日記
アニメ夜話アド黙回 後編
2019/10/08 21:56考察
~小谷さんの『気になるシーン』はアンウテベッドシーン~
小谷「なんかね、曖昧なの。男として行動したいのか、女として行動したいのか。
なりたいものと好きなものがバラバラになっちゃってて、安定してなくて、観てて非常に落ち着かなかったんですよ」
榎戸「よくぞ選んで下さいました。脚本的にも気に入ってるシーンなんですよ。まさにその、曖昧さの距離感を楽しむっていう。
今のシーンが、ウテナが男だったら全然変なシーンじゃない。ある種分かりやすいシーンなんですけど、男装をしてる女の子の部屋に、所有物となった女の子が来るっていうのは、そもそもどういう前提条件なのか、っていうことを、観てる人に悩んで欲しいなって。
そのへんの駆け引きを一番力いれてやったし、ウテナが色っぽくない、セクシーじゃないっていうお話が出てましたけど、それも結構狙ったところ。セクシーでないがゆえの、セクシュアリティ。
言ってしまえば赤ずきんちゃんなんですよね。
つまりウテナは、性的なものに対してすごくピュアですよね。
イノセンスなんですよね。で、
イノセンスな人がそういう世界に巻き込まれてしまってるっていうのがなんか…ある種セクシュアリティが出るんじゃないのかなって事なんですよ」
高見「友情を取ったって私、受けたんですよね。だから女性同士で、愛情に入らずに友情で、そして守っていくっていう」
榎戸「逆にそっちのほうの価値観が分からないのがアンシーなんですよ。自分は所有物なんだから、相手が男であろうと女であろうと、とにかく夜訪ねて行っちゃう。っていうおかしさ」
高見「いる!そういう女の人いる」
小谷「wwwwww」
榎戸「だからそれはもう、男女の性を超えたいわゆる『女』なんですよ」
里「アンシーをエキゾチックなムードにしていったっていうのは、これもまた狙いがあったわけですか?」
榎戸「ただ者ではない!ってことにしたかった」
岡田「あと絵として、みんな色白の女の子だったら並べたとき困るっていうのが絶対ありますよね」
榎戸「男性スタッフに当時ウテナとアンシーどっちが好きかって質問だと、大体みんな、好きなのはウテナだけど、付き合いたいのはアンシーのほうっていう答えがww」
高見「wwwやっぱりなあwww」
小谷「ウテナって、男の人がなりたい女の子なんじゃないの?」
岡田「なりたい女の子??」
小谷「うん。男の人が、ウテナになりたいんじゃないの?」
岡田「いや違う、なりたいのはアンシーだと思う。もしなるならないで言えば」
榎戸「てゆーかこういう女の人がいてほしいなっていう一つの理想像みたいなものかな。
だけど、実際付き合いたいってなるとアンシーのほうを選んじゃう」
高見「結婚するならウテナってこと?」
榎戸「いや、どーでしょうねえ…。結婚するならむしろアンシーのほう…」
高見「アンシーなのォ!?」
岡田「だから、それぐらい男女の認識の差が激しいんですよ」
里「榎戸さんたちはその、そういった男性から見た女性像や、女性から見た男性像のギャップを埋めようとしたんですか?
それとも本当に違えてしまおうという意図だったんですか?」
榎戸「その問題を、そのままテーマにしちゃおうかと」
高見「投げかけたんですね」
~アニメ評論家・氷川竜介氏による作中のメタファー解説~
バラ→女性の象徴
剣 →男性の象徴(↑対になるもの)
水 →境界の象徴
~森川さんの気になるシーンはウテナカーで疾走するアンシー~
森川「全部が作り物めいている中で、いきなりですね、現実の見たことのある風景が出てきているということがすごく衝撃的だったんですよ。
これはですね、舞浜の風景なんですよ。まさに舞浜駅の、波上のコンコースがあって、で、そこをハイウェイが走っていて、シンデレラの物語に出てくるようなお城がですね、だんだんと出現してくる。すごくシュールな風景が出てくるんですよね。
本来あの洋風の様式っていうのは日本の女性にとってみれば、家制度から自分を解放する、解放の様式。
だったのが、非常に、禍々しい。
自分が外へ出ていく道を阻むものとして、逆転させられているのがですね、すごく面白いなあと思ったところですね」
高見「セリフでもはっきり『罠よ!』って言ってるところがすごいなって。私なんかは、あのお城に王子様と住むんだわっていう結婚への憧れもすべて否定してるような、そんなところに女性の解放は無いんだ、革命は無いんだって…」
岡田「ただその、結婚して王子様と住むっていうのは、かつては革命であり解放であったわけですよね、家制度の中では。
好きな人と結婚する、などという革命的なことをやっていいんだ!って」
高見「少女漫画のめでたしめでたしはそこだったんだけれども、もうそれも超えてるって感じがした」
小谷「それだけだとね、女の人は幸せになれなかった…というのがあってwwそこらへんにこの、王子様再構築計画みたいなウテナ像の秘密があるのかもしれないでしょ」
里「さらに言うならですよ、お城に突っ込んでいくのが、ウテナが車になったっていうね」
岡田「最初俺、劇場版の紹介をアニメ誌で読んだときビックリしましたよ、ウテナカーって書いてあって、このスタッフは何するつもりなんだってwww」
小谷「え、私、快哉を叫びましたけれど。ウテナ、ついに正体を現したじゃないか、良かった良かったって」
岡田「wwwww正体は車だったの?」
小谷「つまりね、機械、ロボットなの。鉄腕アトムみたいなもので、性がなくて…」
岡田「あー、小谷さんずっとウテナはノンジェンダーだって言ってましたもんね」
小谷「性がおかしいんですよあの人は。それで、男だか女だか分からなくて、車になったとき初めて、あーこのウテナっていうのは天使のような、ロボットのような、アトムのような、そういう存在だったんじゃないかなって思ったのね。
で、逆にほら乗ってるアンシーがね、急に積極的になっちゃってww
岡田「あれ運転が上手いっていうのは男性的であるっていう、映画的記号でもあるんですけど…あれシナリオ段階でもうウテナカーってあったんですか?」
榎戸「ありましたよ。映画を最初やるってときに、監督のほうから出たアイデアなんですけど、とにかく、劇場版は、ウテナが車になる!というところから始まっている」
岡田「そういうときにみんな『なんで?』とかは無いんですか?」
榎戸「TVシリーズをやりきったあと余力があったのと、あとみんなTVシリーズのノウハウみたいなものがみんな身についてたので、拳の振り上げ所みたいなものがちょうど欲しかった頃なので、TVのエッセンスを強めたものを劇場版にしようってところは共通してた。
で、監督から車にしようってアイデアが出たときに、
『なるほど、そうだね!』って」
一同「wwwwwwww」
~榎戸さんの気になるシーンはアンシーが眠ってなかったと気付いて暁生が取り乱すところ~
榎戸「女の子がつくった幻想の王子様像を現実に、リアルに突き詰めると、こういう事じゃないのかな。
つまり幾原監督の、やりたかった王子様っていうのは、結局こういうことじゃないのかなと。
この王子様像は、逆にどのように見えるのかなっていうのを聞きたくて…」
岡田「なんかかなり意地悪なシーンだなと思ったのが、まず声優さんがプロの声優じゃなくて及川さんっていう、王子様ってあだ名の人を使ってるじゃないですか。あまり上手くないのにこのシーンであえて使ってる。それは意地悪だなって思ったんですよ。
さっきのセリフもカッコよく聞こえるんじゃなくて、みじめったらしく聞こえる。男の正体暴露。
王子様って言われてる男っていうのは、もしいたとしても内面はこんなんなんだよって暴露するあたり、エラい意地悪だなーって」
榎戸「男にも、王子様スイッチを入れなきゃいけないときっていうのがあるんだけど、その王子様スイッチを入れたり切ったりしている男の悲劇、みたいなのが最終的に浮かび上がって終わり」
高見「それ女性には全部見えてるもん」
榎戸「アンシーには見えてたってこと」
高見「この場面、私7歳の娘と一緒に観たんですよ。すごい娘が気に入って。『ダサッ』て、ひと言言ったんですよ。
だから『男ってダサいのよ』って私が…」
岡田「ダサいから見ないようにして下さいとしか言いようがないんですけどね…」
~まとめ~
里「『革命』って言葉に込めた思いというのは?」
榎戸「少女漫画にしても今の日本の一夫一婦制の中で恋愛とかが成立してる物語なのであって、
例えば、奥さんが何人ももらえるイスラム圏の人に、今の日本の少女漫画を見てもらったときに、どのように理解されるのかなあっというふうに考えると、たぶん理解できないんじゃないかと思うんですよ。物語としては分かると思うんですが。
恋愛の形態がそのまま、世の中の政治とかに結びついているし、国のあり方に結びついていると思うんですけど、恋愛の形態が変わっちゃって、新しい恋愛のコンセプトがもし本当に出てきたら、そのとき、変わるのは恋愛だけじゃなくて、世の中がみんな変わっちゃうのかもしれないなという所まで含めて、
なにか『少女革命』というものをえがけないかなと思ったんですけどね。だから、少女の革命であると同時に、少女の関係性による世界の革命みたいなことも、起こりうるんじゃないのかな。というところまで風呂敷広げたいなということだった」
森川「伺いたいのはですね、ここでは革命する側の様式っていうのが、意図的にえがかれていない。荒野の茫漠たる風景の中に、ぼおっと霞んでいるような形でえがかれているように思うんですね。
これは革命っていうより一種の亡命に近いような感じなんじゃないかな
というふうに、私なんかは思うんですけど、このあえてえがかなかったというのも意図的だったんですか?」
榎戸「この作品を作っていたときにえがけたのはここまでだった。脚本でも、出ていくところまでしかえがけなかった。
その先は、またその後考えていくっていう…」
高見「是非、第2弾を」
榎戸「機会がありましたら…」
岡田「あのね、革命後の世界を描かなくてもいいんですよ。で、作る側も提示しなくていいんですよ。
それは『ここまでしか…』っていうよりは、この中で描かれている革命っていうのは何かって、本質的にいえば、世間のみんながこう言ってる、みんながこう決めているからこうするんだって事に対する内面からの革命なんですね。
内面からの革命が起こってしまって、私はこうなんだって道を選んだ瞬間にその世界は変わって見えるんですよ。
それが世界を革命する事であり、そういう風に自分が行動して、周りの人が『ああそうなんだ、自分もあの人のようでいいんだ』って思っちゃうことが革命なんですね。
だから、たった2人だけで荒野にいるように見えても、ちゃんとこの2人は革命してるし、観てる人が、じゃあ私にとって今抑圧しているものは何だろう?革命とは何だろう?って考えさせるところでこのアニメは終わってるんですよ。
それを、『こうだ』って教えちゃったら、このアニメも抑圧装置の一部になっちゃうわけですね。だから、これはもうこのままで。バッチリOK。
僕はこのアニメ観て、男でも勇気もらっちゃったところがあります」
~アドゥレセンス版輪舞が流れて終了~
小谷「なんかね、曖昧なの。男として行動したいのか、女として行動したいのか。
なりたいものと好きなものがバラバラになっちゃってて、安定してなくて、観てて非常に落ち着かなかったんですよ」
榎戸「よくぞ選んで下さいました。脚本的にも気に入ってるシーンなんですよ。まさにその、曖昧さの距離感を楽しむっていう。
今のシーンが、ウテナが男だったら全然変なシーンじゃない。ある種分かりやすいシーンなんですけど、男装をしてる女の子の部屋に、所有物となった女の子が来るっていうのは、そもそもどういう前提条件なのか、っていうことを、観てる人に悩んで欲しいなって。
そのへんの駆け引きを一番力いれてやったし、ウテナが色っぽくない、セクシーじゃないっていうお話が出てましたけど、それも結構狙ったところ。セクシーでないがゆえの、セクシュアリティ。
言ってしまえば赤ずきんちゃんなんですよね。
つまりウテナは、性的なものに対してすごくピュアですよね。
イノセンスなんですよね。で、
イノセンスな人がそういう世界に巻き込まれてしまってるっていうのがなんか…ある種セクシュアリティが出るんじゃないのかなって事なんですよ」
高見「友情を取ったって私、受けたんですよね。だから女性同士で、愛情に入らずに友情で、そして守っていくっていう」
榎戸「逆にそっちのほうの価値観が分からないのがアンシーなんですよ。自分は所有物なんだから、相手が男であろうと女であろうと、とにかく夜訪ねて行っちゃう。っていうおかしさ」
高見「いる!そういう女の人いる」
小谷「wwwwww」
榎戸「だからそれはもう、男女の性を超えたいわゆる『女』なんですよ」
里「アンシーをエキゾチックなムードにしていったっていうのは、これもまた狙いがあったわけですか?」
榎戸「ただ者ではない!ってことにしたかった」
岡田「あと絵として、みんな色白の女の子だったら並べたとき困るっていうのが絶対ありますよね」
榎戸「男性スタッフに当時ウテナとアンシーどっちが好きかって質問だと、大体みんな、好きなのはウテナだけど、付き合いたいのはアンシーのほうっていう答えがww」
高見「wwwやっぱりなあwww」
小谷「ウテナって、男の人がなりたい女の子なんじゃないの?」
岡田「なりたい女の子??」
小谷「うん。男の人が、ウテナになりたいんじゃないの?」
岡田「いや違う、なりたいのはアンシーだと思う。もしなるならないで言えば」
榎戸「てゆーかこういう女の人がいてほしいなっていう一つの理想像みたいなものかな。
だけど、実際付き合いたいってなるとアンシーのほうを選んじゃう」
高見「結婚するならウテナってこと?」
榎戸「いや、どーでしょうねえ…。結婚するならむしろアンシーのほう…」
高見「アンシーなのォ!?」
岡田「だから、それぐらい男女の認識の差が激しいんですよ」
里「榎戸さんたちはその、そういった男性から見た女性像や、女性から見た男性像のギャップを埋めようとしたんですか?
それとも本当に違えてしまおうという意図だったんですか?」
榎戸「その問題を、そのままテーマにしちゃおうかと」
高見「投げかけたんですね」
~アニメ評論家・氷川竜介氏による作中のメタファー解説~
バラ→女性の象徴
剣 →男性の象徴(↑対になるもの)
水 →境界の象徴
~森川さんの気になるシーンはウテナカーで疾走するアンシー~
森川「全部が作り物めいている中で、いきなりですね、現実の見たことのある風景が出てきているということがすごく衝撃的だったんですよ。
これはですね、舞浜の風景なんですよ。まさに舞浜駅の、波上のコンコースがあって、で、そこをハイウェイが走っていて、シンデレラの物語に出てくるようなお城がですね、だんだんと出現してくる。すごくシュールな風景が出てくるんですよね。
本来あの洋風の様式っていうのは日本の女性にとってみれば、家制度から自分を解放する、解放の様式。
だったのが、非常に、禍々しい。
自分が外へ出ていく道を阻むものとして、逆転させられているのがですね、すごく面白いなあと思ったところですね」
高見「セリフでもはっきり『罠よ!』って言ってるところがすごいなって。私なんかは、あのお城に王子様と住むんだわっていう結婚への憧れもすべて否定してるような、そんなところに女性の解放は無いんだ、革命は無いんだって…」
岡田「ただその、結婚して王子様と住むっていうのは、かつては革命であり解放であったわけですよね、家制度の中では。
好きな人と結婚する、などという革命的なことをやっていいんだ!って」
高見「少女漫画のめでたしめでたしはそこだったんだけれども、もうそれも超えてるって感じがした」
小谷「それだけだとね、女の人は幸せになれなかった…というのがあってwwそこらへんにこの、王子様再構築計画みたいなウテナ像の秘密があるのかもしれないでしょ」
里「さらに言うならですよ、お城に突っ込んでいくのが、ウテナが車になったっていうね」
岡田「最初俺、劇場版の紹介をアニメ誌で読んだときビックリしましたよ、ウテナカーって書いてあって、このスタッフは何するつもりなんだってwww」
小谷「え、私、快哉を叫びましたけれど。ウテナ、ついに正体を現したじゃないか、良かった良かったって」
岡田「wwwww正体は車だったの?」
小谷「つまりね、機械、ロボットなの。鉄腕アトムみたいなもので、性がなくて…」
岡田「あー、小谷さんずっとウテナはノンジェンダーだって言ってましたもんね」
小谷「性がおかしいんですよあの人は。それで、男だか女だか分からなくて、車になったとき初めて、あーこのウテナっていうのは天使のような、ロボットのような、アトムのような、そういう存在だったんじゃないかなって思ったのね。
で、逆にほら乗ってるアンシーがね、急に積極的になっちゃってww
岡田「あれ運転が上手いっていうのは男性的であるっていう、映画的記号でもあるんですけど…あれシナリオ段階でもうウテナカーってあったんですか?」
榎戸「ありましたよ。映画を最初やるってときに、監督のほうから出たアイデアなんですけど、とにかく、劇場版は、ウテナが車になる!というところから始まっている」
岡田「そういうときにみんな『なんで?』とかは無いんですか?」
榎戸「TVシリーズをやりきったあと余力があったのと、あとみんなTVシリーズのノウハウみたいなものがみんな身についてたので、拳の振り上げ所みたいなものがちょうど欲しかった頃なので、TVのエッセンスを強めたものを劇場版にしようってところは共通してた。
で、監督から車にしようってアイデアが出たときに、
『なるほど、そうだね!』って」
一同「wwwwwwww」
~榎戸さんの気になるシーンはアンシーが眠ってなかったと気付いて暁生が取り乱すところ~
榎戸「女の子がつくった幻想の王子様像を現実に、リアルに突き詰めると、こういう事じゃないのかな。
つまり幾原監督の、やりたかった王子様っていうのは、結局こういうことじゃないのかなと。
この王子様像は、逆にどのように見えるのかなっていうのを聞きたくて…」
岡田「なんかかなり意地悪なシーンだなと思ったのが、まず声優さんがプロの声優じゃなくて及川さんっていう、王子様ってあだ名の人を使ってるじゃないですか。あまり上手くないのにこのシーンであえて使ってる。それは意地悪だなって思ったんですよ。
さっきのセリフもカッコよく聞こえるんじゃなくて、みじめったらしく聞こえる。男の正体暴露。
王子様って言われてる男っていうのは、もしいたとしても内面はこんなんなんだよって暴露するあたり、エラい意地悪だなーって」
榎戸「男にも、王子様スイッチを入れなきゃいけないときっていうのがあるんだけど、その王子様スイッチを入れたり切ったりしている男の悲劇、みたいなのが最終的に浮かび上がって終わり」
高見「それ女性には全部見えてるもん」
榎戸「アンシーには見えてたってこと」
高見「この場面、私7歳の娘と一緒に観たんですよ。すごい娘が気に入って。『ダサッ』て、ひと言言ったんですよ。
だから『男ってダサいのよ』って私が…」
岡田「ダサいから見ないようにして下さいとしか言いようがないんですけどね…」
~まとめ~
里「『革命』って言葉に込めた思いというのは?」
榎戸「少女漫画にしても今の日本の一夫一婦制の中で恋愛とかが成立してる物語なのであって、
例えば、奥さんが何人ももらえるイスラム圏の人に、今の日本の少女漫画を見てもらったときに、どのように理解されるのかなあっというふうに考えると、たぶん理解できないんじゃないかと思うんですよ。物語としては分かると思うんですが。
恋愛の形態がそのまま、世の中の政治とかに結びついているし、国のあり方に結びついていると思うんですけど、恋愛の形態が変わっちゃって、新しい恋愛のコンセプトがもし本当に出てきたら、そのとき、変わるのは恋愛だけじゃなくて、世の中がみんな変わっちゃうのかもしれないなという所まで含めて、
なにか『少女革命』というものをえがけないかなと思ったんですけどね。だから、少女の革命であると同時に、少女の関係性による世界の革命みたいなことも、起こりうるんじゃないのかな。というところまで風呂敷広げたいなということだった」
森川「伺いたいのはですね、ここでは革命する側の様式っていうのが、意図的にえがかれていない。荒野の茫漠たる風景の中に、ぼおっと霞んでいるような形でえがかれているように思うんですね。
これは革命っていうより一種の亡命に近いような感じなんじゃないかな
というふうに、私なんかは思うんですけど、このあえてえがかなかったというのも意図的だったんですか?」
榎戸「この作品を作っていたときにえがけたのはここまでだった。脚本でも、出ていくところまでしかえがけなかった。
その先は、またその後考えていくっていう…」
高見「是非、第2弾を」
榎戸「機会がありましたら…」
岡田「あのね、革命後の世界を描かなくてもいいんですよ。で、作る側も提示しなくていいんですよ。
それは『ここまでしか…』っていうよりは、この中で描かれている革命っていうのは何かって、本質的にいえば、世間のみんながこう言ってる、みんながこう決めているからこうするんだって事に対する内面からの革命なんですね。
内面からの革命が起こってしまって、私はこうなんだって道を選んだ瞬間にその世界は変わって見えるんですよ。
それが世界を革命する事であり、そういう風に自分が行動して、周りの人が『ああそうなんだ、自分もあの人のようでいいんだ』って思っちゃうことが革命なんですね。
だから、たった2人だけで荒野にいるように見えても、ちゃんとこの2人は革命してるし、観てる人が、じゃあ私にとって今抑圧しているものは何だろう?革命とは何だろう?って考えさせるところでこのアニメは終わってるんですよ。
それを、『こうだ』って教えちゃったら、このアニメも抑圧装置の一部になっちゃうわけですね。だから、これはもうこのままで。バッチリOK。
僕はこのアニメ観て、男でも勇気もらっちゃったところがあります」
~アドゥレセンス版輪舞が流れて終了~