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「なぁ、なまえちゃんよォ。」
久しぶりにやってきた彼の家。
前までの物が散乱していた部屋とは違い大分綺麗になってきていたのだが、しばらく見ないうちにまた物が増えている気がする。
一緒に片付けよ、と始めた片付け中、億泰が言いづらそうに口を開いた。
「なーに?」とかわいく返事をするとわかり易く口角を上げる彼はとても純粋で、見ているこちらまで口の端が持ち上がる。
「なまえちゃんは、なんで俺なんかと付き合ってくれんだ?その、あんまし実感湧かなくてよォ。」
「…俺なんか、って…誰かに何か言われたの?」
「いや…。だってよ、俺の隣にはいつも仗助がいるだろ?仗助は顔も良ければガタイもいいし、めちゃくちゃ強えし。それに優しい奴だしよ。」
「?…それは、億泰も同じじゃない?」
億泰の上げたものは確かに仗助に当てはまっているが、それは億泰にも言える事。だと言うのを分かっていないのだろうか?
「俺なんか…仗助の奴には敵わねぇよ。」
なんだか元気がないのはそういう事だったのか。完全に意気消沈してしまっている。うーん、どうするか。
「俺なんかより、仗助の奴と付き合った方が…。」
「!…億泰ッ!」
聞き捨てならない言葉が聞こえた。これには、さすがの私も思わず大きな声を出してしまった。
「俺なんか、って言うのやめなさい!いくら億泰でも、私の好きな人の事悪く言ったら怒るからね!」
「…なまえちゃんが怒っても、なんも怖くねェな…。」
「!…じ、じゃあ、本当に仗助のとこに行っちゃうからね!」
「!そ、それは…!」
「いやごめん、それはさすがに嘘。私が仗助と億泰を比べちゃうわ。」
どう言えばこのバカの億泰に分かってもらえるだろうかと考え、ひとつの結論に辿り着いた。
バカには、ストレートな言葉しかないと。
「私、綺麗な顔よりも強面の顔の方が好きなの。仗助よりも…なんなら、承太郎さんよりも億泰の顔が好き。それでね、その強面の顔が嬉しそうに笑う顔はもっと好き。私の事で笑ってる時とか、ね。」
「そ、そうかァ?」
ペタペタと自分の顔を触りながらソワソワしだした億泰。どうやら、効いているみたいだ。
「その顔で甘い物食べてるのとか、最高に好き。幸せそうに食べるから。あぁでも、1番好きなのは〜、」
言葉を切って、ぎゅ、と目の前の体に抱きつくと、億泰はアワアワと手をばたつかせているのがわかった。本当、純粋で単純な奴。
「こうしてくっついて照れてるとこかな!強面なのにかわい〜!」
「かわっ、ちょ…!わ、分かったから離れろ…!」
「えぇ〜、ほんとに分かったのかなぁ〜?」
「分かった!分かったって…!」
「っていう事があってさぁ。」
「あってさぁ、じゃあないよ。仕事の邪魔だ。出て行け。」
こちらに見向きもせずに言い捨てるのは、従兄弟の岸辺露伴。
億泰の友達である仗助に惚気話を聞かせるのはなんだか申し訳なくて、いつもこうして露伴の家に来て喋っている。もちろん一方的に、だが。
「やだ。かわいい従姉妹が来てるんだから、もてなしてよ。」
「はいはい。かわいい君が僕のとこに来て、億泰は嫌がってるんじゃあないか?」
「嫌かなぁ?でも、億泰はきっと私と露伴は別に見てくれてると思うけど。」
「あぁそうかよ。じゃあ、僕が迷惑してるから帰ってくれ、と言えば分かるか?」
「あはは、やだ。」
「ヘブンズドア。」
「あー!」
ヘブンズドアは狡い。
くそ…もっと話したかったのに!!
自分の意思とは関係なく動く体。私が部屋を出るまで露伴は一切こちらを見ず、やがて扉が閉められた。
むかつくから、明日も来てやろう。と、心に決め、足が進むまま家路を辿り、無事に自宅へと帰った。
明日は帰りに億泰とアイスを食べて帰って、その話でも聞いてもらおう。