1章 生きる者達

2人が過ごすこの国には古くから身分制度がある。地位、職、住む場所。つまり人生の全てが瞳の色で特性で決まるのだ。サファが職人をしてルフスが護衛をしていたのも決められたその通りの職でしかない。
それが国家「アイヤーズ」
まさに他の名など当てはめようがない国名だった。
さてその色だが、混ざりものを含めると全部で8色存在している。
これだけでもこの国の今の形が異常であると見えるのは外の世界を知っている者か、または思想を持った者だろう。しかしながらそれに正面ら異を唱えることをすることは滅多になかった。出来やしないのだ。それこそ目をつけられぬようにひっそりと独り言の不満のように漏らす程度が限界だった。もし聞かれてしまえば国家反逆罪に問われることになる。それをわかっていてわざわざする愚か者は死にたがりか本物の魔を宿す者なのだろう。
さて異を唱えるように吐いたところで国の何が異常を支えているのかも、瞳の色の特性とは何を言っているのかも知れやしないだろう
しかし、色についてはサファもルフスも言葉を介すようになる頃から教えこまれている。
それがこれだった

国営を担うは紫の瞳を持つ者。
独占欲の象徴とされている色であり、ステータスとしても輝かしい繁栄を絵に書いたような所謂貴族のための色だった。もちろんそれ故に家同士の争いなどが影で頻繁に行われており、護衛がない家はまず存在しないといっても過言ではない。

そしてもう1色、国と深く関わってくるのが教会に帰属するものが大多数を締める茶色の瞳を持つ者。
彼らは全員が治癒能力を備えており、人に使い、癒すことができた。その為慈愛の色として国をあげて最も神聖視され大切に扱われる存在になっている。

また、茶色の瞳の者と職業柄よく関わるのが白の瞳を持つ者。
彼らは教師としての仕事、生き物と関わる仕事もしており、よく懐くことから溺愛の色といわれていた。ここで調教された動物が軍用されたり馬車を引いたりするなど活躍していることになる。

ここまででもかなり決められているだろう中で唯一自由に近く、才能の有無が顕著に人生を決めることになるのが青の瞳を持つ者だった。
芸術や接客。これらに就くことになるが、これに関連するならなんでも博愛と言われる彼らの範囲に入っていた。残念なことに才に恵まれない者は多く、花売りのその数はかなりのものであった。

そうした青の瞳と時折接触するのが黄の瞳を持つ者。
彼らは人里離れた岩場に地下などを俊敏に移動することで崩さずに住み着き、侵されず、小人のようで子供のような見た目故に純粋の象徴を持っていた。そしてその手の器用さと力強さをいかして職人や料理人にならなければならなかった。

些か厄介な性格の多い黄の瞳と繋がりをもち、紫、茶、白にも深く繋がりを持つ者があるのが赤の瞳を持つ者。
彼らは身体能力が高い上に丈夫とあり横暴な者もいるなど、激烈とも言われていた。大概は騎士として国に仕えていた。しかし、中には羽振りの良い貴族の護衛や、冒険者などをしているも者も、溢れ者もいた。

そして平民中の平民、それが緑の瞳を持つ者。この国の人口の大多数を誇る者だった。
けれど農業をし、使用人として仕えるなど細々と生活を営めるギリギリで搾取される者達。ここから這い上がるなど容易ではないのだからしかたないのだからと貧困に喘いでいた。実際の所は不明なのだが他の輝かしい才能の者達を嫉妬していると言われるほど格差が存在していた。
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