あの人ごと、私を愛して
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「承太郎さん!なまえさんが…!!」
仗助からの電話に出てみれば、切羽詰まったような雰囲気のその言葉と、女の呻き声。なまえに何かあった事は明白。すぐに仕事を放り出しホテルを出て向かうは、仗助に聞いたなまえの自宅。何が起こっているのか聞く暇はなかったが、とにかく間に合ってくれと、アクセルを踏む足に力が入った。
バン!と勢いよく開けて二人の姿を探すと揃って洗面所におり、蹲っているなまえを見て一先ず胸を撫で下ろしたが、目が合った直後瞳を閉じて脱力するので冷や汗をかいた。触れてみるとどうやら気を失っただけらしく、今度こそ本当にホッとした。
「承太郎さん。俺は女の子については全然知らねーんスけど…こんなに軽いモンなんスか?」
「!!」
「元々、体重計が壊れたって聞いて来たんスよ。だから、もしかしたらこの体重は異常なんじゃねーかと思うんスよ。」
「…異常だ…これではまるで…。」
子供のようだ、と思った。抱き起こしたなまえの体はその質量と見合わないほどに軽く、このまま消えてしまうのではないかと錯覚し、消えてしまわぬように抱きしめた。
「スタンド使いか…!」
敵がなぜなまえを狙ったのか、そんな事は関係ない。問題はなまえが何かしらの攻撃を受けた、ただそれだけだ。
一先ず、なまえを一人ここに残しておくわけにはいかない。
ホテルへ連れていこうと乗ってきた車まで移動すると「承太郎さん…万が一にもなまえさんに手は出さないっスよねぇ?」と疑いの眼差しを向けられたが、それには無言で「何言ってんだテメェ」という気持ちを込めた眼差しを返した。
「……、ここ、は……?」
「なまえ…!目が覚めたか?」
「……!…えぇと…。」
目を覚ましたなまえに声をかけると、戸惑ったような表情を浮かべてベッドの上で少し後ずさった。この状況への戸惑いかと思われたが、次に続いた言葉を聞いて息も、時すらも止まったような錯覚に陥った。
「ごめんなさい…。どなたですか…?」
「っ、…!?」
「なんだか…最近、記憶が曖昧で……。もしお知り合いだったなら、すみません…!」
なぜ…!なぜこんな事に…!!
10年前の記憶を失っている上に、最近の記憶まで失われてしまった。それはなまえの脳の問題なのか、それともスタンド攻撃の影響なのか。現時点では、知る術がない。とりあえず今の状況に絶望し、奥歯を噛んだ。
「…俺と君は、最近知り合った。仗助の奴は覚えているか?アレは俺の……親戚だ。」
「仗助の…。言われてみれば、確かに少し似てますね。」
知っている人の名前が出た事によりあからさまにホッとして表情を崩すなまえ。しかし、記憶のないなまえをこの場に留めておくのは、些か心が咎める。
「…私は、SPW財団の者だ。君はスタンド攻撃を受け、記憶を失った可能性が高い。その上、また君を狙わないとも限らない。…実はSPW財団はスタンドの調査をしている組織でな。君さえ良ければ、敵スタンド使いを捕まえるまで保護させてくれ。」
慣れない長台詞でそれらしい言葉を羅列する。元のなまえであれば「承太郎…必死すぎ!」と笑うのだろうが、今は過去の記憶どころか最近の記憶まで無くしてしまったなまえは「分かりました…お願いします…」と大人しく従った。
「スタンドとか、よく分かりませんが…お優しいんですね。ありがとうございます。えぇと…、」
「…空条承太郎だ。それより君…スタンドについての記憶が?」
「?以前の私は、スタンドについて、知っていたんですか?」
「…やれやれだぜ…。」
こいつは、思ったよりも厄介かもしれねぇ。
「これが見えるか?」
「わ…!なんですか、これ?空条さんが動かしてるんですか!あ、仗助のに似てるかも。」
「これがいわゆる、スタンドと呼ばれるものだ。」
スタンドを見ても驚くどころか楽しそうにしている姿は、かつてのなまえの面影を感じる。そう思ったら、少しばかり安心した。なまえはなまえなのだと、分かったからだ。
「君もこれと似たようなものを持っているはずだ。スタンドは、スタンド使いにしか見えないからな。」
「私が、スタンド使い…?」
「…出ろと念じてみたら、出ないか?」
「ん〜……、出ない、ですね。」
「そうか…。…まぁ、いい。今の君には必要のないものかもな。」
なまえは確かにスタンド使いだが、今のなまえのスタンド知識は一般人と同じ。スタンド使いだからと敵に狙われる危険を侵す必要は、ない。
万が一の時は自身が、身を呈して守れば良い。
しばらくの間はなまえをここに置いて、敵スタンド使いの捜索は仗助に任せる事にしよう。