第3部 杜王町 その後の物語
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吉良吉影が死んで、町に平和が戻った。川尻浩作や重ちーの家族は、これから悲しみがやってくるだろうが、町から殺人鬼が消えたのだ。これからゆっくりと時間をかけて、本来の日常に戻っていくだろう。
私は承太郎と共に事件に関する後始末を終え、今は久しぶりに空条邸へ帰ってきた。久しぶりにジョセフさんと承太郎に会えた聖子さんと典親はとても嬉しそうにしており、無理やりにでも連れてきてよかったと心から思った。
「典親。典明の事、触れられるようになったの。」と教えるや否や典明へと恐る恐る触れ、その胸に飛び込んだので、典明だけでなくちゃんと私に似ているところもあるのだと再確認できた。ちなみにきちんと匂いも確認していたので本当に血は争えないと思った。
「杜王町であった事教えて!」とせがむ典親に話せる範囲で数ヶ月に渡る色々を教えてやると、「待って、岸辺露伴って漫画家の?」と興味を示したので改めて岸辺露伴は有名人なのだと思わされた。典親も漫画を読んでいるようで、「パパとママに似てるキャラクターがいるんだ。」と嬉しそうに話してくれたが…似てるどころか多分モデルにされていると言ったらすごいすごい、と喜んだ。かわいい。
「僕、露伴先生に会ってみたい。」
典親のその言葉に、思わず言葉に詰まってしまった。会わせてあげたいのは山々だが、露伴はどうだろうか?私の事が好きだと言っている彼が、私の、私と典明の子供に会うなんて、いい気はしないのではないのだろうかと考えた。そもそも、子供自体苦手そうである。
「大丈夫だよ、なまえ。」
そんな私の考えを察して、典親を膝に乗せた典明が優しい顔でこちらを見る。大丈夫だと、彼は言った。彼がそう言うのなら、それならば、大丈夫なのだろう。
「うん。今度、会いに行こう。」
突然連れて帰ったら、露伴は驚くだろうか。戸惑う彼の姿を想像して、少し笑みが漏れた。
「承太郎さん!肩車して!」
典親は大好きな承太郎に会えたのが嬉しくて庭で承太郎に遊んでもらっている。承太郎は嫌な顔ひとつせずに典親と遊んでくれていて、いいパパに見えるのに…と、承太郎の娘 徐倫の事が頭をよぎった。彼は、徐倫にちゃんと会いに行っているのだろうか?いや、承太郎の事だから、会っていないだろう。承太郎は1度決めた事は簡単には覆さないだろうから。
こうして典親をかわいがってくれるのはありがたいが、本音を言うと、徐倫の事もかわいがってあげてほしいと思ってしまう。実の息子とたまにしか顔を合わせない、私が言えたことではないが。
「なまえちゃん、ちょっといいかしら?」
聖子さんの声に顔をそちらに向けると、なんだか少し困ったような顔をしていたので典明に声をかけて縁側から部屋の廊下へと移動した。なにか、あったのだろうか。
「実はね、最近なまえちゃん宛に、変な電話が何度かかかってきてて…。」
聖子さんは言いづらそうに、そう話し出した。ストーカーかなにかかと一瞬頭を過ぎったが、私はあまり日本にいないのでその線はない。それに、話の続きを聞くと相手は男性ではなく女性だと言うので余計に心当たりがない。
「なまえちゃんはいませんって言うと、すぐに電話が切れちゃうのよ…。ここ1、2ヶ月、だいたい10日置きくらいの間隔で電話がくるの。」
だいたい10日置きに、私宛にかかってくる電話。それも名乗りもしないという相手。全く心当たりはないが、1度話してみないといけないだろう。
「分かりました。次にまたかかってきたら、私が出ます。携帯電話の番号も、教えてしまっていいです。」
また、厄介な事にならなきゃいいけど…。と少し嫌な予感を感じながらもこの話は一旦終わりにした。とにかく、なにもない事を祈った。
それから2日は、何事もなく平和に過ごしていた。空条邸へ来て3日目の夜。明後日には、承太郎はジョセフさんを連れて先にアメリカへ帰ると言うので今日はご馳走だと、典親は喜んでいる。
「なまえちゃん。電話が…。」
来た。ついに、例の電話がかかってきた。「なまえ宛に電話?」と承太郎と典明は訝しんでいるが、切られてしまうといけないと、とりあえず急ぎ電話に出た。電話の向こうはガヤガヤとしていて、外の電話機を使っているようである。
「みょうじですが。」と電話の向こうの彼女は「やっと出たぁ〜!」と間延びした声を上げるので、怪しい電話だと警戒していたため思わず拍子抜けした。またスタンド関連の面倒事に巻き込まれるのではないかと身構えていたので、ホッと息を漏らした。
「失礼ですけどどちら様ですか?何度も私に電話してたみたいですが、どういったご用件で?」
電話の相手は酔っ払っているのか、なかなか用件を話し出さないのでこちらから質問をすると「あぁ〜、そうそう!」と彼女は明るく続きを話し出した。しかし、それは明るく話すような内容では決してなく、尚且つ私の言葉を失わせるような内容であった。
「アンタ、DIOのお気に入りだったんでしょ?DIOとの間の子供がいるんだけど、預かってくれない?」
「は…?ディ…、こ、子供……!?」
待て、理解が追いつかない。何を言っているのか、ひとつひとつ頭で復唱するも、彼女の言った言葉のどれもが引っかかり、何ひとつ理解できそうもない。DIOと言うと承太郎が飛んでくると思い、咄嗟に名前を口にするのを我慢した事は誰か褒めてほしい。
「ちょ、ちょっと待って…。いきなりそんな話をされても困ります。とりあえず、あと数日は日本にいるので、明日酔いが醒めてから、今から言う番号にかけてもらえますか?」
私も一旦頭を整理したいし、彼女も酔っていて話にならない。少し時間を置こうと判断して携帯電話の番号を伝えると、彼女は「分かったぁ〜。」と酔った頭でも一応メモをしたようで、番号を復唱させてからこちらから電話を切った。
やっと…やっと面倒事が片付いたと思ったのに…!次から次へと面倒事がやってくる…!それも次はDIO関連だ。承太郎に話しておくべきだろうが…その前に1人で解決できるならばその方がいい。スタンド関連ではないがDIO関連の事。それだけで憂鬱な気分になるが、彼女自体に敵意はないし、なんとかなるかもしれない。自分に言い聞かせるようにそう思い込んで、私はみんなの元へと戻った。