007:月明かり

「本当に大丈夫ですから……」
「遠慮するな」
「……」


断固として譲らないユダに、シンは溜め息を吐いた。そんなシンに構わず自身のローブを身に纏いながらユダは続ける。


「もうこんな夜更けだ。一人で出歩くなんて危険すぎる」
「確かにそうですが……」


少年天使でもないのに見送りなどいらないと言っているのに、ユダは見送ると言って耳を貸さない。


「それに、こんな遅くまでお前を引き止めたのは俺だ。それで何かあっては困る」


本心からの呟きに、シンは頬を朱色に染める。


「ユダ……」
「準備もできたし、行こうか?」


振り返ったユダに微笑みかけられて、シンは小さく首を縦に振った。
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