2.春風と新緑の匂い
薄紅色の花を満開にした大樹の下で行われた花見。
それは仲のよい友人達と持参したお弁当を食べたり、果実酒を飲んで騒いだりという、本当に楽しい一日で。
それから数日経った今日、もう一度行ってみようという話になり、ユダと二人でその場所を訪れたのだが……。自分達を迎えてくれた大樹はその様相を一変させていた。
「……ゴウの言葉を信じていなかったわけではないが、本当に散ってしまうのが早いな」
「そうですね」
頭上を見上げて感慨深く呟くユダに素直に同意する。
この大樹の下で六人で花見をしたのは、ほんの数日前のこと。
なのに、薄紅色の花を満開に咲かせていたはずの眼前の大樹は、鮮やかな緑の葉を繁らせている。
当然その枝に、咲き誇る花は一輪もない。
それは仲のよい友人達と持参したお弁当を食べたり、果実酒を飲んで騒いだりという、本当に楽しい一日で。
それから数日経った今日、もう一度行ってみようという話になり、ユダと二人でその場所を訪れたのだが……。自分達を迎えてくれた大樹はその様相を一変させていた。
「……ゴウの言葉を信じていなかったわけではないが、本当に散ってしまうのが早いな」
「そうですね」
頭上を見上げて感慨深く呟くユダに素直に同意する。
この大樹の下で六人で花見をしたのは、ほんの数日前のこと。
なのに、薄紅色の花を満開に咲かせていたはずの眼前の大樹は、鮮やかな緑の葉を繁らせている。
当然その枝に、咲き誇る花は一輪もない。
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