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「なまえさん。いつも、何してるんだい?」
一行が別行動をした際の待ち合わせをする度に地面にしゃがみこんで何やら探しているのを、とうとう花京院くんに指摘された。
誰にも何も告げず、いつも1人でしゃがみこんでいたので不審に思われていたのだろう。
なんだか、少しだけ恥ずかしい。
「実はね、四葉のクローバーを探してたの。」
「四葉のクローバー?」
隣にしゃがみ込んだ花京院くんは、私の見ていた地面に視線を落とした。
そこにはクローバーがたくさん生えているが、残念ながら四葉のクローバーは見つけられなかった。
「君、案外かわいい事をしているね。」
「そう?…花京院くんにかわいいって言われると、少し照れるかも。」
ここには無いのかもしれない、と見切りをつけて、立ち上がりみんなの方を向く。もう間もなく、出発するだろう。
「そろそろ行こう、花京院くん。」
隣でしゃがみ込む花京院くんに声を掛けると、緩やかにこちらを振り向き、笑顔を見せた。普段彼に見上げられる事はそうそうないため、思わずドキリとした。陽の光を真っ直ぐに浴びる花京院くんは、普段よりもとても綺麗に見えた。
「なまえさん。四葉のクローバーは見つかったかい?」
あれから、早数日。私は未だ四葉のクローバーを見つけられてはいない。そう簡単に見つけられるものではないが、こうも見つからないと少し悲しくなってくる。
「全然見つからないの。」
正直に白状すると仕方なさげに微笑みを見せる花京院くん。飽きもせず毎回しゃがみ込んで四葉のクローバーを探す私に、呆れているのだろうか。
「クローバーは、沢山踏まれると奇形になるらしい。だから、人通りのある所を探すといいかもね。」
「そうなの?花京院くん、物知りだね。」
「たまたま知ってただけだよ。…あっちの方なんか、いいんじゃあないか?」
「うん。ありがとう、花京院くん。」
どうやら花京院くんは、私の行為に呆れるどころか探すのを手伝ってくれるらしい。こんなくだらない事に付き合ってくれるなんて、花京院くんは優しい。
「あぁほら、あったよ。」
「えっ!花京院くん、すごい!!」
場所を変えてすぐ、ものの数秒で四葉のクローバーを見つけたと言う花京院くん。その手の中を見ると、確かに四葉であった。花京院くんは、探すのも上手だなんて、ずるい!
「はは、なんだか、先に見つけてしまって申し訳ないな。…はい、あげる。」
「えっ。」
「…四葉のクローバーには葉っぱ1枚ずつに意味があって、"希望"・"信仰"・"愛情"・"幸福"なんだ。僕は、君に幸せになって欲しいから。」
「!」
かっっっ……こいいぃ……!!!
なんだ、花京院くんは王子様か?
花京院くんにそっと握られた手の中にある四葉のクローバーを、思わず握りしめてしまいそうになるのを耐えるのに苦労した。
「あの…ありがとう…。実は私も、花京院くんに幸せになって欲しくて、探してたの…!」
「…僕のために…?」
「結局、花京院くんが先に見つけちゃったけど…。」
「…っ!」
花京院くんは驚いたように目を見開き、やがて口元を隠して俯いてしまった。長い前髪で、表情は見えない。
「ごめん、あの、すごく嬉しくて…。……気にしないでくれ。」
気にするなと言われても、私が言った言葉でこうなっているのだから、気にならないわけがないが…触れてほしくないのなら、そっとしておくのが良いだろう。
「いつになるか分からないけど、私も花京院くんのために頑張って探すね。これは、押し花にして大事にする。」
「……うん。受け取ってくれて、ありがとう…。」
目だけを見せて微笑む花京院くんの目元が、優しく細められて幸せな気持ちでいっぱいになった。四葉のクローバーの効果は、こんなに早く出るものなのか。
四葉のクローバーの花言葉「私のものになって」