最終任務 パッショーネのボスを倒せ
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「…っ触れたぞ!」
「やった…!」
試した結果、ポルナレフは矢を拾う事ができた。だが、拾えただけ。次にやるべき事は、誰かがその矢を使い、スタンドをレクイエム化する事!
チャリオッツが矢を持つポルナレフに突進していくのを見て、やはりチャリオッツはチャリオッツなのだと思い知らされる。元々チャリオッツはスピードが要のスタンド。先程までゆっくりと歩いていたので油断していたが…速すぎる…!
「ミスタ!早く貫け!お前のスタンドを、この矢で…!!」
諦めるな!諦めるな!!せっかく繋いだ一抹の希望に縋りつけ!
もしかしたら、間に合わないかもしれない。間に合ったとしても、私では触れられないかもしれない。それでも、止まるわけにはいかなかった。だって典明の前で、そんなかっこ悪い姿は見せられないから。
「チャリオッツ!!止まれーッ!!」
ギリギリで追いつき手を伸ばしたが…案の定チャリオッツの体をするりとすり抜けた。ならば仕方がないとスタンドを出して止めようとすれば、クイーンが掴むのはチャリオッツではなく私の腕の方で。
「クイーン!!言う事を聞け!」
「なまえ!…クイーン!君はなまえのスタンドだろう!!なまえに従え!!」
ミシ、と右腕が軋んで、骨が砕ける感覚。追いついてきた典明にもそのダメージが行き、「うっ…!」と呻き声が上がる。
ドンッ、ドンッ、
結局チャリオッツの歩みを止めたのは、ミスタの銃だ。しかし恐らく、チャリオッツはまたすぐに立ち上がりポルナレフの方へと行くだろう。それならば、私にできる事は…!
「ポルナレフ…ッ、早くッ…、矢をこちらに…!!」
「なまえ…!!」
ハイエロファントの触手が、亀の体を持ち上げた。矢に触れようとしなければ、問題はないらしい。すぐ目の前まで迫った矢の先端目掛けて、クイーンの暴走により骨が砕けた右手を突き出した。
「クイーン…!従え…!私のクイーン…!!」
グサリと矢が刺さった右手。そのままクイーンを発動すると、辺りは光に包まれた。チャリオッツのレクイエムは止まった。あとは、私のクイーンのレクイエム化がどうなるかだ…!
「ウッ…!」
「ゲホッ…!…ッ、なまえ…!!」
「なまえさん!花京院さん…!!」
突如として、私と典明は揃って血を吐いた。私に異変が起きたから、典明も食らってしまったのかもしれない。しかし私が今感じた感覚は『矢に拒絶された』だ。カラン─と地面に矢の落ちる音だけが聞こえて、意識が薄れた。
やっぱり、私じゃダメだったみたいだ。きっと承太郎みたいに、精神も強い人間でないとダメなんだ。
そうそう思ったところで、意識は暗闇に沈んだ。
「……DIO……?」
朦朧とする意識の中瞳を開けると、私はDIOを見た気がした。しかし何故か嫌な感じはしなくて不思議に思い眺めていたら、やがてそれがDIOではなく初流乃であると気がついた。これが、血の繋がりというものか…。いくら私が"初流乃は私の子供だ"と主張しようとも、初流乃はやはり、DIOの血を引いているのは間違いない。否定しようがない。その事実が胸に刺さるが、それでも私は初流乃を愛している。…本当に、私の知らない間に、強くなった。
「なまえさん…!!今…、今治します…!」
私が意識を飛ばしていた間に、どうやらほぼ決着は着いていたらしい。肝心なところを見逃した気がするが、敵を倒し、初流乃が生きていてくれれば、なんでもいい。
必死な形相でこちらに駆けてくる初流乃を見て、思わず笑みが零れる。私なんて、全然弱い。典明や承太郎、初流乃の方がずっとずっと、私よりも強かった。
「……私…引退しようかな…。」
「なまえ…?」
何の話だと、典明が割り込む。いつの間にか入れ替わった体は元に戻っていて、数時間ぶりに見上げた典明は、相変わらず世界一綺麗で、かっこいい。
「SPW財団の、戦闘員の話。…ふふ、ダメかな?」
「僕としてはとても嬉しいけど…。…承太郎が許すかな?」
「あはは、だよねぇ。…ありがとう、初流乃。もう大丈夫だから、……ナランチャを迎えに行ってあげて。」
「…はい。では、またあとで。」
久しぶりに、随分と酷い怪我を負った。体はある程度治ったが、動きたくない。疲れた。仰向けになって天を仰いでいると典明が膝枕をしてくれて、ついさっきまで死闘を繰り広げていたのが嘘だったかのよう。
エジプトの旅、吉良吉影との戦いに次ぐ大怪我を負った訳だが、これが敵の攻撃によるものではなく、矢に拒絶された怪我だというのが厄介だ。ポルナレフ亡き今、報告書を上げなければならないのはきっと、私なのだから。
「…君の無茶にも、もう慣れたよ…。まぁ今回の無茶は、僕が煽ったせいでもあるんだけどな…。でも、かっこよかったよ、なまえ。僕のプリンセスは、本当に最高だな。」
「私はまた…典明に救われたよ。典明は私にとって王子様だけど、騎士でもあり救世主でもある。…もはや、神様といっていいかもしれない。」
「ふふ…、それは、僕も君に同じ事を思ってるよ。僕にとって君は、希望そのものだ。」
ゆっくりと典明の綺麗な顔が近づいてきて、頬に典明のしっぽみたいな髪の毛が触れる。それが気持ちよくて目を閉じるとフニ、と唇同士がくっついて、幸せな気持ちでいっぱいになる。
私はまた、生き延びた。典明を失い生きる希望までもを失ってしまったあの時からは考えられないが、生きている事にひどく安心した。典明と一緒なら死ぬのも構わないと言ったが、私にだってまだ、守りたい人がたくさんいるから。
「さぁなまえ、もう少し眠るんだ。少しでも休まないと…これは後処理が大変だろうからな。」
「ふふ…、うん…。」
典明の膝枕は少し硬いけど、気持ちよくていい匂いがする。例え外だろうがコンクリートの地面だろうが、安眠間違いなしだ。
「………?…露伴…?」
次に目覚めたのは、どこかの部屋の、ベッドの上。寝ぼけ眼で寝返りを打って天井から視線を移すと、ベッド脇でスケッチブックに鉛筆を走らせる露伴の姿があった。なんだか、とても久しぶりに露伴を見た気がする。イタリアでの激闘はたった数日間の出来事のはずなのに、きっとあの日々が濃すぎたから、感覚がおかしくなっているのだろう。
「おい。まだ寝惚けてるのか?人の顔をじっと見つめるなよ。起きたなら起きたと言えよな。」
「……起きた…。」
「見たら分かる。…君、また無茶したんだってな。」
「まぁね。ねぇ、あれからどのくらい眠ってた?」
「はぁ…。…丸1日だ。」
なんだ。体に違和感がない上にやけにスッキリとした気分だったから、1週間以上目を覚まさなかった─なんて言われるんじゃないかと思ってたのに。そう零したら「想像力豊かだな、君は」と褒めてるんだか貶してるんだか分からない言葉を返された。露伴の事だから褒めてるわけじゃなさそうだが。
「露伴は、どうしてここに?というか、ここどこ?」
ようやく頭が覚醒してきたら、気になる事がたくさん。露伴がイタリアに来るなんて聞いてないし、そもそもここは…?病院と呼ぶには程遠く、高級感のある家具がちらほら。それに私が今横になっている布団だって、肌触りがよく新品みたいにふわふわだ。
「君が何か最悪な事に巻き込まれていると思って、……まぁ、そうだな…心配だったんだ。」
「露伴…!」
「案の定とんでもない事態になっていたらしいな。本当君は、行く先々で何かに巻き込まれるよな。」
「露伴に言われたくない!」
どの口が言っているんだ、どの口が!と体をガバッと起こすと、露伴との距離が近くなって。向こうも言い返してくるかと身構えたのだが、露伴は意外にも「それだけ元気なら、良かったよ」と珍しく柔らかい笑顔を見せた。
「露伴…。かわいい…!いつもその笑顔でいて…!」
「うるさい。騒ぐなよな。一応ここ、パッショーネのアジトなんだぜ?」
「……え?」
露伴は今、何と…?一体何がどうなったらそんな事に…?と、突然聞かされた衝撃の事実を前に言葉を失った。だって、つい昨日まではパッショーネとは敵同士だったはずなのに…!