ただ、そうありたいと願う

「シン」


レイに呼び止められたのは、ゴウとガイがサキの元へ、ユダとルカがルシファーの元へそれぞれ向かったあとのことだった。


「レイ?」


どうしたのだろうと怪訝に問いかければ、レイは何と言えばいいのか分からないといった顔をしている。


「あなたには、その……報告しておかないとって思ったんです」
「?」


先の見えない言葉にシンは目を瞬かせる。

何を? と問いかけようとしたシンに、レイは構わず続けた。


「僕、言うことができたんです」
「――」


主語のない言葉だったが、それが何なのかを理解できないシンではなかった。


「……そう、ですか」

そう言って微笑むシンにレイは頷く。
以前に聖なる泉の辺で交わした会話。レイはそのことを言っているのだ。
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