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「そんな、何故だ…!正されたはずなのに…、何故、また3ヶ月も進んでいるんだ…!!1月になっているじゃあないか!!」
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10月7日(木)
「露伴からの着信…?なんだろう。」
スタッフがコロナに感染しストップしてしまっていた撮影は2週間前から再開していて、今日も朝からずっと撮影している。以前よりも対策をしっかりしながらの撮影で通常よりも時間がかかっているが、感染のリスクを考えると仕方のない事だ。
それで、露伴からの着信だが。普段私が仕事に出ている時は、滅多に向こうから連絡が来る事はない。メッセージであれば度々送られてくるので空き時間に返したりはするが、今まで着信があった事はない。つまりは、なにか急ぎの用だったに違いない。そう思いこちらからかけ直してみたのだが繋がらず、電波が届かないところにいるなどという音声が聞こえてくる。
「…また、あとでかけよう。」
今日の分の撮影は、あと少しで終わる。そして明日の夜には杜王町へ帰れるから、最悪その時に何の用だったのか聞いてもいい。本当に急ぎの用だったなら、またかけてくれるだろうから。
10月10日(日)
「ただいま〜。バキンちゃ〜ん、露伴〜、帰ってきたよ〜。」
翌日。この日は早く撮影が終わり、自宅に着いたのは10時頃であった。まだ電気が点いているのを確認してただいまの挨拶をするとバキンと、奥からは露伴も顔を出して、なんとも幸せな帰宅の絵だ。
「帰ったのか。おかえり、なまえ。」
「ただいま、露伴。あ。キスもハグもまだダメ。手洗いうがいしてからね。」
「…ハァ…仕方ないな。」
ため息をついて拗ねたような顔をする露伴がかわいい。そして洗面所へ向かう私に、黙って着いてくるのも。
「…なぁ、もういいだろ?」
「…ふふ、今日の露伴は甘えん坊なのね。かわいい。」
「子供扱いするなよな…。」
口ではそう言いながらも甘えたように頬を擦りつけて、抱きしめて、キスをして。なんだか甘えん坊の猫みたいだ。
「くぅん……」
「ん?バキンちゃん、どうしたの?よしよし。」
「………。」
少し離れたところでまだ小さい体を震わせ、悲しそうな声を発するバキン。なんだか可哀想なくらい震えているので露伴の腕を解いてバキンを抱き上げると、どう見たって元気がない。一体、どうしたのだろう。
「バキンちゃん、なんだか具合が悪そう…。露伴。今日はバキンの餌、何あげたの?」
「……さぁ…忘れたよ。」
「……え…?もしかして、あげてないの?」
病院に連れて行ったら先生に聞かれるだろうからと何気なく聞いた質問だったのだが、返ってきたのはおよそ露伴らしくないセリフで。あげてないの?という質問には返事をせず、私から視線を逸らし唇を尖らせた。
「…露伴、別に責めないから。あげたの?あげてないの?」
「……あげてない。」
目の前の露伴は、本当に露伴だろうか?バキンに餌をあげてない。その返答に怒りが沸いてくるわけでもなく、代わりに私の中に生まれたのは、違和感だった。
「…バキンちゃん、今ご飯あげるからね。…お水も入れるね。」
いつから使用していないのか、いつもお水を入れている皿も空っぽで、それを見た瞬間背筋が冷えた。
台所でお皿を洗ってドッグフードを計ってバキンの食事の用意をしている間も私の後ろを着いてくる露伴が、なんだか少し怖いと思ってしまった。本当に、露伴、だよね?と聞きたかったが、それに対する返答を聞く勇気は出なかった。
「ん、ゆっくり食べてね。あんまり急いで食べると、お腹痛くなっちゃうよ。」
いつにも増して勢いよく餌に飛びつくバキンを見て、心配になってしまう。朝と昼はちゃんとあげたのか……やっぱり、聞けなかった。
「なまえ…、悪かった。」
「…露伴…。」
しゅんとした声、表情。いつもならかわいいなぁと思うところだが、今はそんな気になれなかった。ただ「お仕事忙しかった?」と尋ねるだけ。
「あぁ…まぁな。」
「そう…お疲れ様、露伴。」
ちゅ、とキスしたのは露伴の頬に。…何となく、だ。しかし「口にはしてくれないのか?」と不安げな表情でおねだりしてくるので、あまりにかわいくて結局口にもした。なんだ、やっぱり露伴はかわいい。
「そろそろ寝室に行こう、なまえ。」
「ん…、そうだね。シャワーを浴びたらね。」
「……、…ハァー…。」
耳元で不機嫌さを隠しもしないため息が聞こえて、思わずビクッと肩が跳ねた。なんか、変な感じ。露伴の様子も少し変だがそれ以上に、露伴の一挙手一投足にビクビク怯えている自分にも違和感を感じる。
「ねぇ…、露伴、何かあった?」
「別に何も。…早くシャワー行ってこいよ。」
「うん…。」
何かおかしい。絶対に、おかしい。露伴はこういう表情を私に向ける人だっただろうか。今までなかっただけで、本当はいつこういう態度を取られてもおかしくなかった?最近は露伴の事を以前にも増して理解できていると思っていたが、分からなくなってしまった。
「…露伴、寝ちゃった…?」
「……いや、起きてる。」
シャワーを浴び寝室へ行くと露伴はこちらへ背を向けて横になっていて、極力静かに声を掛けた。いくらか機嫌が直ったようでホッと胸を撫で下ろし、こちらに向かって伸びてくる腕の中へと体を沈みこませた。
「温かいな、君。」
「うん。それに、いい匂いでしょ?」
そう言って露伴の頬に頭を擦り付けると、向こうも同じように返してくれた。露伴も私と同じ、いい匂い。
「…っ、いた…ッ!」
じゃれるように頬を擦り付けていると不意に露伴が私の肩にキスをして、その直後に急に歯を立てて噛みつかれて思わずぎゅ、と露伴の服を掴み体を縮こまらせる。露伴のこういった行動は初めてで、意図が分かり兼ねる。
「君の肌を見てるとあまりに綺麗で…傷を付けたくなる…。…ハァ…、やっぱりいいな、綺麗だよ、なまえ…。」
「え…、あの…露伴?…急にどうしたの…?」
「急に、じゃあないさ。ずっと、こうしたいと思ってた。…ずっと。」
「…でも、明後日からまた撮影に戻らなきゃいけないから、傷は困るよ。」
「……あぁ、そうだったな…。」
そう言って露伴が先ほど噛んだ肩をペロ、と舐めると少し沁みた。もしかしたら、血が出ているのかもしれない。…そんな力で噛むなんて…。
「…なまえ、触ってくれないか?君が帰ってくるのを、ずっと待ってたんだ。君に、早く会いたかった。」
露伴に手を取られ導かれたのは露伴の雄の象徴で、少し硬くなっているそれに触れると心臓がドキリと跳ねた。じっと見つめてくる露伴の視線も熱が籠っていて、思わず勝手に手が動いて、いやらしくそれを撫でた。
「んッ……、なまえ…。」
なんだか、今日の露伴はやけにかわいく私を誘惑してくる。たまに感じる威圧感のようなものは気になるが、今は全くその感じはない。むしろ早く何とかしてくれと懇願しているようで、何でもしてあげたくなるような雰囲気だ。本当、別人みたいに。