019:帰り道

マヤと出かけると、ほとんど確実に帰り道は笑っている。
天界にいた頃は、決してそんなことなかったのに……。


「たくっ。レイの奴、いっつも扱き使いやがって……」


オレは暇じゃねーのにと、文句を口にするガイの両手には、夕食の材料と特売品の入ったスーパーの袋が一つずつ握られている。


「大体、今日買った醤油とソースだって、この間別の所の特売で買ったばっかだぜ? そんなに早く使い切っちまうもんなのか??」


絶対まだ残ってるはずだよなと、ガイは同意を求めるように隣を歩くマヤに目を向ける。マヤの両手にも、ガイのものと同じ袋が握られていた。


「う~~ん、どうなんだろ? 確かに多すぎるような気もするけど、うちは大人数だからたくさん作ってるみたいだし、すぐになくなっちゃうんじゃないのかな?」
「そういうもんか?」
「分かんないけどね。気になるなら、レイに聞いてみれば?」


マヤの提案に、瞬間ガイは首を左右に振ってみせた。


「絶対ごめん。レイのことだから、働かないなら食べるんじゃねぇって、怒り出しそうだし」
「確かにそうかもね」


そうなるくらいなら、文句を言わずに特売買いに行った方がずっとましだと独りごちたガイに、マヤは笑って返す。

その笑顔を見て、ガイはそれまで疑問に思っていたことを唇にのせた。
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