9.漆黒の闇の中、眠りに堕ちる

どこまでも広がる緑の草原と、遠くまで続いているように感じられる青い空。


『シン? どうしたんだ??』


怪訝に問いかける声にそちらを見れば、空と同じ色の瞳を持つ最愛の天使が微笑んでいる。

手を差し伸べて、彼にしては珍しく「早く行こう」と急かされたが、その場から動くことも、声を出すこともできなかった。


――もとより、できないことを自分自身が知っていた。


(ああ、また……)


夢を見ているのだと理解した瞬間、それまで視界を彩っていた色彩が黒一色に塗り潰された。
1/7ページ