本編終了後
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▽承太郎視点/3部軸
俺には大事にしたい、好きな奴がいる。
2年の時に同じクラスだった、みょうじなまえ。
とはいえ言葉を交わした事はなく、接点は2年の時に同じクラスだったというだけ。
それでも俺はみょうじに心を惹かれた。
自分自身信じられねぇが他の女には感じた事のないこれは、好きと言って良いだろう。
初めて出会ったのは、入学式の日。
隣の列に妙な隙間があるなと思い視線をやるとみょうじがいて、その小ささに驚いた。
あとからクラスメイト達が話しているのを聞いたら、みょうじは身長155cmしかないらしい。
小せえ奴、というのが最初の印象。
この時はそれ以外の何かはなかったが、いかんせんみょうじの身長は俺の視界外。合同で体育の授業をする際などはなるべく下を向き視界に入れるようにしていると、段々とみょうじの性格が分かってきていた。
まず、誰とでも話す。特別仲の良い友人がいる訳ではなく本当に色んな人間と会話をしていて、時には男子生徒とも談笑を楽しむ事もあるらしい。
しかし時々、1人になって立ち止まっているところを何度か目撃し、少し気になった。
が、自分は別にみょうじとは友人関係ではないし、声を掛けたりなど、気にする必要はない。この時もまだ、特別な感情は抱いていなかった。
次。これが、決定打だった。
2年になってクラスが一緒にはなったが、会話らしい会話をした事は1度もないまま、3ヶ月が過ぎた。
その日はいつもと何ら変わりない1日であったが、帰りの通学路にいつもはいないみょうじがいたのだ。
とうに下校時刻は過ぎているというのにまだ制服姿で、腰の曲がった婆さんの手を引いて交番から出て自身の少し先を歩いていた。
「ごめんねぇ。もう暗くなってきたのに、こんな所まで…。」
「良いんですよ。おばあさんだって、財布を落として大変だったじゃないですか。」
「今時こんなにいい子がいるなんてねぇ…。ありがとうねぇ。」
「…いえ、また困った事があれば、いつでも。」
どうやら財布を落とした婆さんと一緒に探し物をし、交番での手続きが終わるのを待っていて今出てきた、という事のようだ。
本当、お人好しだな…とは思ったものの、とても好感が持てた。
それからというもの、みょうじなまえという人間を目で追っている自分がいる事に気がついた。
学校では掃除の時間でもないのにごみ箱のごみが溜まれば袋の交換をしていたし、たまに町で見かけたかと思えば自分のでもない倒れた自転車を起こしていたり、見かける度にそういう、いわゆるいい事をしているのだ。
その姿を何度も見て、みょうじは聖人君子ってやつなのかと思ったが、それにしてはそれらの善行のあとの表情は暗く、俺には全く理解が出来なかった。そんな顔をするなら、なぜそんな事をするのか。
それが解ったのは、俺達が初めて言葉を交わしていくらか距離が縮まってからの事であった。
「なまえ…テメーは何故、いわゆる"良い事"をした後、暗い顔をする?」
「……私がいつも"良い事"をしてるのはね…、"良い事"をしたら、自分が"良い人"になった気がするからだよ。……そんな訳、ないのにね。」
なまえの過去の話や家庭の事情を知った今なら、答えてくれるかもしれないと思って聞いた。だが、聞かなければよかったと…少し後悔した。聞かなければ、なまえはこんな風に諦めたような、悲観的な表情を浮かべる事はなかったからだ。
「…テメーの過去は、テメーのせいじゃあねぇ。だからなまえ。"良い事"をしたテメーは、間違いなく"良いヤツ"、だぜ。」
「……、…ありがと…。」
俺の言いたかった事は、正しく伝わっただろうか。
「ありがとう」と感謝を述べたなまえは眉間に皺を寄せ瞳に涙を浮かべて、プイと顔を背けてしまったため表情は見えない。
しかし俺の勘違いでなければ…悲しみを含んだ涙ではないように見えた。
これは俺の、ただの願望なのかもしれねぇが。
「俺はテメーの、そういうところが好きなんだぜ。」
「っ、…またそうやって、恥ずかしい事を言う…!」
「事実だ。」
絶対に、なまえを暗闇から救ってやると、改めて誓った。
なまえが"良い事"をして、笑顔でいられるように。
きっとその方が、今の何倍も愛おしい存在になるだろうから。
俺には大事にしたい、好きな奴がいる。
2年の時に同じクラスだった、みょうじなまえ。
とはいえ言葉を交わした事はなく、接点は2年の時に同じクラスだったというだけ。
それでも俺はみょうじに心を惹かれた。
自分自身信じられねぇが他の女には感じた事のないこれは、好きと言って良いだろう。
初めて出会ったのは、入学式の日。
隣の列に妙な隙間があるなと思い視線をやるとみょうじがいて、その小ささに驚いた。
あとからクラスメイト達が話しているのを聞いたら、みょうじは身長155cmしかないらしい。
小せえ奴、というのが最初の印象。
この時はそれ以外の何かはなかったが、いかんせんみょうじの身長は俺の視界外。合同で体育の授業をする際などはなるべく下を向き視界に入れるようにしていると、段々とみょうじの性格が分かってきていた。
まず、誰とでも話す。特別仲の良い友人がいる訳ではなく本当に色んな人間と会話をしていて、時には男子生徒とも談笑を楽しむ事もあるらしい。
しかし時々、1人になって立ち止まっているところを何度か目撃し、少し気になった。
が、自分は別にみょうじとは友人関係ではないし、声を掛けたりなど、気にする必要はない。この時もまだ、特別な感情は抱いていなかった。
次。これが、決定打だった。
2年になってクラスが一緒にはなったが、会話らしい会話をした事は1度もないまま、3ヶ月が過ぎた。
その日はいつもと何ら変わりない1日であったが、帰りの通学路にいつもはいないみょうじがいたのだ。
とうに下校時刻は過ぎているというのにまだ制服姿で、腰の曲がった婆さんの手を引いて交番から出て自身の少し先を歩いていた。
「ごめんねぇ。もう暗くなってきたのに、こんな所まで…。」
「良いんですよ。おばあさんだって、財布を落として大変だったじゃないですか。」
「今時こんなにいい子がいるなんてねぇ…。ありがとうねぇ。」
「…いえ、また困った事があれば、いつでも。」
どうやら財布を落とした婆さんと一緒に探し物をし、交番での手続きが終わるのを待っていて今出てきた、という事のようだ。
本当、お人好しだな…とは思ったものの、とても好感が持てた。
それからというもの、みょうじなまえという人間を目で追っている自分がいる事に気がついた。
学校では掃除の時間でもないのにごみ箱のごみが溜まれば袋の交換をしていたし、たまに町で見かけたかと思えば自分のでもない倒れた自転車を起こしていたり、見かける度にそういう、いわゆるいい事をしているのだ。
その姿を何度も見て、みょうじは聖人君子ってやつなのかと思ったが、それにしてはそれらの善行のあとの表情は暗く、俺には全く理解が出来なかった。そんな顔をするなら、なぜそんな事をするのか。
それが解ったのは、俺達が初めて言葉を交わしていくらか距離が縮まってからの事であった。
「なまえ…テメーは何故、いわゆる"良い事"をした後、暗い顔をする?」
「……私がいつも"良い事"をしてるのはね…、"良い事"をしたら、自分が"良い人"になった気がするからだよ。……そんな訳、ないのにね。」
なまえの過去の話や家庭の事情を知った今なら、答えてくれるかもしれないと思って聞いた。だが、聞かなければよかったと…少し後悔した。聞かなければ、なまえはこんな風に諦めたような、悲観的な表情を浮かべる事はなかったからだ。
「…テメーの過去は、テメーのせいじゃあねぇ。だからなまえ。"良い事"をしたテメーは、間違いなく"良いヤツ"、だぜ。」
「……、…ありがと…。」
俺の言いたかった事は、正しく伝わっただろうか。
「ありがとう」と感謝を述べたなまえは眉間に皺を寄せ瞳に涙を浮かべて、プイと顔を背けてしまったため表情は見えない。
しかし俺の勘違いでなければ…悲しみを含んだ涙ではないように見えた。
これは俺の、ただの願望なのかもしれねぇが。
「俺はテメーの、そういうところが好きなんだぜ。」
「っ、…またそうやって、恥ずかしい事を言う…!」
「事実だ。」
絶対に、なまえを暗闇から救ってやると、改めて誓った。
なまえが"良い事"をして、笑顔でいられるように。
きっとその方が、今の何倍も愛おしい存在になるだろうから。
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