答え合わせをしよう
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「あのね、僕には、緑色のトモダチがいるんだ。ナイショだよ。」
お母さんにもお父さんにも見えない、僕だけに見える、いつも僕のそばにいる、緑色のトモダチ。
お母さん達は信じてくれなかったけど、クラスで一番仲良しの、この子は信じてくれるかもしれないと、帰り道の公園でブランコに揺られながら内心ドキドキしながら秘密を打ち明けた。
そうしたらやっぱりその子は最初驚いたように目を見開いて、だけどその目をキラキラさせて「そうなの?私も見てみたい!」と。
「君にも見えたら嬉しいんだけど、どうかなぁ?」
「?いま、ここにいるの?っわ、何か触った!?」
「ふふ、うん。見えないかもしれないけど今、君に触ったよ。」
「わぁ…!すごい!!すごいね、のりくん!」
良かった。嬉しい。すごく。
この子は、たとえ見えなくても信じてくれた。両親さえ信じてくれなかったトモダチの存在を、見えないながらも信じ、すごいと言ってくれた。
本当に本当に嬉しくて、その子の背中を押してブランコを揺らしてあげた。そうしたら驚きながらも声を上げて笑ってくれて、僕もさらに嬉しくなってどんどんその子のブランコの揺れが大きくなっていって───
ドサッ
「…う…、いた、…痛い……!」
「!…大丈夫…!?」
突如、見上げていた視界からその子が消え、直後に鈍い音。そっちを見るとその子が蹲っていて、嬉しい気持ちから一気にサーッと血の気が引いていくのが分かった。
「血…、血が…!!誰か…!!」
顔や手から血が出ていて、早く大人の人を呼ばなければと今まで出した事のない大きな声で人を呼んで、その後どうしたかはよく思い出せない。
ただその子に申し訳なくて、また怪我をさせるわけにはいかないと、その子と距離を取った。
大好きな子だったからその子が変わらず話しかけて来るたびに甘えそうになったが、それは僕が高校生になって転校するまで、続いたのだった。
「のりくん…だよね?私の事、覚えてる?」
承太郎に呼ばれてやってきた、故郷 杜王町。まさかそこで知り合いに会うなんて、思ってもみなかった。それも僕の記憶では一番の、最悪な記憶に関係する人物と。
「花京院さん?なまえさんと知り合いなんスか?」
あぁ、そうだ。
仗助の言葉を聞いて、ようやく彼女の名前を思い出した。"なまえちゃん"と、僕はいつもそう彼女を呼んでいた。生憎、未だ姓は思い出せないが。
「そうだ、花京院。花京院典……典明くん、だったね。大きくなったね。そりゃあそうか。私も歳をとったしね。」
ふふ、と笑うその笑顔には、僅かだが面影がある。そして、頬の右側に痛々しく残るその傷跡も、僕には覚えがある。
「……傷跡…残っちゃったんだな…。」
僕の口から出たのは、そんな失礼な言葉だけ。
こんにちはでもなく、久しぶりでもなく、そんな人の気にしているであろうところを口にするなんて、普段の僕では絶対にありえない。だけどそれくらい、彼女との再会は僕にとっては衝撃的な事であった。
「あぁ、これ?もう慣れちゃったから気にしてなかったけど、目立つかな?」
「いやぁ…俺も正直見慣れたんで…大丈夫、なまえさんはその傷があっても、キレーっスよ。」
「だよねぇ?」
「!」
気にしてない、ようだった。彼女も、仗助も。
一体僕が引っ越したあと、彼女はどういう風に生活を営んでいたのだろう。何を思い、どう生きたのか……僕には、関係のない話だが。
「そういう典くんだって、顔に傷があるのね。」
「あぁ…これは…、…いや、いつか話すよ。」
「…そう。典くん、しばらくは杜王町にいるの?」
「そうだね…、スタンドの矢の調査で……って、仗助が連れてきたって事は、まさか君も…!」
本来の目的を、今ようやく思い出す。仗助の知っているスタンド使いを連れてきてもらう事になっていたのだった。それで、連れてこられたのが彼女。つまりは、そういう事。
「うん。あの時は見えなかったけど…今なら見えるよ。典くん。」
「!」
そう言う彼女の笑顔はあの時と何も変わらず、眩しくて無邪気だった。
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