来年も再来年も、ずっと……

舞台上に置かれているそれは普段愛用しているものではなく、この日のために貸し出された特別な物だ。
観客達に一礼し、それに触れて弦を爪弾くと、それだけで優しい音色が響き渡る。奏で終えると、演奏時よりも大きな惜しみのない拍手を送られた。


(――あ)


その中に一際目立つ真紅の髪を認めて、瞬時に頬を朱に染め上げる。
相手がその反応に苦笑したように見えたのは、恐らく自分の気のせいではないだろう。

いそいそと舞台袖に退場したそのとき、六度目のラッパが鳴り響いた。
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