第3の任務 ポルナレフを探せ
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「矢を手に入れろ!」
ポルナレフが行方不明の間、何があったのか、またブチャラティや初流乃になぜここまでして希望を託そうとしたのか、ようやく分かった。
しかし…承太郎からは"ポルナレフが行方不明になった"とだけ聞いていたはずなのだが。たった今ポルナレフから聞いた話では、2年も前から行方を眩ましていたのではないだろうか?
「その前にポルナレフ。僕らは承太郎から、君と連絡が取れなくなったと聞いて急ぎイタリアまでやってきたんだが。2年も前から姿を眩ましていたって、どういう事だ?」
「…そうなのか?スマンが、それは知らなかった。」
私と全く同じ事を考えていた典明のおかげで、犯人は承太郎だと分かった。本当に承太郎は、私を何だと思っているのだろう。というか、2年前にイタリアまで来ていれば、私と典明でどうにか助け出せたのでは…と考えそうになり、ため息をついた。今となってはもう、過ぎた話だ。それに2年前はまだ、典明の死を受け入れ切れていなかった時期だ。彼なりに気遣ってくれたのだろうと思うと、怒る気力も失せた。本当、分かりにくい気遣いだ。
「とにかく、矢を手に入れろ。ボスよりも早くチャリオッツを止め、矢を取り上げるのだ。キング・クリムゾンを倒すには、君達矢の力を使いこなすしか、方法はない!」
「…それって、私も含まれてる?」
思考を承太郎への怒りから、目の前の現実へと引き戻す。チャリオッツから矢を取り上げ、その矢を使いディアボロを倒すしかこの状況を打破する事ができないというのなら、やるしかない。だが、一体誰が?ポルナレフの目論見では元々ブチャラティと初流乃にそれを託そうとしていたはずだが、そこに私も同行していた。私も含んでいると考えるのが妥当だが……私には、操れる自信がない。
幼い頃からスタンドと共に成長したポルナレフが無理だったのだ。そんなの、私にできるはずがない。なまじスタンド能力が厄介な分、操れなかった時に止める事が困難になるのが目に見えている。
「…ディアボロを倒す事ができるのなら、誰だって構わない。なまえは元々、ディアボロを倒すためにイタリアへ来たわけではないだろう?」
「そう…だけど…。」
ディアボロはきっと、私達を全員、1人残らず殺そうとしている。顔を見られたのはもちろん、ブチャラティや初流乃を生かしておけば、後々面倒な事になるからだ。殺そうとしてくる敵を前にして、万が一私が矢を手にした時……私がそれを使う事が、私にできるだろうか?
「…なまえ。ポルナレフの言う通り、君はここまでポルナレフを助けるために来た。その目的が達成された今、ギャングのいざこざに君が手を貸す義理はないんだよ。」
「典明…でも…。」
典明は私の体で、いつものようにおでこをくっつけて優しい声で私を諭した。身長が同じ分いつもよりも顔が近くて、ドキドキする。私の体に入っていても、典明は典明だ。
「君が初流乃やトリッシュのために、ギャングに手を貸すというのなら僕も手伝うよ。矢の力を使わなければならないというのなら、僕がそばにいる。万が一それで死んでしまっても、僕は君から離れない。ずっと一緒。だろう?」
「うん…。」
「君のスタンドを倒す事が君を殺す事になっても、僕は君のスタンドを止めると誓うよ。君が死んでも、僕らは永遠に一緒にいられるからだ。…露伴や承太郎、典親…その他の方々には申し訳ないけど…それでも、僕には最悪、君だけで良い。」
「わ、私も…!」
典親。私と、典明の子。
典親の事を想うと、ここで死ぬわけにはいかないが、初流乃やトリッシュを見捨てて帰るわけにもいかない。それにもしも…もしも私が死んでしまっても、典親には聖子さんや承太郎、露伴がいる。無責任かもしれないが、私も典明を失ったがこうして今、生きている。時間がかかるかもしれないが、心の傷は癒す事ができるのだ。
「ありがと…典明…。好き…大好き…。」
ちゅ、とキスした感触は、当たり前だがいつもと違う。私の体なのだから当たり前なのだが、それでもキスせずにはいられなかった。
「…お前ら、何年経っても相変わらずだな…。」
「はぁ…本当にかわいい…。何年経ってもなまえは本当にかわいい…。」
「…話を元に戻してもいいか?」
「ん。もう大丈夫。ごめんね、みんな。」
時は一刻を争うというのに時間を食ってしまい、申し訳なくて頭を下げた。が、みんなと視線が合わない。なぜ。
「もうひとつ。とても信じられない重要な事を伝えておく。」
みんなの視線が、ポルナレフの方へと向く。さすがは組織の人間。切り替えが早い。と、感心せざるを得ない。
「ボスは…2人組だ。」
「!?」
ポルナレフの言いたい事は、分かる。下で見かけた少年と、上でポルナレフが対峙していたディアボロ。しかし、何か変だ。本当に2人組だったなら、私と対峙していた少年はなぜ、あの時姿を消したのだろうか?私達からの攻撃を受けないため、とも考えられるが…これまで得てきたパッショーネのボス、ディアボロが、誰かと組むなんて考えられないからだ。「ボスが2人組だって…?」と初流乃も訝しんでいるように、ディアボロは今まで徹底的に人との関わりを遮断してきたはずなのだ。絶対的な違和感が拭えない。
「ジョルノ、動く者がいる。」
「!」
エアロスミスで辺りを索敵していたナランチャが、コロッセオに近づいてくる何かを知らせる声を上げる。敵…だろうか。
「9時の方向に…個数ウーノ。…人間だ!人間が1人、右のゲートから中へ入ろうとしているぞ!」
サッ、サッ、サッ─
初流乃がハンドサインで静かに指示を飛ばし、各々が位置につく。全員物陰に隠れてゲートを警戒していると、外から走ってくる誰か。その誰かとは、ディアボロの姿をしていて──中には誰の魂が入っているのか分からず、みな警戒を強めた。
「ナランチャ…エアロスミスを、奴の背後へ。」
「待て、ジョルノ!左だ!左の闇の中を、よく見ろ!」
「!あれは…!」
意識を失う直前、コロッセオの観客席を歩いていた黒い影。暗闇に紛れてはいるが、その影は確かにそこにいた。あれが、矢で進化したチャリオッツ。チャリオッツレクイエム…!まさかこんなに近くにいたとは!
ディアボロの姿をした誰かは真っ直ぐチャリオッツへと向かっていき、初流乃は咄嗟にGEを出したが…ディアボロの姿をした誰かもまた、スタンドを出した。そのスタンドは、スティッキーフィンガーズ。つまり、ディアボロの中身はブチャラティだ。
「!なら、あっちのブチャラティの中には…!」
「あっちなら大丈夫だ。まだ目覚めてねーぜ。俺のNo.7に見張らせている。」
「そう…。なら、優先すべきは…。」
「なまえ、無理はするな。体がないなんて、君は初めてだろ?…この瞬間だけでも、僕に君を守らせてくれ。」
「!」
お、王子様…!
「こんな状況でなんだが、実をいうと僕は、少し嬉しいんだ。いつも、僕は君に守られてばかりだっただろ?体があれば、今だけは体のない君を守る事ができる。当たり前に肉体がある事が、僕は嬉しいんだよ。」
「典明…。ありがとう…。」
典明が、王子様すぎる!!
今すぐ叫び出したくなるのを堪えて、無理やりチャリオッツの方を向く。チャリオッツは既に立ち上がり、落とされた腕…矢の方へと向かって歩き始めている。
そこで、異変が起きた。
先に矢を拾おうと動き出したスティッキーフィンガーズの暴走。そして、それを阻止しようとしたミスタの放ったNo.1の暴走。チャリオッツレクイエムの暴走が、私達のスタンドの暴走へと繋がっているのだ。
何もできず見守る事しかできない、私達。そんな私達には目もくれず、チャリオッツは矢を拾い上げゲートから歩いて出ていこうとしていた。
レクイエムとは、思っていたよりもずっと、厄介なものだったのだ。