03

「よかったなぁ。シン、目が覚めて」
「そうだな」


レイからの吉報を聞き見舞いを兼ねて様子を見に行く途中、ガイの嬉しそうな声にゴウが素直に同調する。


「ええ。本当に……よかったです」


涙ぐみながらも、部屋まで先導するレイはガイ以上に嬉しそうにしていた。彼のそんな声を聞くのは本当に久しぶりで、こちらも嬉しくなってくる。


「全快しているようなら、事故のことを少し聞いてみるか」
「もうっ、ルカったら……そんなの明日でいいでしょう?」


いきなり怪我の原因を蒸し返すようなことを言わないでくださいと、珍しくレイが異議を唱えてくる。それもそうかと思い直し、シンとユダのいる部屋へ歩を進めた。


「あれ?」


部屋の近くまで来たところで、ガイが小さく声を上げた。どうかしたのかと思って見ると、自分達が赴こうとしていた部屋の前に、ユダが思わしくない顔をして立っている。


「どうした、ユダ?」


場にいた全員を代表して声をかけると、そこで初めて自分達に気がついたのか、ユダがこちらへ顔を向けた。


「ルカ。それに皆も……」


驚いた顔をしながら返すユダを黙って見返す。


「……何があった?」
「――」


問いかけると、ユダの表情が一瞬にして曇った。
微かな変化だったが、それだけでとんでもないことになったのだと確信する。


「な……なあ。シン、起きたんだろ?」


重い空気が伝わりながらも、ガイがユダに問いかける。ユダは問いかけてきたガイに視線を向け、次にレイとゴウに目を移した。


「皆、すまないが……食堂へ集まってくれ。シンのことで、話したいことがあるんだ」


一言一言区切るように告げてきたユダに、誰もがこれから告げられるだろう事実に対して、ある程度の覚悟をせざるをえなかった。
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