望むモノはただひとつ
――あの言葉が、頭から離れない。
「ユダ」
ルカに名を呼ばれたのは、ルシファーが待つフォルトナ村の教会へ向って歩き出し、しばらく経ってからのことだった。
「よかったのか?」
前置きもなく問いかけられて、逆に首を傾げてしまう。
「何が……」
「シンのことだ」
言い切られ、思わず足を止めてルカを見る。
自分はよほど驚いた顔をしていたのだろう。何を驚いていると言いたげに怪訝な顔をしながらも、ルカは言葉を続けた。
「シンが封印されていた暗黒の森は、フォルトナ村からさほど離れていなかった。色々積もる話もあっただろうに……」
分割した地獄を元に戻さなければキラとマヤは再会できない。それは分かるが、会ってすぐに別れてしまってよかったのかと暗に問いかけてくるルカに、ぎこちなく頷く。
「ああ。話なら、石化を解いたときにしたから……」
「だが、話した時間は随分と短かったのではないのか?」
「そんなことはないさ」
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