第3部 杜王町 その後の物語
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「風呂、あざっしたー。」
「ちょっ、ちょっと待って!仗助!?」
大騒ぎの夜ご飯の後、順番にお風呂タイムだったのだが、今目の前を通り過ぎようとしたこの男は、恐らくだが仗助のはずなのだ。そう、髪の毛を降ろした仗助。いつもバチバチにセットされている髪の毛が、お風呂上がりの今、降ろされている。その姿は、初めて露伴が髪を降ろしているのを見た時とよく似ていた。つまり、めちゃくちゃイケメンなのである。
「ま、待ってよ…めちゃめちゃイケメンじゃん、仗助…!!」
「そースか?あんまり見られたくはないんスけど…。」
露伴といい仗助といい、なんでイケメンだという自覚がないのか。そういえば典明だってそうだった。自分の顔を鏡で見た事がないのか!?
「風呂あざっしたー。」
「待って!億泰!!」
億泰!お前もか!!
「億泰、そういえばお父さん、1人にして大丈夫なの?」
今日は夜更かしするぞー!と意気込んで、また部屋に集合したタイミングで、気になっていた事を億泰に聞いてみた。典明は初流乃に操作方法を教えてあげているし、露伴は仗助と何やら言い合っているので聞くなら今しかなかったのだ。
「おぅ。最近は少しずつ身の回りの事ができるようになってきててよ。トニオさんトコに通ってたら、ほんとーに少しずつだけど良くなってきたみてェでよ。明日1回帰って、様子は見に行かなきゃなんねェけどなぁ。」
億泰は見た目にそぐわず真面目で面倒みがいい。それに家事能力もある。結婚したらとてもいい旦那さんになるだろう。それにしても、トニオさんとは…?前に1度オーソン前で会った事のあるあの人だろうか?
「料理の中に入れるスタンド?って言っててな。よく分かんねェけど、体の不調を治してくれんだよ。」
億泰の説明ではよく分からないが、珍しいタイプのスタンド能力だな、と思った。
そして億泰も、お父さんの事が心配だろうに、こうして典明のために泊まりにきてくれて、とってもかわいい奴である!
「億泰ぅ〜〜!お前はかわいいね〜!」
風呂上がりのサラ、とした頭を思う存分撫でつけてやると、離れたところにいる典明の微笑みが視界に入って、心臓をきゅ、と掴まれる。今のは不意打ちである。
「なまえさん。億泰なんてかわいがってないで、僕をかわいがれよ。」
急に肩を掴まれて誰かと思ったら、まさかの露伴で、置いていかれた仗助は後ろでぎょっとしている。
「ゲ…露伴酔っ払ってるじゃん。」
「酔ってるのが悪いのか?いいからかわいがれ。」
足元に転がった空き缶を足で払い除けてズイ、と赤い顔を近づけるので、またキスされるかと思った。酔っ払った露伴は、髪が降ろされているのもあってかわいいが。
「じゃあ僕も、なまえにかわいがってもらおうかな。」
「あ、じゃあ僕も。」
典明と初流乃も露伴の後ろに並ぶので、みんなあまりにかわいすぎてなんだかものすごく嬉しくなってしまった。
「もう〜!みんなかわいい!露伴も仗助も、かわいいね〜!」
目の前にいる露伴と、仗助も2人いっぺんにヨシヨシすると、露伴は顔を緩ませて静かに喜び、仗助は「俺は別に…!」と照れながらも受け入れた。どっちの反応もかわいい…!
「典明、かわいいって言われるの、嫌じゃなかった?」
順番待ちをしていた典明と対面し聞いてみると彼は、「君に言われるなら、どんな褒め言葉でも嬉しいかもしれないって、最近は思ってるよ。」と柔らかい笑顔を見せるのでぎゅ、と抱きしめた。
「典明〜!かわいい〜!最高にかっこいいのに、最高にかわいいよ〜!もー好き〜!!」
本当に、最高の男だ。かっこいいしかわいいし、それに綺麗だし。本当の本当に完璧すぎる。「はは、ありがとう。」と楽しそうに笑う典明は、それはそれは綺麗な笑顔だった。
「初流乃は、文句なしでかわいいね。ん〜、ヨシヨシ。」
ぎゅ、と抱きしめて頬をスリスリとすると、初流乃は擽ったそうに笑って「ふふ、ありがとうございます。なまえさんも、かわいいですよ。」とまさかの返しを口にするのでやはりイタリア人は口が上手いなと思った。今でこれなのだ。成長したらとんでもない事になるだろう。
「さ、露伴と初流乃はもう寝ようね。また明日ね。」
今日はまだ金曜日。仗助と億泰は2泊する予定なのだ。きっと明日も、日付が変わるまで夜更かしするだろう。くた、としている露伴を担いで、「おやすみなさい。また明日。」ときちんと挨拶をする初流乃と、部屋をあとにした。
「なまえさん。今日は楽しかったです。またこういうの、やりますか?」
初流乃は本当に楽しそうに、そう感想を述べた。年上だが、初流乃に友達ができたようでとても嬉しい。
「うん。初流乃が誘ってもいいんだよ。」
初流乃が泊まりに行ってもいいんだし、と教えてあげると、意外そうな顔をした後「そうか…そうですね。」と納得したようだ。今まで友達とお泊まり会なんてしたことがないのだろう。私だってないが。
「おやすみ、初流乃。」
初流乃が布団に入った事を確認して、挨拶とともに頬にキスを落とした。「はい、おやすみなさい。」とキスを返してくれる初流乃の微笑みは、まるで天使かと見間違うほどのかわいさだった。
さて、次は露伴である。お酒に酔った状態で肩に担がれて、若干気持ち悪そうにしている。先ほどから「うーん… なまえさん…。」とうわ言のように私の名前を呼んでいるのがかわいいが、1度、水を飲ませた方がいいだろう。
露伴の部屋のベッドに横にして、台所へ行ってから戻ってくると、やはりうわ言を口にしながら眉間に皺を寄せていた。
「ほら、露伴。お水飲んで。」と声をかけると「なまえさん…?水…飲ませてくれ…。」と言うので起き上がるのを手伝って飲ませてあげた。飲んだあとに再びバタ、と布団に戻るので露伴の部屋着が肌蹴てお腹が露わになり、直そうと手を伸ばすと、露伴にその手を掴まれた。
「なんだ、直すのか?なまえさんは僕の体が好きなんだろう?もっと見ていけよ。」
握られた手は熱い。露伴の目はお酒によって僅かに潤んでいて、視線が鋭い。この空気は、マズイ。
「ッ!わ、私、戻るね!」
このままでは流されてしまうと、勢いよく立ち上がり腕の拘束を振り切って部屋を出てドアを勢いよく閉めた。中から「逃げられた…。」と残念そうな声が聞こえたが、すぐにまたベッドに倒れ込む音がし、やがて静かになったので眠ったのだと判断した。最近、露伴が私を誘惑してくるようになった。特に、酔った時に。分かっていてお酒を飲んでいるのだとしたら、タチが悪い。
この赤くなった顔をなんとかしてから、戻らなくては。