8.天が降らす金糸の光

「あれは……ユダ?」


空を見上げるユダをシンが見かけたのは、図書館へと向かう道でのことだった。


「シン」
「こんな場所で、いかがされたのですか?」


近づいて問いかけるシンに、ユダは苦笑する。


「大したことではないんだ。ただ……空模様がな。今までに見たことがない光景だったから」
「空模様、ですか」


反芻するシンに頷き、ユダは遥か彼方を指し示す。
その指の先を目で追ったシンは小さく声を上げた。

厚い灰色の雲。その間から、まるで階段のような光が幾筋も大地へ降り注いでいる。
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