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天界全土を照らしていた太陽が、ゆっくりと地平に沈んでいく。

この時間、天空城には夕食の香りが漂い、それに引き寄せられるように仲間達が食堂へやって来て、他愛のない話に花を咲かせているのだが……
この二日、自分を含めた全員の口に上る話題は、普段のそれとは真逆の内容だった。


「……」


今にも沈もうとしている太陽を一瞥して溜息を吐き、歩を進めて扉のノブに手をかける。


「ユダ、開けるぞ」


一言声をかけるが、室内からの応えはない。
それでも扉を開けて部屋に入る。

薄暗い室内。寝台の傍に据えた椅子に腰掛けていたユダが、ゆっくりと空色の瞳をこちらへと向けた。


「……ゴウ」


名を口にした声は掠れ切っていて、顔にも疲労の色が浮かんでいる。


(無理もない……か)


普段からは想像できないほど反応の遅い相手の表情から、視線を寝台に移す。

そこには普段柔らかな光を放つ月色の瞳を閉ざし、身体を横たえているシンの姿があった。
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