ゴウは日々の鍛錬を欠かさない。
それがいつ訪れるとも分からないかつての仲間との戦いに備えたものであるということを、ガイは理解していた。

――そう。頭では理解していたのだが。


「なにも、こんな日にまで鍛錬することねーじゃんか」


ぼそりと呟き、その手に一本の傘を握りながら、ガイは土砂降りの雨が降る林の中を駆け抜ける。


『少し身体を動かしてくる』


ゴウがそう言って出かけたのは数時間前。
空はその時点で、今後の悪天候を予言するような灰色の雲に覆われていた。

ガイ自身、こんな天気だからすぐに戻って来るだろうと楽観視していたのだが……夕食の支度が整う時間になっても、ゴウは帰ってこなかったのだ。

そして、楽しみにしていた毒セイントが始まろうというまさにそのとき、キッチンにいたレイからゴウを迎えに行ってくれと頼まれた瞬間、窓の外の悪天候ぶりを目にして本気で嫌がった。

だが、レイの普段からは想像もできないような押しの強さに屈してしまい……結果、雨の中ゴウを迎えに行くという、現在の状況に陥ることになったのだ。