎてしまいます。
しかし、こんなところに何の意味もなく
黒薔薇が落ちているはずはありません。
暁生が落としていったものでしょうか?
それも違うと思います。
黒薔薇はずっと馬宮の近くにありました。
黒薔薇は馬宮の存在そのものです。
それが床に落ちているということは
ちょうどこのとき、馬宮が亡くなったのだという
暗示ではないかと思うんですね。
ちょっと強引な推察だとは思いますが、
このシーンで棺桶のような箱を
ガラガラと運んでいる様子は明らかに
死を匂わせる演出です。
そしてこのタイミングで馬宮が亡くなったのであれば、
根室教授が自分の記憶の改ざんに
馬宮を利用しようと考えたのも納得できます。
100人の少年を生き埋めにした根室館の火災は
根室教授にとってはもちろん
『強く印象に残る思い出』です。
その強烈な思い出に馬宮を紐付けておくことで
馬宮のことを忘れないようにしたかった。
だから火を放ったのは馬宮であると、
教授自身の記憶を書き換えた。
そうでもしないと、馬宮は根室教授の思い出の中から
消えてしまうかもしれないから。
そうまでして馬宮を忘れたくなかった理由とは?
根室教授は馬宮に尊敬されることで
自己肯定感を保っていました。
他の生徒が自分の事をおもしろおかしく語っている事は
自覚していたので、自分を尊敬すると言ってくれた馬宮に
教授は救われていたんですね。
だけど自分はそんな友に永遠を与えてやれなかった。
姉の時子の方ばかりを気にしていて、
残り少ない時間だと知っていたはずなのに
馬宮に対して何もしてやれなかった事を
悔やんだのでしょう。
それは時子も同じです。
あのとき時子は根室館にいた。鳳暁生に会っていた。
自分の幸せな時間を優先しているあいだに
弟の馬宮は一人で寂しく息を引き取った。
時子は自分を責めた。
間もなくして根室館も焼け落ちた。
100人の少年の犠牲は耐え難いものだった。
時子は関わっていた仕事から手を引くことを決め、
根室教授からも、鳳学園からも離れた。
「実を結ぶために花は散るのよ」
花が散るのを見たくないと言っていた時子も、
弟の死を受け入れて普通の生活を送ることで
気持ちに整理がついたようですね。
馬宮の死は時子にとって受け入れがたい事実だったが、
時子がその事実を受け入れられないだろうということを
根室教授も察していた。
だから教授は、
馬宮の死そのものを否定しなくてはならなかった。
馬宮はまだ生きていると自分で思い込むしかなかった。
そうすれば、記憶の中の時子は己を責めることもなく、
弟の死を悲しむ必要もなくなるのではないか。
同時に、教授は、自分を捨てて学園を離れた
現実世界の時子のことを恨んだ。
根室館に火を放ったのは他でもない時子のため。
時子が暁生の女であると知ってしまった教授は、
この学園から永遠への道をひらくことが出来れば
再び自分が時子の気を引けると思い込んでいた。
自分は時子に必要とされている人間だと
信じて疑わなかった。
自分にはそれほどの価値と才能があると確信していた。
それなのに時子は振り向いてはくれなかった。
時子に頬をぶたれた瞬間、
教授は自分の犯した間違いに気付いた。
だけど間違いを間違いだと認めることが出来なかった。
なぜなら自分は『電子計算機』。
機械に間違いがあってはならないのだ。
根室教授は『根室教授』を封印することにした。
間違いを犯す不良品の機械を。
時子に否定された価値のない天才を。
根室教授が向き合わなければならなかった
コンプレックスというのがこれですね。
教授って、「僕は天才じゃありません」とか
「教授はよしてくれ」とか、
他人からの賞賛に対しては常に
謙遜の態度で応えていて、
すごく謙虚な人のような印象を受けるんだけど、
本当はめちゃくちゃプライドが高くて自尊心の塊で
自分以外の人間を下に見てるし
与えられた地位や仕事をありがたいとも思ってない。
高慢な人間なんです、根室教授というのは。
この高慢さが根室教授自身の首を絞めていた。
肥大した自尊心が負けを認めることを許さなかった。
だけど、負けを認めなければいつまでも先に進めない。
封印した『根室教授』と向き合い、
『負ける自分』を受け入れることが必要だった。
己の弱さを自覚することが必要だった。
御影草時が天上ウテナを御影ゼミに誘ったのは
心の奥底ではそれが分かっていたからでしょう。
自分を負かしてくれる人間を待っていたのです。
******************
23話『デュエリストの条件』を観ていきましょう。
「私が好きになったのは
あなたみたいな年下の坊やじゃなかった」
御影が秘書として雇っていた女性の捨て台詞です。
どうやら自分に惚れている女性を
自分好みの外見にするよう強制して
秘書として傍に置いていたらしいですね。
「年下の坊やじゃなかった」ってことは
この女性は御影が外にいる頃に出会った人で、
外の世界で真っ当に歳をとった御影氏を知っている、
ということでしょうか。
「決闘場への道はひらいた」
「いよいよアレが始まる」
「これで根室教授の役目は終わった」
「これからは彼抜きで進めたほうが
あの方の意思に沿っているだろう」
「きっと彼も誰かに敗れる」
「放っておいても差し支えない」
「さあ、シャンパンを開けよう」
前置きもなしに黒薔薇の少年たちが喋り出すから
ビックリしますね。
「みんな勝手だよね」
「みんなあなたを恐れてるんだよ。
永遠を手にするんじゃないかと思ってる」
「僕は決闘なんてしないよ」
御影と馬宮かと思ったら根室教授と馬宮でした。
なぜここで過去回想になるのかよくわかりませんね。
それに決闘場への道がひらいたときあの少年たちは
すでに生き埋めになってるはずだから
あんなに生き生きとお喋りできないのも確か。
居ないはずの人間の声が聞こえるということは
根室教授を疎外しようとしている声は
この根室教授が自分の脳内で創り出している声ではないかと
思います。
根室教授は長く疎外感に悩まされていました。
自分の知らない事が周りで起こっているのに
それを自分で知ろうともしなかった。
そういったネガティブな記憶がまだ残っていて
自分を疎外する声を排除しようとしても
排除できない鬱陶しさのようなものを感じました。
ベッドに横たわっている根室教授のそばに馬宮の姿が
ありますが、
この馬宮の声も、結局は根室教授が自分の脳内で
アテレコしているだけでしょうね。
つまり、会話は自分の中だけで完結してしまっている、
脳内会議のようなものです。
御影先輩が馬宮を傍に置いている理由の一つがこれで、
馬宮は自分を肯定し、
自分に意見を求める存在です。
でもその発言のほとんどは御影自身が馬宮に
言って欲しいことを言わせているだけです。
馬宮の中には姫宮アンシーという別の人格が
隠れています。
アンシーは意思の無い薔薇の花嫁。
他人の願望を映す鏡のような存在でもあります。
御影が独断で意見を発するのではなく、
馬宮という鏡を使うことで会話の形式にし、
馬宮を納得させるというテイで、
自分自身を納得させていたのです。
しかしこの根室教授は一体どこの時間軸の
根室教授なのでしょうか。
ベッドに横になって目を閉じているという点を
考えると、
御影先輩が根室館に置いてきた昔の自分、
ということも考えられますね。
決闘はしないと言い切っているところからも
それっぽいなという感じはします。
決闘するのはあくまでも御影草時であって
『根室教授』ではありません。
「やっと帰って来ましたね」
「いずれは僕の元へ
戻ってくると思ってましたよ、時子さん」
「僕を捨てたこと、
後悔しなくていいんです」
上からの物言いがすごい。
機械は乾いているけれどだからといって
水を与えればいいというわけではない。
ちゃんと機械油でメンテしないから
こんなふうにおかしくなってしまうんですね。
決闘場へ入ることによって、
ようやく本物の馬宮を思い出すことが出来た御影。
このときの馬宮の声も
御影自身の心の声の投影でしょう。
天上ウテナに負けることを望んでいた御影。
負けを認められない弱い自分を
ディオスの剣で負かしてもらうことによって
負けを認めることの出来る、
強い心を手に入れるために。
決闘を経て、御影先輩が本当に強い心を
手に入れることが出来たかということについては
正直不明ですね。
でも、ラストの暁生氏のセリフは
『根室くん』を強制退場させるような
言い方だったので
やっぱりまだ未練が残っていたんじゃないかと
思われます。
未練は残っていたけれど、
馬宮がすでに亡くなっていることを
思い出してしまったし、
自分の力では世界を革命する力を得ることも
永遠を手にすることも
叶わないと悟ってしまったので
学園から消えてしまうしかなかったのでしょう。
哀しいですね。
鳳暁生が本当に御影草時の実力を認めていて
そのうえで天上ウテナを倒す刺客として
彼を利用していたのかはちょっと疑わしい。
もしかしたらほんの余興のために
『根室くん』の思い出で遊んでいただけかもしれない。
暁生氏も御影先輩も、学園は平和であるべきと
口では言ってるものの、本心では
平和な日常に飽き飽きしている様に見えます。
14話の若葉のセリフ、
『うちの学園っって平和よねー。なーんか、
あっと驚くような事件とか、起きないかなー』
ってのは、暁生と御影の本音を表しているようにも
聞こえますね。
消えてしまった御影先輩はその後どうなったのか。
外の世界にいるはずの(仮説の)本人の安否は?
これは完全に憶測ですけど、
永遠を手に入れたくなったと言っていた御影が
永遠を手に入れることはできなかったのだから
やはり外の世界では亡くなってしまったのだと
思うんですよね。
この件は本当に正解なんてものはなくて、
視聴者が「生きている」と思えば御影は生きているし
「死んでる」と思えば死んでいる。
そういう世界観の話なんじゃないかと思います。
私なんかは、死んだ馬宮が迎えにきて
御影を連れて行ってくれたんじゃないかなーみたいな
そんな感じで妄想してますけど。
御影草時についてこんなにガッツリ考えたことが
なかったので、いろいろ発見があって楽しかったです。
これからも謎を深めていって欲しいですね、教授。
100人の少年の犠牲がどういう理屈で決闘場への
道をひらく鍵となったのか、とか、
城が出現したという意味について、とかは
あえて触れなかったので、
秘密は秘密のままにしとこうと思います。
考えてもしょうがないことのようにも思えますから。
22話、『根室記念館』を観ていきましょう。
この回は本当に、“表現” のほうに比重が傾いてるから
必要な情報を読み取るのが難しいです。
現在の御影先輩の部屋。
暁生氏が世界の果てからの手紙を届けに。
「あんたとは取引をしただけだ。
命令をきく筋合いはない」
「そう、これは契約さ。あのとき以来のね」
暁生の言う「あのとき」を思い出すかのように、
このあと御影の過去回想が始まります。
「しばらくは消えないでしょうね、根室教授」
このセリフって意味が何重にも読み取れてやばい。
・(雪が)しばらくは消えないでしょうね。
・(研究が終わるまでは)消えないでしょうね?根室教授。
・(根室教授の魂は建物が燃え落ちても)しばらくは消えない。
さてこの根室教授と男子生徒が喋ってるシーン、
カットが変わると生徒の服装が変わっている。
時間経過の表現だと思われます。
つまり、根室も100人の少年たちも
自分たちが実際何の研究に携わっているのか
よく解ってなくて、
何の成果も得られないまま、時間だけが過ぎている。
ということだと思います。
男子生徒たちの陰口。
「論文は面白いが本人は乾いている」
「気取らせとけばいいさ。
電子計算機のような男だ」
「せいぜい利用すればいい」
この電子計算機っていう揶揄も、
わりと重要な単語かもしれないですね。
みずからのことを「機械」と言うのも。
根室教授が部屋に戻ると、
そこには理事会から派遣された監察官、千唾時子の姿が。
このあとすぐ時子とのお茶のシーンになるので、
気をつけて観ないと場所が変わってるってことに
気付かない。
「この辺は道が悪いから、
ぬかるんで大変だったでしょう?」
千唾邸にお呼ばれした根室教授。
雨が降っているわけでもないのに
道がぬかるんでいるって事は
道路に融けかけの雪が残ってるってこと、
つまり季節は冬か、春先ですね。
砂時計。
窓の外に猫。
壁に掛かった蝶の標本。
増える猫。
「濃すぎるわ」。
まず先に、窓の外の猫について考えます。
猫といってもディティールが省かれた
シルエットだけの猫。
これは猫ですと提示するためだけの、記号としての猫。
シルエットが2匹に増えたあと、
今度はその2匹の隣にチビがもう1匹。
チビは単純に2匹の親から産まれた子猫と
考えていいでしょう。
猫の妊娠期間は約2か月です。
そして出産時期は春か秋とだいたい決まっています。
根室教授が時子とお茶しているあいだに、
窓の外では数カ月が経過してしまっていることが分かります。
これも、さきほどの根室と生徒の会話シーンのような
時間の経過を表現した演出なのか?
と考えると、ここはちょっと違うような気がしてきます。
これは、このときの根室教授が感じている主観的な時間と
実際流れている客観的な時間との誤差の可視化、
なのではないかと思うのです。
回想中の根室教授はまだ高校生として描かれていますが、
大学部の教員には「カリスマ」、
同年代の生徒からは「教授」と呼ばれる突出した存在。
精神的にも知能的にも、態度だってだいぶ大人です。
前のシーンで、根室教授自身は、
携わっている研究内容に対して興味が持てず、
毎日を「乾いている」と表現しています。
新しい発見に触れる機会が減り、
見るもの聞くものには新鮮味を感じられず、
マンネリ化した生活に慣れきってしまった根室教授。
人はそういった『慣れきった時間』を積み重ねていると
月日の経過が早いと感じ始めます。
大人になると、子どもの頃に比べて
1年が過ぎるのはあっという間のように感じますよね。
アレと似たようなものです。
話を戻すと、
このとき教授はいつもの日常の中ではなく
『慣れない経験』かつ『強く印象に残る思い出』
の中にいるわけですから普段とは逆の、
経過の遅い時間を過ごしていることが窺えます。
“経過の遅い時間”というのは、例えるなら
電池が無くなりかけの腕時計をつけているような
状態ですね。
自分の腕時計は3時を指しているのに、
壁掛け時計をみたら3時10分だった。みたいな感じです。
この「主観的な時間」と「客観的な時間」の混在が分かれば
次の時子の紅茶も説明がつきます。
「濃すぎるわ」
「砂時計も遅れることがあるのかしら」
根室教授と会話をしている時子は
教授の主観的な時間に影響を受けているので
“経過の遅い時間”を共有している、
というか共有させられている、と思われます。
なので、
蒸らし時間はいつもと同じにしたつもりでも
時子が見ている砂時計はやはり
客観的な時間からは遅れていて、
そのせいで紅茶が濃くなってしまった、と考えられます。
砂時計がテーブルに反射しているカットは意味深ですね。
本来上から下へ落ちるはずの砂が下から上へのぼっている。
過ぎた時間を巻き戻そうとしているかのよう。
それは自然の摂理に反したことではありますが
時子が進めようとしている仕事は
まさにそういうたぐいのもの。
ビジネスだと割り切っていても、
根室教授の態度はその計画に否定的であります。
温室のシーン。
おとなしく寝ていない馬宮を叱る時子。
弟のことを心から心配している様子が窺えます。
医者には「もう諦めるしかない」と言われている馬宮。
その馬宮のために永遠を手に入れたいと願うのは
姉のエゴでしかないと思うのですが…
とにかく、弟のために涙を流す時子を見て
それまで虚無だった根室教授の心境にも変化が訪れます。
「天才と呼ばれるような人は
他人を好きになったりする事はないのかしら」
「そうですね」
「確かに、今日まではそうでした」
このカット、秋ですか?
枯れ木と根室教授と、苗木を抱えた二人の少年。
抽象的すぎる。
何かの作品のオマージュでしょうか。
概念すぎて考察の余地もありませんでした。
ところで、姉弟なんだから名前は
『時子』と『間宮』にしておいてあげればいいのに
なんで『馬宮』になったんでしょうね?
名付け親は誰?千唾夫妻のバグでしょうか。
再び千唾邸を訪れる根室教授。
温室には馬宮が独り。
「ここの雪はなかなか消えないね」
「姉さんは理事会に呼び出されたから
たぶん夕方まで戻ってこないでしょう」
この「理事会に呼び出された」ってセリフ、
榎戸さんの解説読むまでまったく気付かなかったんですけど
要は暁生に会いに行ってるってことらしいです。
もうこの時点でデキてたわけですあの2人。
いや、きっと最初からでしょうね。
根室教授には弟のためと言っていたけれど、
本当に『永遠』と『世界を革命する力』を欲しているのは
鳳暁生なわけですから、時子も半分は暁生のために
この仕事に参加してるのだと思っていいかもしれません。
そう考えると、
「他人を好きになったりする事は~」のくだりも
見方が変わってきますよね。
馬宮のための涙なのか、暁生のための涙なのか…。
馬宮が「姉さんの注射が好き」と言っていたのも
単に姉に構ってもらえる時間が嬉しいって意味だったのかも
しれませんね。
変な仕事にかかわるようになってから
姉と共に過ごす時間が減ってしまい、
そのせいで寂しい思いをしていた馬宮。
そう思うと馬宮にとっても、
根室教授は自分を気にかけてくれる唯一の
信頼できる人だったのではないでしょうか。
でも、その信頼した人にも
無実の放火の罪を着せられることになるのか…
つらい…
「ただ、“永遠”に憧れる心が
美しく思えたりするだけだ」
真理。馬宮が一番大人なこと言っているような気がします。
シーンが変わって根室教授の仕事部屋。
黒板に向かって一生懸命に考え事をしている教授。
デスクの上に口紅のついたティーカップが置いてあり、
その手前に椅子があるのでさっきまで部屋に時子がいて、
何か打ち合わせをしていた様子が見られます。
(教授の分のティーカップもPCデスクの横にありますね)。
書類が床にぶちまけられているのは、
時子が退室したあと急いで仕事を再開したからでしょうか。
とにかく焦っていますね。
もちろん時子のために成果を挙げたいから
焦っているわけなんですが、
時子が座っていたと思われる椅子の向きが
根室教授の方ではなく窓の方を向いてるんですよね。
意図的かそうでないかはわかりませんが、
29話の三角関係の椅子の演出を彷彿とさせます。
そこへ鳳暁生がやって来る。
「ここに部外者はいないよ。君以外はね」
研究の中心人物かと思っていたら、
教授はどうやら部外者だそう。
「それが世界を革命するための第一歩だ。
それですべてが動き始める」
「君は世界を革命するしかないだろう。
君の進む道は用意してある」
このあと根室教授は時子と暁生の密会を目撃する。
この時子の裏切りが根室教授を傷付け、
そして根室館に火を放つきっかけになるのですが、
その実行犯を自分ではなく
時子の弟・馬宮の仕業だと思い込むようになった経緯は
はっきりとは説明されていませんので、
これも少し考えていかなければなりませんね。
とういうのも、あんなに自分を慕ってくれていた馬宮を、
自宅で薔薇を愛でることしかできない馬宮を
(事実ではなくあくまで記憶の中の出来事だとしても)、
放火犯に仕立て上げるというのはあまりにも
馬宮本人の意思をないがしろにしすぎていると
思うんですよね。
でもこれ、馬宮が生きていることを
前提として見たときに感じる違和感なので、
馬宮があの火災の時点ですでに
亡くなっていたのだとすれば
根室教授の行動も理解することができます。
少し場面が戻ります。
教授が、時子と暁生の密会を目撃するシーンの
直前です。
暁生を追って根室教授が部屋から出ると、
廊下に黒い薔薇が一輪落ちていますね。
根室教授はその足元の薔薇に気付かず
通り過ぎてしまいます。
しかし、こんなところに何の意味もなく
黒薔薇が落ちているはずはありません。
暁生が落としていったものでしょうか?
それも違うと思います。
黒薔薇はずっと馬宮の近くにありました。
黒薔薇は馬宮の存在そのものです。
それが床に落ちているということは
ちょうどこのとき、馬宮が亡くなったのだという
暗示ではないかと思うんですね。
ちょっと強引な推察だとは思いますが、
このシーンで棺桶のような箱を
ガラガラと運んでいる様子は明らかに
死を匂わせる演出です。
そしてこのタイミングで馬宮が亡くなったのであれば、
根室教授が自分の記憶の改ざんに
馬宮を利用しようと考えたのも納得できます。
100人の少年を生き埋めにした根室館の火災は
根室教授にとってはもちろん
『強く印象に残る思い出』です。
その強烈な思い出に馬宮を紐付けておくことで
馬宮のことを忘れないようにしたかった。
だから火を放ったのは馬宮であると、
教授自身の記憶を書き換えた。
そうでもしないと、馬宮は根室教授の思い出の中から
消えてしまうかもしれないから。
そうまでして馬宮を忘れたくなかった理由とは?
根室教授は馬宮に尊敬されることで
自己肯定感を保っていました。
他の生徒が自分の事をおもしろおかしく語っている事は
自覚していたので、自分を尊敬すると言ってくれた馬宮に
教授は救われていたんですね。
だけど自分はそんな友に永遠を与えてやれなかった。
姉の時子の方ばかりを気にしていて、
残り少ない時間だと知っていたはずなのに
馬宮に対して何もしてやれなかった事を
悔やんだのでしょう。
それは時子も同じです。
あのとき時子は根室館にいた。鳳暁生に会っていた。
自分の幸せな時間を優先しているあいだに
弟の馬宮は一人で寂しく息を引き取った。
時子は自分を責めた。
間もなくして根室館も焼け落ちた。
100人の少年の犠牲は耐え難いものだった。
時子は関わっていた仕事から手を引くことを決め、
根室教授からも、鳳学園からも離れた。
「実を結ぶために花は散るのよ」
花が散るのを見たくないと言っていた時子も、
弟の死を受け入れて普通の生活を送ることで
気持ちに整理がついたようですね。
馬宮の死は時子にとって受け入れがたい事実だったが、
時子がその事実を受け入れられないだろうということを
根室教授も察していた。
だから教授は、
馬宮の死そのものを否定しなくてはならなかった。
馬宮はまだ生きていると自分で思い込むしかなかった。
そうすれば、記憶の中の時子は己を責めることもなく、
弟の死を悲しむ必要もなくなるのではないか。
同時に、教授は、自分を捨てて学園を離れた
現実世界の時子のことを恨んだ。
根室館に火を放ったのは他でもない時子のため。
時子が暁生の女であると知ってしまった教授は、
この学園から永遠への道をひらくことが出来れば
再び自分が時子の気を引けると思い込んでいた。
自分は時子に必要とされている人間だと
信じて疑わなかった。
自分にはそれほどの価値と才能があると確信していた。
それなのに時子は振り向いてはくれなかった。
時子に頬をぶたれた瞬間、
教授は自分の犯した間違いに気付いた。
だけど間違いを間違いだと認めることが出来なかった。
なぜなら自分は『電子計算機』。
機械に間違いがあってはならないのだ。
根室教授は『根室教授』を封印することにした。
間違いを犯す不良品の機械を。
時子に否定された価値のない天才を。
根室教授が向き合わなければならなかった
コンプレックスというのがこれですね。
教授って、「僕は天才じゃありません」とか
「教授はよしてくれ」とか、
他人からの賞賛に対しては常に
謙遜の態度で応えていて、
すごく謙虚な人のような印象を受けるんだけど、
本当はめちゃくちゃプライドが高くて自尊心の塊で
自分以外の人間を下に見てるし
与えられた地位や仕事をありがたいとも思ってない。
高慢な人間なんです、根室教授というのは。
この高慢さが根室教授自身の首を絞めていた。
肥大した自尊心が負けを認めることを許さなかった。
だけど、負けを認めなければいつまでも先に進めない。
封印した『根室教授』と向き合い、
『負ける自分』を受け入れることが必要だった。
己の弱さを自覚することが必要だった。
御影草時が天上ウテナを御影ゼミに誘ったのは
心の奥底ではそれが分かっていたからでしょう。
自分を負かしてくれる人間を待っていたのです。
******************
23話『デュエリストの条件』を観ていきましょう。
「私が好きになったのは
あなたみたいな年下の坊やじゃなかった」
御影が秘書として雇っていた女性の捨て台詞です。
どうやら自分に惚れている女性を
自分好みの外見にするよう強制して
秘書として傍に置いていたらしいですね。
「年下の坊やじゃなかった」ってことは
この女性は御影が外にいる頃に出会った人で、
外の世界で真っ当に歳をとった御影氏を知っている、
ということでしょうか。
「決闘場への道はひらいた」
「いよいよアレが始まる」
「これで根室教授の役目は終わった」
「これからは彼抜きで進めたほうが
あの方の意思に沿っているだろう」
「きっと彼も誰かに敗れる」
「放っておいても差し支えない」
「さあ、シャンパンを開けよう」
前置きもなしに黒薔薇の少年たちが喋り出すから
ビックリしますね。
「みんな勝手だよね」
「みんなあなたを恐れてるんだよ。
永遠を手にするんじゃないかと思ってる」
「僕は決闘なんてしないよ」
御影と馬宮かと思ったら根室教授と馬宮でした。
なぜここで過去回想になるのかよくわかりませんね。
それに決闘場への道がひらいたときあの少年たちは
すでに生き埋めになってるはずだから
あんなに生き生きとお喋りできないのも確か。
居ないはずの人間の声が聞こえるということは
根室教授を疎外しようとしている声は
この根室教授が自分の脳内で創り出している声ではないかと
思います。
根室教授は長く疎外感に悩まされていました。
自分の知らない事が周りで起こっているのに
それを自分で知ろうともしなかった。
そういったネガティブな記憶がまだ残っていて
自分を疎外する声を排除しようとしても
排除できない鬱陶しさのようなものを感じました。
ベッドに横たわっている根室教授のそばに馬宮の姿が
ありますが、
この馬宮の声も、結局は根室教授が自分の脳内で
アテレコしているだけでしょうね。
つまり、会話は自分の中だけで完結してしまっている、
脳内会議のようなものです。
御影先輩が馬宮を傍に置いている理由の一つがこれで、
馬宮は自分を肯定し、
自分に意見を求める存在です。
でもその発言のほとんどは御影自身が馬宮に
言って欲しいことを言わせているだけです。
馬宮の中には姫宮アンシーという別の人格が
隠れています。
アンシーは意思の無い薔薇の花嫁。
他人の願望を映す鏡のような存在でもあります。
御影が独断で意見を発するのではなく、
馬宮という鏡を使うことで会話の形式にし、
馬宮を納得させるというテイで、
自分自身を納得させていたのです。
しかしこの根室教授は一体どこの時間軸の
根室教授なのでしょうか。
ベッドに横になって目を閉じているという点を
考えると、
御影先輩が根室館に置いてきた昔の自分、
ということも考えられますね。
決闘はしないと言い切っているところからも
それっぽいなという感じはします。
決闘するのはあくまでも御影草時であって
『根室教授』ではありません。
「やっと帰って来ましたね」
「いずれは僕の元へ
戻ってくると思ってましたよ、時子さん」
「僕を捨てたこと、
後悔しなくていいんです」
上からの物言いがすごい。
機械は乾いているけれどだからといって
水を与えればいいというわけではない。
ちゃんと機械油でメンテしないから
こんなふうにおかしくなってしまうんですね。
決闘場へ入ることによって、
ようやく本物の馬宮を思い出すことが出来た御影。
このときの馬宮の声も
御影自身の心の声の投影でしょう。
天上ウテナに負けることを望んでいた御影。
負けを認められない弱い自分を
ディオスの剣で負かしてもらうことによって
負けを認めることの出来る、
強い心を手に入れるために。
決闘を経て、御影先輩が本当に強い心を
手に入れることが出来たかということについては
正直不明ですね。
でも、ラストの暁生氏のセリフは
『根室くん』を強制退場させるような
言い方だったので
やっぱりまだ未練が残っていたんじゃないかと
思われます。
未練は残っていたけれど、
馬宮がすでに亡くなっていることを
思い出してしまったし、
自分の力では世界を革命する力を得ることも
永遠を手にすることも
叶わないと悟ってしまったので
学園から消えてしまうしかなかったのでしょう。
哀しいですね。
鳳暁生が本当に御影草時の実力を認めていて
そのうえで天上ウテナを倒す刺客として
彼を利用していたのかはちょっと疑わしい。
もしかしたらほんの余興のために
『根室くん』の思い出で遊んでいただけかもしれない。
暁生氏も御影先輩も、学園は平和であるべきと
口では言ってるものの、本心では
平和な日常に飽き飽きしている様に見えます。
14話の若葉のセリフ、
『うちの学園っって平和よねー。なーんか、
あっと驚くような事件とか、起きないかなー』
ってのは、暁生と御影の本音を表しているようにも
聞こえますね。
消えてしまった御影先輩はその後どうなったのか。
外の世界にいるはずの(仮説の)本人の安否は?
これは完全に憶測ですけど、
永遠を手に入れたくなったと言っていた御影が
永遠を手に入れることはできなかったのだから
やはり外の世界では亡くなってしまったのだと
思うんですよね。
この件は本当に正解なんてものはなくて、
視聴者が「生きている」と思えば御影は生きているし
「死んでる」と思えば死んでいる。
そういう世界観の話なんじゃないかと思います。
私なんかは、死んだ馬宮が迎えにきて
御影を連れて行ってくれたんじゃないかなーみたいな
そんな感じで妄想してますけど。
御影草時についてこんなにガッツリ考えたことが
なかったので、いろいろ発見があって楽しかったです。
これからも謎を深めていって欲しいですね、教授。
100人の少年の犠牲がどういう理屈で決闘場への
道をひらく鍵となったのか、とか、
城が出現したという意味について、とかは
あえて触れなかったので、
秘密は秘密のままにしとこうと思います。
考えてもしょうがないことのようにも思えますから。