078:一望千里

「ユダ、またここにいたのか」


丘に腰を下ろして眼下を見下ろしていると、背後から声をかけられた。
振り返らなくても、声の主がルカであることは分かる。


「何かあったか?」
「いや……」


問いかけにぼんやりとした調子で返せば、ルカが自分の傍らまで近づいてくる。横目に見たその表情は明らかな呆れ顔だった。


「大方、天界の行く末について悩んでいたんだろう」
「――」


核心を的確に射られて、驚いた顔でルカを見る。


「どうして分かった?」
「お前がここにいたからな」
「???」


言葉の意味が分からず目を瞬かせれば、ルカは呆れた調子で続けた。
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